指摘されている「セキュリティ・バジェットの臨界点割れ」については、理論上の極端なシナリオに基づく過剰な懸念に過ぎません。Proof of Stake は参加者増加に応じて報酬が希薄化する仕組みですが、ETH は世界的に巨大な資本と需要基盤を有しており、セキュリティ予算が臨界点を割る現実的可能性は極めて低い。また、ETH は L2 の活動や DeFi、担保利用といった多層的エコシステムに支えられており、単一の報酬構造だけでネットワーク安全性を測るのは短絡的です。バーンメカニズムも併用されており、報酬希薄化を一定程度相殺しています。

次に「スケーラビリティの二重拘束」ですが、確かに L1 単体で分散性・検証可能性・スループットを同時に最適化することは困難です。しかし、ロールアップや L2、シャーディングなどの設計により、ETH は現実的に高スループットかつ安全性を確保しながら利用可能です。外部化されたスケーリングは単なる制約ではなく、ネットワークを持続可能に運用するための実践的解決策であり、今後さらに境目のないシームレスな環境へと改善されていくことが期待されます。

「トークン経済の自己言及的循環」に関しても、ETH はガス代や担保用途だけで価値が決まるわけではありません。ETH は L2 の基盤通貨として、DeFi、NFT、RWA、クロスチェーン取引など多様な実需を抱え、単なる幻想資産ではありません。バーンメカニズムの影響も限定的であり、ETH の価値はこうした実需の積み上げによって支えられています。

ガバナンスの準中央集権性については、コア開発者や財団の影響はあるものの、これは完全分散の幻想に依存する XRP の中央集権的リスクよりも透明性があり、コードのアップグレードや改善が現実的に可能という利点があります。XRP は設計が硬直しており、リップル社依存で改良余地がほとんどありません。

最後に、エコシステム外部性の問題も過大評価です。EVM 互換チェーンの乱立は競争を促し、開発者や資本を集約する効果を持っています。DeFi や NFT、Web3 のユースケースは単なる投機ではなく、実需とトランザクション基盤の形成に直結しています。さらに、Agglayer のような相互運用レイヤーでまとめ上げれば、これらすべてが事実上イーサリアム基盤に統合され、ネットワーク外部性はより強固になります。

総括すると、ETH は課題や複雑性を抱えながらも、現実世界での多層的需要、ネットワーク効果、改善可能な設計、実用的な基盤によって支えられており、「幻想的自己循環」に依存する脆弱資産」という論は過剰です。むしろ、中央集権的依存と技術硬直に縛られる XRP の方が、長期的価値維持の観点からははるかに危険であると評価できます。