私の知り合いの女性登山家の体験談:
その女性が、とある山の中腹の無人の山小屋で一泊した。
その夜は非常に風が強く、山小屋の谷に面した壁に、風が吹く都度、ゴトンゴトンと何かがぶつかる音がしたが、女性は山歩きでかなり疲労していたので、その音を気にせずに熟睡した。
翌日はからりと晴れた快晴で、女性は山の斜面を下った後、反対側の山道を登って行くと、前方に男性登山家がいて、双眼鏡で谷の反対側を見ていた。
そして女性が近づくと、双眼鏡を女性に渡しながら言った:
「御覧なさい。あそこで人が首を吊っていますよ」
男性が指さした先は女性が昨夜泊まった山小屋だった。