>>691

星「響さん……少し冷静になりました……。XRP、今すごく下がってますけど、また上がると思うんです。だから、100円未満になったら買い増ししようかなって……」
一条「……は?」
星「えっ?」
一条「あんた、本気で言ってるの?」
星「え、だって……今すごく安くなってるし、また上がるって……」
一条「……今、何て言った?」
星「え?」
一条「“また上がる”って、誰が決めたの?」
星「……え、えっと……」
一条「それ、どこ情報?」
星「……えっと、YouTubeのアナリストの人とか、Twitterで……」
一条「……はぁ。」
一条「あのさ、今どんな状況か分かってる? あんた、XRPの暴落と円高で瀕死になったんでしょ? 全財産ぶっこんで追証まで発生してるんでしょ? なのに、さらに買い増し?」
星「で、でも……安い時に買えば、後で上がった時に……」
一条「だから、それを誰が保証してくれるの? あんた、少し前に『こんなの予想できなかった』って言ってたよね?」
星「う……」
一条「予想もできなかったくせに、今度は『また上がる』? 何も学んでないの?」
星「……」
一条「そもそも、資金管理どうなってんの? あんた、今もう手元にお金ないでしょ?」
星「……」
一条「何で資金が尽きてんのに、まだ『買い増ししたい』なんて言えるの?」

響の目が、鋭く光る。

一条「ねぇ、私が毎年数億売り上げてたの、ただ指名を待ってたからだと思う?」
星「……ち、違うとは思うけど……」
一条「違うよ。売れるキャバ嬢は、絶対に“先”を考えてる。今日売上が良かったからって、明日も同じとは限らない。だから、ちゃんとリスク管理するの。」
星「……」
一条「でも、あんたは違う。相場が上がる前提でしか考えてない。もしXRPが50円になったらどうするの?」
星「えっ?」
一条「30円になったら? 10円になったら?」
星「そ、そんな……そんな下がるわけないじゃないですか……」
一条「それ、誰が保証してくれるの?」
星「……」
一条「10円になっても買い増しするの?」
星「そ、それは……」
一条「もう手持ち資金ないのに? 借金してまで買うの?」
星「……それは……」
一条「ねぇ、キャバ嬢で、指名ゼロなのに『今は客がいないけど、絶対売れるから』って、ずっと何もしないで待ってる子がいたらどう思う?」
星「……さすがに、それはヤバい……」
一条「でしょ? でも、あんたが今やろうとしてるのは、それと同じなの。」

響は、ワイングラスを指で軽く叩きながら、冷たい声で続ける。

一条「売れるキャバ嬢はね、指名が減ったら、次の手を考えるのよ。新規の客を狙うのか、既存の客を掘り下げるのか、それとも自分の売り方を変えるのか。全部考えて動く。」
星「……」
一条「でも、あんたは何? XRPが落ちたら、次にどうするかじゃなくて『また上がるから買い増し』? そんなの、何の戦略もないただの願望じゃん。」
星「……」
一条「都合のいい未来しか見てないんだよ。ダイエットの時もそうだったよね? 『明日から本気出す』って言って、結局コンビニでスイーツ買ってたでしょ?」
星「……うぅ……」
一条「“明日から本気出す”じゃなくて、今やるの。今、何ができるのか考えなよ。」
星「……じゃあ、どうしたらいいですか……?」
一条「まずは冷静になって、自分の状況をちゃんと見なよ。投資は余裕資金でやるものなの。お金が尽きてるなら、まずは稼ぐことを考えなきゃでしょ。」
星「……」
一条「今、XRPがどう動くかなんて誰にも分からない。けど、あんたが今、何をしなきゃいけないかは分かるでしょ?」
星「……」
一条「地下アイドルなら、やることあるでしょ? チェキ売る、ライブ増やす、グッズ作る。まずはそこからでしょ?」
星「……はい……」