荒木のキャラクターデザインを深く知るにはモードファッションを勉強すると良い。まずセーラー服はイギリス海軍の制服としてその歴史が始まりその後世界中の海兵の制服として広がった。その後女性のファッションとしてもヨーロッパ等で定着した。セーラー服を男性のファッションとして打ち出したのはジャン・ポール・ゴルチエ。2002のゴルチエとしては最後の参加となったミラノコレクションで「ヴェニスに死す」をテーマとしたコレクションでセーラー服だらけのコレクションを発表する。同コレクションのテーマ「ヴェニス死す」は映画(原作は小説)「ヴェニスに死す」でありセーラー服を着た美少年タッジオ(主人公)に老いた作家が恋しヴェニスでその恋の為に死んでしまうまでを追った美しきゲイ映画。それをテーマとしたミラノコレクションでモードファッションの歴史に「男性のファッションとしてのセーラー服」を強く印象付けた。それに先立ち長年ゴルチエは香水ル・マルのフランス国内向けCMで水兵を起用してきた。ゴルチエは男性モードの世界にセーラー服を定着させた先駆者なのである。荒木は好きなデザイナーにヴェルサーチと公言しキャラクターにあるコレクションの衣装をそのまま着せたりしているがゴルチエからも強い影響を受けている。