>>879の続き

【MLM(連鎖販売取引)が、実質ねずみ講と判断された判例】

裁判所は、被告事業者の事業につき、通信販売事業には実体がなく、
実質的には、無限連鎖講の防止に関する法律によって禁止された違法な
金銭配当組織であるとして、会社、代表取締役、勧誘員の共同不法行為を認定し、
支払い済みの契約金相当額、および弁護士費用について損害賠償を命じた。
(さいたま地方裁判所平成18年7月19日判決)


1.不法行為責任
Y1の「カタロくじ」事業は、通信販売事業としては実体がなく、
オーナー契約金で収益を上げている事業であり、その契約金額自体
異常に高額ということができ、
次々にオーナー契約を締結し続け
なければ、自己の利益を確保することもできない
ことが明らかであるのに、この点について十分な説明を行っておらず、
また、毎月月額システム利用料を支払わないとオーナー資格を喪失してしまい、
多くの会員がオーナー契約金を支払った後中途で脱退していくことになる
システムであることをも考え合わせると、Yらは、利益が上がらず、
実体があるとはいえない通信販売事業があたかも実体があり
利益が上がっているように説明して、オーナー契約を締結させ、
高額なオーナー登録料を支払わせていたほか、実質的には無限連鎖講の防止
に関する法律によって禁止されている金銭配当組織と言い得るものであって、
通信販売事業自体は、同法の適用を免れるための方便に過ぎず、
オーナー契約自体公序良俗に反する違法な取引というべきである。