ある所に、二人の姉妹がいました。
ダイヤ「……」
こちらは、堅パンより頭の堅い姉。
ルビィ「〜っ」
こちらは、メガネ猿より臆病な妹。
そんな二人は、ある日お父様にこう命じられました。
父「サ"ヴァ"イバルしよ?」ビャッ
ルビィ「汚ねんだよ、ツバ虫」
ダイヤ「ルビィ……?」
父「お、お父さんだよ?」
ルビィ「……」
ルビィ「うゆ♪」
こうして、お○っ○を飲んだり昆○を食べたりする、元軍人に感化されたツバ虫は、
サヴァイバル知識など全くない、この哀れな鉱物姉妹を、野山のど真ん中へと置き去りにしてしまったのです。
ダイヤ「っ」
ルビィ「ヒ…ヒィ……ッ」
鬱蒼と茂った木々に囲まれ、自分の居場所さえも見失いかけていた二人でしたが、
ダイヤ「ルビィ!!」ゴンッ
ルビィ「ぴぎゃ!?」ガンッ
堅パンの硬度で知られた、しっかり者の長女がここに来て奮起。
パニックに陥った妹へ、頭突きと共にこう言い放ったのです。
ダイヤ「まずは家を作るのです!」
ルビィ「ぃ、いぇ〜ぃ……☆5%>|〆」ピヨピヨ
コレが、正しい判断だったのかはさておき、堅パン長女の決断で、先ずは家を作ることと相成った鉱物姉妹。
ダイヤ「ルビィ、貴方はどんな家を作りたいですか?」
ルビィ「る、ルビィはねぇ……」
ルビィ「お花のお家」
ダイヤ「お鼻のお家!?」
ダイヤ「な、なんですかそれは!?鼻○ずで接着するんですか!?」
ルビィ「汚ねんだよハナ虫」
ダイヤ「!!?」
こうして、開けた場所へ辿り着いた二人は、色とりどりの花を手に、元いた場所へと戻ってきました。
ダイヤ「さぁ、花を積み上げて行きますわよ!」
ルビィ「うゆ!」
一つ積んでは母の為。二つ積んでも母の為。
二人の頑張りは、メルヘンな家を完成させる為の時間を、そう必要とはしませんでした。
ダイヤ「出来ましたわ!」
ルビィ「わーい!」
ルビィ「……っ!?」
あっという間に出来上がった、様々な花で構成された家屋は、しかしながら……
ブ-ン ブ-ン
ダイヤ「……」
ルビィ「……」
飛び交う蜂たちにとっての、最高の餌場ともなってしまったのです。
ダイヤ「……」
ルビィ「……」
ルビィ「……お姉ちゃんのせいだ」
ダイヤ「!?」
こと、責任転嫁に於いて右に出る者なし。と関係各所に言わしめる、この紅玉。
ルビィ「なんでお花なんて積んじゃったの?こうなるの目に見えてるじゃん」
ダイヤ「そ、そんなっ……だって貴方が!」
⌒°( ・ω・)°⌒「"だって貴方が"?」
|c||´.-`|| 「うぅ……」
失態の全てを、頭の硬い姉へと擦りつけようとする鬼妹(オニまい)が、更なる追い討ちをかけんと、怯えた金剛石へ詰め寄ります。
ルビィ「あの空に見える、深く広大な宇宙。その中に漂う無数の星々」
ルビィ「そんな星たちの中で、私と言うたった一つの存在と出逢えた、この奇跡……」
ダイヤ「〜っ」
⌒°( ・ω・)°⌒「"ありがとう"は?」
|c||´.-`|| 「!!?」
ルビィ「ほら」
ダイヤ「ッ」
ルビィ「ほらほら」
ダイヤ「〜っ」
ルビィ「さん、はい」
ダイヤ「ッッッ」
ダイヤ「…………ぁ……ぁりが……っ」
……バババババババ バ バ バッッッ!!!!!!!!
⌒°( ・ω・)°⌒「!」
『迎えに来ました』
ダイヤ「お母様!!?」
ルビィ「……」
『おやおや、事のほか逞しく過ごしていらしたのですね』
己が尊厳を蝕もうと詰め寄る、鬼畜紅玉。
その魔の手を遮らんと、カサートカのハッチから飛び降りたのは、鉱物姉妹の母でした。
ダイヤ「ど、どうしてここが?」
ズシャッ
母「無論、知っている存在から聞き出しただけです」
ダイヤ「〜っ」
ダイヤ「……あっあの、この事について、お父さまはなんと?」
母「くっくっ」
母「それは、本人に聞いてみたらどうです?」スッ
ダイヤ「えっ」
父「……」ボロボロ
ダイヤ「お、お父さま!!?!?」
ダイヤ「なっ、なんで……!?」
数十人から袋叩きにされた様な、ズタボロの出立ちで現れた、この鉱物姉妹の父。
しかしながら──、
ルビィ「……」
〜ルビィの回想〜
父『母さんのプリン食べまくってんの、未だにバレてないの凄くないww?凄いよねwww?』
ルビィ『ウジ虫』
こうなった原因も自業自得だと言うのだから、神も仏も素知らぬ顔です。
─
───
ルビィ「……」
ダイヤ「なぜっ、その様なボロボロのお姿に……?」
父「〜っ」ヨロッ
母「このゴミ屑虫は、大罪を犯しました」
母「よって、相応の罰をこれから与えます」
ダイヤ「ッッッ」
母「さぁ、貴方たちはもう帰れますよ。ヘリにお乗りなさい」
父「〜ッ」
ダイヤ「あっあの、お母さま?」
母「なにも聞きません。早くお乗りなさい」
父「ッッッ」
ルビィ「……」
ルビィ「ルビィが食べた」
普段、ウジ虫扱いしている父を庇った次女。
彼女に、どの様な意図があったのかは分かりませんが、
父「!」
ダイヤ「!?」
母「……いま、なんと?」
ルビィ「ルビィが食べたって」
ルビィ「そう、言った」
父「ルビィ……」
ダイヤ「あ、貴方……」
ルビィ「ごめんなさい」
母「……」
悋気の火の玉と化した母の怒りを鎮めるに、充分な働きをした事だけは確かです。
母「……」
母「娘に庇われる父親が、一体どこの世界にいますか。情けない」
父「うゅ……」
ルビィ「……」
母「まったく」
母「もういいです、はやく帰りましょう」
ルビィ「!」
母「ルビィに免じて、この場は引く事としましょう」
ダイヤ「お母さま!」
ルビィ「お母しゃん……」
父「ありがとうございます!」
母「まぁ、罰はありますが」
父「!?」
イギリス産のクマに感化され、思いつきで始まった、このプチサヴァイバルは、
波乱の時を過ごしながらも、こうして幕を閉じる事が出来ました。
【黒澤家】
『やっと着きましたね』
母「二人とも、ド○セで買った美味しいショートケーキでも如何ですか?」
ダイヤ「まぁ♪」
ルビィ「うゆゆ♪」
母「さぁさぁ、お座りなさい」
ダイヤ「これは、とても美味しそうですわ」
ルビィ「ケーキ久しぶり〜♪」
父「っ……っっ」ハァハァ
母「あら、居たのですか?」
父「やっ……山を飛び、谷を越え、先ほど家に着きました……っ」
ルビィ「がんばルビィ!」
ダイヤ「ほら、お父さまの分もありますわよ?」
父「う"んっ」
母「さて、それでは頂きましょう」
『いただきまぁーす!』
ダイヤ「〜♪」
ルビィ「おいひぃ〜♪」
ダイヤ「ルビィ。いちごって、この粒々が本体らしいですわよ」
ルビィ「!?」
父「……そう言えばさ」
ダイヤ「はい?」
父「人生初サヴァイバルだったけど、二人とも感想プリーズw」ビャッ
ダイヤ「……」ベタッ
父「カブトムシ食ったww?ねぇねぇwww」
ダイヤ「……ゴミ屑虫」
父「!?」
母「拷問の時間です」
父「!!?!?」
ルビィ「……」グリグリッ
ルビィ「……コレが、本体?」
【おわり】
0029名無しで叶える物語(たこやき)2024/03/13(水) 16:05:02.45ID:ba8MbKNY
淡々と不条理な感じ、なんか惹かれる
0030名無しで叶える物語(やわらか銀行)2024/03/13(水) 23:10:35.78ID:hl68z0su
何より
0031名無しで叶える物語(ちゃんぽん)2024/03/13(水) 23:36:39.06ID:BtU51wsV
見たいだけど知らない世代の男性」をバカにされないの
他に居ないから固定してる可能性が高い)