宙に舞うウシジマの指。スマホで送られてきた動画を、醒めた目で見ている江崎。
「なあ戌亥。なんでみんな社長の指なんか欲しがんだろ?」
「さあね。ウシジマくんってコトリバコって呪具みたいに厄介な存在だからじゃない?」
「なんだ?その踊りダコみてーのは?」
「まず箱の中を雌の畜生の血で満たす。そのまま一週間放置」
「むっ!?」
「血が乾ききらないうちに、間引いた子供の体の一部を入れて憎い相手に送りつける。迫害を受けた島根県民の復讐装置だよ」
「なにっ!?せっかく作ったもんを人にやっちまうのか。意味わかんねーな」
「えーっと手のひらサイズの箱に柄崎の指が8本入ってるイメージして。」
「その箱にもし生命が近づけたら腸や腹などの内臓が、徐々に千切れていく。」
「海外での呼び名はRINFONE。凝縮された極小サイズの地獄なんだ。」
「ウシジマくんってコトリバコみたいだ。近づくとみんな破滅に追い込む。」
「滑皮さんも獅子谷もどこかで民間伝承の底知れないとこを恐れてる気がするんだ。」

 場面変わって、廃墟。
「ルン♪ルン♪」と箱に指を詰める獅子谷。
「あとはこれで完成……と」
 獅子谷、兄の耳ネックレスを紐から外して詰め込んでいく。
「ミイラの技術は宗教行事として生まれたんだって。死者の魂が永遠に生き続けるように」
 懐かしむような目をして完成した箱を掲げ、見上げる獅子谷。
「後はお前ェらで適当にやっておけ」と言い残して廃墟を去る。

 車から降りてビルに入っていく獅子谷。滑皮は振り返るなり血相を変えて叫ぶ。
「お前まさか、あそこへ行ったのか!?」
 ただ事でない雰囲気に押されて狼狽える獅子谷。そのまま滑皮の運転する車に乗る。
「あの……一体どこに」「話は後だ」
 さして集中している風でもないのに回答を拒否する滑皮に獅子谷、シュンとする。
 連れていかれた先にいたのはベラだった。
「あんた、すごいの連れてきたね」
 獅子谷の顔のアップ。その背後でよくわからないデカい工具みたいなものを振りかぶっている肉蝮。後ろを振り向く獅子谷。

 次号お祓いのため休載