クソスレ
2020年10月28日 東京都コロナ感染者数 171人
彼女の事、彼女の思い出を早く忘れないといけないのに いろいろな意味で。。。
現在の芸能界に〈唐田英里佳〉っていらんやろ
本人が望まんでも強引にでも普通の人として人生送らせろや 【その号で2週目(第2段(弾))の特集だった】
それは新年が明け、ひと月は経過しない冬のある日の事だ。
…その週刊誌の記事には自分と同じ様な十代でデビューしつつ、その後とある映画で共演した年
上俳優と数年間もの間、不倫関係を続けていた若い女のSNSに記事が載っていた。
…ただ八つ当たりの原因は…その不倫記事のせいというよりも、この全く接点の無い駆け出し若
手女優の名前が自分と同じ名前「エリカ」…だったいう事が彼女が一番イラつかせ、とても不愉
快にさせたのだった。
「大おじさまが名付けてくれた、大切な名前なのに。。。」
その不倫記事の前号からの続きが載った週刊誌をもて遊ぶにパラパラっと眺めると、それをわざ
と後ろに放り投げた。
そして、それはメイク専用のイスにもたれかかったままで、ボーっとしていた…彼女の後ろ頭に
当たった「痛ったぁ〜何すんねん」とゆるい関西弁が背後からした。 彼女と二人だけのPV撮影は久しぶりで、前向きに前向きに良い映像、良い音、良い雰囲気を作
り、決意を決めた彼女を心配させずに送り出し、そして自分自身の進路をも決断しようと思って
いたのに…
その同じ名前で、同年代で夢見がちで、ちょっとアホで、痛くて、信頼出来る人もいないだろう
…その子の不倫報道のせいで、気分が一気に冷え込んだのも事実だった。
「あ、ごめんね」と素直に謝った…いや、素直に謝るふりをして彼女の動向を伺った。
彼女は顔色を変える訳でも、激高する訳でなく逆にニコニコと笑う訳でなし、拍子抜けする程、
普通だった。
「どうしたの?妙にイラついとるし、でも…逆に…妙に素直やん?」
というと彼女は。。。松村沙友里は立ち上がり、絵梨花の肩を抱く様にしてから彼女の腿の上に
身体を乗せてきた。
「…ごめん手が滑った。なんでもないの…ごめん」
「ん?何だって!?」と言うと彼女の左右のほほを軽くつまむと引っ張った。
「ごめん、ごめんなさい…止めて、あと重い」
と言われた松村は隣の席…メイク用のパイプイスだが、それに座り直し。体を深く折り曲げ下か
ら絵梨花の顔を覗き見る様にしていた。 彼女らは4月に二人のユニットとして出すアニメ用の新曲のPV撮影の時となった。
…彼女、松村本人もこの先の事を考え始めているだろう。
年齢制限、老いる身体そして、どんどん入って追い抜いていく後輩たち。
更には油断し時に週刊誌に撮られてしまった例の事。「おいお前。…次は無いぞ」という事務所
のお偉いさんらの一言。
あの時はまだ若く…可能性という商品付帯価値もあったから、まだ庇ってもらえたがアイドルの
商品価値は1才年齢が上がる事に(商品付帯価値は)3ヶ月分ごと目減りしていく。
正直に言ってしまい27才は…グループアイドルの生存率としては〈大変〉厳しい一桁台まで、
あと少しだ。それが痛いくらい解るから。。。
彼女にしっかりとした思い出として…何かを残してあげたかった。
「なんでもないって、、、言って。なあこの記事のせいやろ?」
と週刊誌を手に取り、ひらひらと振ってからその記事のページを開いて見せた。
文字だけが躍り漫画も写真も無く、ただ「不倫」、「匂わせ」、「マウント」、「肉体関係」な
どの文字が強く目に入って来る。
「別にそんな事は無い!」と絵梨花の語気が強まり、つい立ち上がる。
「だってな自分『私…去年からエリカって名前で損しとる』って…なあ顔になっとる」
と言ってその雑誌を私物のメイク道具などが上がっているカウンターの上に置いた。
「そんな事はないよ…」
同じ名前の女優の致命的スキャンダルがあったし、その後報道は凄まじいものだった。 上からのぞく絵梨花の顔が沙友里を睨む様な顔立ちになって見えてくる。
松村は少し視線を避ける様に目線を外した上で、こう語りかけた。
「…確かになぁ男から見ると、あんたもこの浮気された女優の姉さんも見た目が派手な別嬪さん
やな、…ええけどな男ってアホやから…やがては飽きて来るんよ別嬪さんには」
その中には同じ1期生として、”卒業”後に全く別の安定の生活を選んだ彼女…「H」へ対しての
厭味のような揶揄も含まれていたのだ。
松村は席を立ち上がるとそっと絵梨花の後ろへと回り、肩を押し彼女をまた座らせた。
「…男やってん人間や、たまにはヘマもするし嫌な事もぎょーさんある。軽く遊んでみようかな
ぁって思う。でそんな所に…こんな丁度ええ緩み具合の笑顔で、言う事聞きそうな若い嬢ちゃん
が来たら…男はホンマにアホやもん…なあ……それ相手に堕ちるわ」
と言い週刊誌を取り上げ、ページを一枚捲り浮気をした俳優と女優が一緒に飲んでいるとされて
る写真を指差し、そしてその指先を自分の耳たぶにあて軽くなぞった…
「…このエ・リ・カって女かて、それを狙ろうているんや…って?」
「ねえ、それ以上はもう止めて、まっつん。その先の事言うと…怒るよ」
「はいはい、この子は…大きな声あげて、声色変えてまで吠えるなや。だいたい構って欲しくて
うちに雑誌投げて来たんはそっちやろが」
じっと彼女を方を見る絵梨花。
「…ほらほらPVの撮り終わったらスタッフさんからメンバー募って唐揚げ食べに行くで」
「…生ビールはジョッキでOK!?」
「自己申告やな」
…(不倫の)経験者の言う事は…やっぱり違うなぁと絵梨花が思っているうちに部屋の外はガヤ
ガヤと賑やかになり、やがてドアをノックされ「撮影しまーす」と促された。 その日、彼女らは朝から栃木県内の某所に居た。
栃木の某市郊外にある大規模用、特殊、野外撮影用の特設の大型スタジオ内に設けられた撮影セ
ットでの撮影は4、5、6月連続発売用のシングルのPV撮影会場だった。
先月のうちに少人数に別けて、既に撮影ずみの4月分を除くと、栃木には5、6月のAパート用、
Cパート用の選抜のメンバーら他二十数名だけで、その他のメンバーらは都内待機だった。
4,5、6月の共通の全員集合のBパートは都内の集団でも撮れる大型スタジオ「BeE」で、
バックダンサーを20名を加えたSP用を含め収録は終わっていた。
その別々に撮った5、6月のA,Cパート二つの映像を後日、合成しCG合成にし完成する手は
ずになっている。
その為フロントメンバー、他選抜メンバーらは朝から分刻みでびっしりの撮影予定になっており、
正午過ぎにはメンバーらだけでなくスタッフにも疲労が見えてきていた。
「よくもさぁ、そんな芝居がかった事を…まつは言えるよね」
と年長さん組の高山はぼそりと言った。
「…そうだよねぇ」とみなみ事、星野みなみも同意しつつ、星野は齋藤に目配せしたが、まだお
昼寝中の飛鳥には反応は見られなかった。
数年前撮られたある写真…妻子ある男性編集者と路上でのキス、キス、キス…それが軍団長とい
う名の…かなり組織においては内部権力を持つ松村が行ったアイドルらしからぬタブーな事がら
だった。
「(LINE回す方もま…同類だけどな)」と高山は思った。
が残り少ない時間の中で1、2期生間の同士の繋がりを保つ為には…“カゲ口LINE”という一
種の負の連帯性は必要悪でもあるとも思っている。
(『実際に先月はそのLINEを廻した人の話だったしな』と思った。)
その事は…残り少なくなった1期生及び2期生の中では語るのもタブーであると同時に、結束を
強める為の自傷行為でもあったの…だった。 「(あと…何テイク撮ったらあの女…納得するの)」
と高山は誰にも聞えない様に、ふっと小さな声で呟く。彼女の視線の先には新センター、この先
の影のリーダー役を担うだろうと目される…山下美月が撮影スタッフ、一部取り巻き、他メンバ
―らと共に居る。
…アラビア風の世界観が半分、現代の北米の都市風の世界観にセットされたのが半分のスタジオ
の真ん中では…5月、6月のセンターになった1名「凪まつり」と。フロントと呼ばれるメンバ
ー8人(主に3、4期生中心の構成)だけでの6回目の撮りが行われていた。
山下は同じタイミングで微妙にズレる新センターの凪を、𠮟咤激励する様な眼差しで見ながら、
輪の中心にいた。
新曲「シンクロ/エイティ」は90代後半から00年代初頭のロック調曲とダンス音楽を融合さ
せたもので、聞く人によっては懐メロっぽく聞こえる。
だがリズムに合わせた、一糸乱れぬ連続な団体での集団行動が曲のリズム、メロディーとシンク
ロする様に作られている。
踊り手側としては非常にエグい曲だ。
フロントではあるのだが別予定(主演映画撮影)だった為、遅れて来た飛鳥を除き、高山ら一期
生の一部はサイドなどが担当だったのでフロントメンバーらの撮影テイクが重なっていくのを見
ながらしばらく控えている状態だった。
そんな高山の手の中にも…1冊の女性週刊誌があった。
例の不倫騒動の記事(3回目の連載)が載ったもので今迄の展開も記載されていた。次のエッセ
イか…いいや小説の題材、参考にしようと…個人で購入しこの場所へ持ち込んだものだった。
随分時間も空きそうだし…と、その記事を流し読みせずしっかりと読む為、週刊誌とにらめっこ
を高山は始めた。 雑誌からの情報による空想に夢中になっていたからか、周りには仲の良いメンバーしないからか、
つい高山からは安堵によるのか…独り言が出ていた。
「ふ〜ん…そう…数年間も、で生まれ君津。…ん?私この子の家に行けるかなあ」
「へぇ〜そうなの。まさか…わざわざ行ったのかな」
「行ったんですか?」と星野みなみ、寺田蘭世が声を掛けた。
その場には高山と仲の良い一、二期生数名だけなので、つい遠慮する事なく軽い言葉が出てくるよ
うだった。
「おいおいおい!みなみくん、蘭世くん。わざわざは…行かんよ、わざわざは」
「へぇ〜どうだか?」
「おい、みなみ。私だって忙しいんだよ。…海ほたるで実家に戻りぃ〜美味しい魚介を食べて…
素振り100回して、そのついでってとこかな?」
「でも…わざわざは行かんけれど…タブレットのグーマップで見てるように見えるけど?」
高山の右手側には彼女が小説、エッセイを書く時に使う個人契約のタブレットが置いてあった。
「おいおい、まさかぁ〜」と言い胸の前で高山は胸の前で両手で×を作った。
「そんなコアなファン並みの行動かよ〜!しないですよねえ」
と寺田はおどけてみせた。
「(あらそうなの?)」と星野もおどけてみせた。
「みなみくん、蘭世くんよく聞くんだ。大事な事だ」
何を言うのか?と思い顔を見る二人。
「この子よりも私の方が全然、先輩なんだよ!」と言って胸をそらす高山。
「逆にこの子の方が、私の家を見に来ている可能性のほうが大きいわ!」
と言ってさらに胸をそらす高山。
そのやり取りを聞いていた二期の女の子、手直しに来ていたヘアメイクさんらが軽く笑った。
「(こいつはやれやれだぜ)」といった顔を星野と寺田はしてみせた。 やがて新センターら8名の別撮り部分?が山下が納得のOKテイクとなり、やっと終わった
のだった。
「は〜いじゃあ、みなさ〜ん。ここで15分休憩の後に、いよいよ全体撮影に入りま〜す。
それで今日は終りで〜すからね。もうちょっとがんばりましょう!」
と若いADの瑠衣ちゃん声が響く、
「ちょっと飛鳥、起きな!あんたお待ちの全体での撮り始まるからねえ」
と星野はピンクのパーカー羽織ながら机につっぷし爆睡中の齋藤飛鳥を起こしにかかった。
その後2度の全体リハと、全体での撮影本番へとなっていった。
「じゃあ、皆さん。これで本当に最後の最後になります。がその前に…10分だけ休憩!」
最後のセット、照明の手直し為の休憩に入った。
「ねえ?最近の曲って…当てつけかな?…振り付けが、がっちり過ぎて無い?」
と高山が少し切なそうな声を出して言った。
「…そうかもね」と星野も答えた。撮影が始まる前の会話の中に出て来ていた松村の方は、別
の仕事も入ってて当初からこの栃木選抜からは外されていた。
そしてそれには他に理由もあったのだった。 【18才の女の子の純愛をテーマにした楽曲に…1期、2期のお姉さん方々は…】
【歌詞の中にある ♪〜私達だけのSNSに口だけのお姉ちゃん達は〜い・ら・な・い〜
って妙に響きます】
【あと…後ろから見ると最近のお姉さん(松村)らがダンス…辛そうで】
…と運営サイドと彼女ら(3、4期生)のミーティングの時に、女子特有のドロドロとしてて、
そして、どっか熱くて、非常に臭いモノが噴出したのだった。
ここ最近出た数曲でもそうだった。
とくにサビ前に激しめのダンスが続く様な曲になると高山、松村らそして秋元らの“一期、二期
のお姉さん組”らの一部に動きにムラが見て取れる様に、なってきていたのだが…それは運営側
も解っているのは事実であり、暗黙の了解事だった。
他にも先回のシングルからメイン扱いとなった3,4期の特に1、2期世代を知らない若手の
子らかも声が上っていたのだった。
その声の中心には…今後、リーダーではなく、総裁という役割の彼女、山下美月もいた。
…その発言には当事者と目された松村、まだ「卒業」の声を出した事も無い高山も。
そして現リーダーの秋元も、ぴくりと反応を示し、そして裏では激昂もしたのだろうが………
…そんな反応をした彼女ら先輩らを…ちらりと見、山下はつとめて冷静に振る舞い、静かに言
った。
「卒業なさる前に…今度こそこの曲で…すごいトップ取りましょうよ」 彼女達の眼の前では3期の定番のフロントメンバーら数人と4期新人、若手ら数人がしっかり
とオーバーアクションの着いた、激しめの振り付けを踊っている。
「(ちぇ、悔しいな)」と心の中で呟いた。
…7度目の撮りで曲の中盤で星野が…齋藤飛鳥の方に向かって手を使いジェスチャーをしてみ
せたが、飛鳥はそれを見落としてしまっていた。
それは高山、星野自身が「(彼女らよりも)遅れている…」と感じていたみたいだったが、そ
のサインも伝わらなかった。
「は〜ぃカット!ちょっと一旦休憩しましょう」と突然、若いADの瑠衣ちゃん声が響いた。
そして監督の岸本の方を見て頷いた。
「…左サイド2列さん(高山らがいる方)そこ少し〜遅れて来ていますよ。じゃセンセ立てな
おしお願いしますね」とそれまで、大声を出さない監督から声が出たのであった。
新曲「シンクロ/エイティ」はミキシングでのテンポ、メロディ出入りの激しい音楽であり90
〜00年代のロック調曲のギターの効いたAメロ。
00〜10年代のダンス系でシンセの強いBメロ、そして2020年代のK-POPを感じさせ
る変調のCメロを融合させたミクスメロディが売りである。 その為、各セクションでのダンスの振り付けが変更、変更の激しめに設定されている。
それはゲーム、アニメ、漫画、ラノベ関係6社連動のスマホの新作スマホゲームの大型プロジ
ェクト「DeLIGHT・ブラックバビロンプロジェクト2020」の一環として動いてるもの
だったからだ。
そのイメージPV、CM音楽、メインCMなど一切を受ける事となった。
作詞は勿論、あの秋元氏であるが、作曲は若き頃から絶大な音楽作成能力を持ち、大ヒットを
続けたが…自身が招いた…当時ある若手女優兼歌手との不倫事件以降は、全く鳴かず飛ばずと
なった音楽P氷室拓哉氏だった。
そんな大型タイアップ曲であっても以前に批判を口にした彼女達の一部が声を潜めるのには理
由があった。
松村サイド、肩入れしている女子たちがメンバーとして参加しているからも…あったし、他に
理由もあった。それは先日…ネット講演の後に、彼女らの軍団長松村の口から
「私、もうすぐ卒業します」の言葉が出てきたからでもあった。 「はい!ストップ、ストップ!」と監督岸本、自ら声を出して彼女らを止めさせた。
「はーいじゃあこのシーンはOKです」
と続けていい、その先はADの山本(瑠衣の事)が遮るように言葉を続けた。
「…申し訳ないですが、一旦休憩撮りまーす。再開は14:35から。さっきと同じ立ち位置に
お願いしまーす」と言うと一旦セットの電飾を変える為に休憩へと入った。
グループ各自ごとに別れ散々と散っていった。
「…ここだ、おいこれ編集出来そうか?」
「大丈夫っす。これぐらいなら問題ないっす」
「よし頼んだ」
録画されたシーンを見ながら、岸本と山本を含む数名で睨みながら…低く、小さく呟いていく。
「とくにダメだな…あの左サイドからの数名の動きは…」
「…そうですね若干どころか、ズレが出てるのが解っていない感じが…」
「俺から…このPVでそうだったと上へ伝えてみるか…」
「お願いしま…す、監督」
「うちらじゃまず言えないんで……」
「卒業(クビの)宣告の為の情報売りみたいで良い気持ちはしねえわな…」
傍らにある電子タバコ(水蒸気)を手に取り咥え、吸い始めた。その時山本がぽつりと呟いた。
「でも…アイドルってそれと同じで消耗品みたいなものですから」 (再開は14:35)
隣のメンバーの顔を見ずに…誰かの悲鳴みたいな声がした後で、謝罪の声がしたのでそっちの
方を向いた。
絵梨花の視線の先には与田祐希が監督の指示で山下の左肩に軽く手を乗せ、美月の方がそれを
強く振り払う様な仕草を見せたのが見えた。
絵梨花は独特のあの顔つき(目つき)をして山下らの方を見ていた。
「…なあなあやっぱり…みなみくん。最近の曲って振り付けが、がっちり過ぎて無いか?」
と高山が切なそうに言った。
「…うん確かに…」と星野も同意した。
「この曲はCMと(ゲームの)テーマ音楽ですからそう感じるだけですよ」
と鈴木絢音が声を掛けた、そこへ後ろから声がした。
「あらあらもうお年なんでしゅか。このぐらいで息があがるの?」
3人がむっとした顔で振り返ったが誰もいなかった。
「…じゃあそろそろ引退なさって、割りばしよりも軽いもの持って、先生〜って呼ばれる方に
比重を置いたらどうを?ね高・山・センセー」
と二人の間に割り込む様に肩から手を廻し高山の右胸、星野の鎖骨を撫で、ほほを握る様にも
みつつ割り込んだのが…絵梨花であった。
「黙れ!、この白米泥棒にゃんが!」
「そうだ、そうだ」と高山も星野も絵梨花の手の甲を軽くつねる。
二人は絵梨花の身体を引きはがす、その姿と寺田、鈴木はじっと見ているだけだった。
「…所でいく、あんたフロントじゃないの?こんな所に来てていいの」
「私は…左のサイドの2番目でこぜえますだ。お隣のお嬢様」
「あれ?そうだっけ?UMM」と星野は首を傾げた。
「そうでござますだよ、お隣のお隣のお嬢様。…センターの凪沙殿に絡むのは…2度だけでごぜ
えますだよ」と先日、終わったばかりのミュージカル【嵐が丘町に落ちる月】で演じた孤児の花
売り娘のベスの演技してみせ、ペロリと舌を出したのだった。