開示請求で発覚!35万人「五輪反対署名」を東京都が無視していた | FRIDAYデジタル
2021年07月02日
https://friday.kodansha.co.jp/article/191223

「開示クラスタ」の請求で明らかに
5月5日からオンライン署名サイト「Change.org」で宇都宮健児弁護士が五輪中止を求める署名を始め、35万筆を超える署名が集まった段階で、東京都知事に要望書を提出したのは5月14日のこと。

要望書は、小池百合子東京都知事宛として、オリンピック・パラリンピック準備局計画推進部長・田中彰氏に手渡している。同署名の賛同者は7月1日現在、43万5千を超えているが、その後、署名がどのように反映されたのか気になっている人は多いのではないだろうか。

そんな矢先、“開示請求の鬼”こと「開示クラスタ」のWADA氏が、気になる情報を寄せてくれた。それは、開示クラスタの30代男性が小池百合子・東京都知事に対して5月24日に、以下の件名で開示請求を行ったというもの。

「宇都宮けんじ氏が5月14日(金)に小池百合子東京都知事宛の『人々の命と暮らしを守るために東京五輪・パラリンピックの開催中止を求める要望書』を提出したことについて、1、この要望書を提出を受けて開催中止についての検討プロセスや意思決定のプロセスや意思決定のプロセスなど(都知事への報告などやりとりを含む)一切の文書が図面や電磁記録」(原文ママ)

それに対して6月4日に「非開示決定通知書」が届く。そこで開示しない理由として書かれていたのが、以下の文言である。

「宇都宮けんじ氏からの要望書を受けて開催中止についての検討プロセスや意思決定のプロセスなどについては、実施機関では当該文書を作成および取得しておらず、存在しない」(原文ママ)

この文言について、WADA氏はこんな解説をしてくれた。

「”実施機関”とは、この署名を受け取ったオリンピック・パラリンピック準備局だけでなく、『東京都』のことなんですね。都では、検討プロセスや意思決定のプロセスなどの文書を一切作成及び取得していない。つまり、要望書を受け取ったにもかかわらず、都では要望書について何の検討もしていない、完全に放置していたということです」

発起人・宇都宮けんじ氏、憤りをあらわに
提出当時で35万人超の声を、受け取っただけで何の検討もせず放置していたのなら、あまりにひどい対応ではないだろうか。

この要望書について、 「東京都オリンピック・パラリンピック準備局広報担当」に質問書を送付したところ、

「当局ホームページで公表されていない公文書の開示については、個人情報保護の観点から回答は控えさせていただきます」

「都としては、現下のコロナ対策に全力を尽くすとともに、引き続き、安全・安心な大会の開催に向けて、国・組織委員会等、関係者と連携・協力し、着実に準備を進めていきます」

「(「署名」をもとにした要望書が提出された場合、一般的にはどのようなプロセスでその中身や要望の受諾・拒否等について検討がなされるのかについては)署名をもとにした要望書をはじめ、都にお寄せいただいた提言・要望等は関係各局等へ伝達されます。各局においては、関係部署に共有され、施策実施に向けた参考や検討など、都政運営に活用させていただいております」

という回答があったのみ。

国会でも会見でも具体的な回答は示されず、ひたすら 繰り返される「安全安心」のフレーズ。むしろ2021年7月現在では、最も胡散臭いフレーズと感じる人も多そうだが……。
(続く)