しずく「ふわぁ…あぁ…」
璃奈「しずくちゃん寝不足?」
しずく「そうかも…最近寝つきが悪くて」
かすみ「だらしないなぁしず子、きちんと寝れないと演劇にもスクールアイドルにも支障が出ちゃうよ?」
しずく「むぅ、うるさいけど言ってることは正しい…」
かすみ「そんなしず子にかすみんが救いの手を差し伸べてあげますよぉ」
しずく「何かいい考えがあるの?」
かすみ「まぁ、かすみんに任せて着いてきて」
雑貨屋
かすみ「えーと、あ!これとか似合うんじゃない?」
璃奈「これはアイマスク?かすみちゃんにしては実用的なアイディア」
かすみ「にしては、は余計だけど最近見つけてピンときたんだよね」
しずく「な、何このデザインは…」
かすみ「ご当地アイマスク福岡県バージョン、ほら似合ってるよしず子〜」
しずく「珍しくまともな意見をくれると思ったら、こんな変なものを付けさせてからかいたいだけでしょ! 」
かすみ「変だなんて作った人に失礼じゃんしず子、それに、ヒヒヒやっぱりお似合いだよぉ」
しずく「むうう、こんなのいらない!」
璃奈「アイマスクで睡眠に集中してみるのはいいと思うよ。それとしずくちゃんって福岡のイメージがある、なんとなくだけど」
しずく「璃奈さんまで…」(福岡のイメージって…?)
かすみ「そうそう、意外と効果あるんだよこれ。じゃあかすみん、これ買うからしず子にプレゼントするね。貰い物を断るなんて事しないでしょ?」
しずく「え?プレゼント?」
璃奈「私も欲しいから買って」
かすみ「えー、りな子は付き添いじゃん」
璃奈「買って買って」璃奈ちゃんボード『じー』
しずく(かすみさんからのプレゼント…こんなのだけどプレゼントには変わらない…)
かすみ「ん?何しず子?やっぱりいらない?」
しずく「い、いえ!そこまで言うなら貰ってあげるけど」
かすみ「はい、折角あげるんだからちゃんと使ってよ」
しずく「分かってるって、でもこのデザインはやっぱり…家でしか使えないかな」
1週間後 しずくの部屋
しずく「寝不足、治っちゃった…アイマスクを付けただけでこんな効果があるなんて。かすみさんの提案が当てずっぽうじゃなかったのも意外すぎて」
かすみの部屋
かすみ「クシュン!寒くなってきたかな、そろそろ寝よう。そういえばしず子アイマスク使ってるかな。あのヘンテコなデザインを付けたしず子で笑うために適当に嘘ついちゃったけど」
しずく「折角だからもっと色んなアイマスクも使ってみようかな。こんなに効果があると思わなかったし他にいいものがあるなら…と今使ってるのは」
「かすみさんからのプレゼント…保管しておこっと、お礼のメッセもしておこうかな」
メッセ
かすみさん、この前はありがとう。
私も新しい…
しずく「ふわぁ…一気に眠くなっちゃった。ちゃんと送れたよね。それじゃあ、おやすみなさい」
しずく「今日もいい目覚め。やっぱりアイマスクと相性は良さそう。あれ、何このメッセの数」
かすみ
メッセ 30件
着信 20件
しずく「何これ、嫌がらせ?イタズラにしては単調というか…これはもしかして怒ってる?」
メッセ
しず子!起きてる?
返事が欲しいんだけど!
早く返事して!
しずく「アイマスクを自分用に買おうって報告しただけでこんなに怒るかなぁ。使うのをやめたのは申し訳なさもあるけど、保管するってことはちゃんと伝えておこう」
着信音
しずく「あ、電話。もしもしかすみさん」
かすみ「しず子ぉ!いまどこにいるの!」
しずく「い、家だけど」
かすみ「なら今すぐ部室に来て!」
しずく「今すぐは無理だよ、学校から遠いって知ってるでしょ?」
かすみ「じゃあなるべく早めに来て!待ってるから!」
しずく「かすみさんとんでもなく怒ってたけど、そんなに思いを込めてプレゼントしてくれてたんだ。ちゃんと謝って説明しないと」
同好会部室
しずく「おはようございます」
かすみ「おはようしず子、座って。話があるから」
しずく「う、うん。それで話って」
かすみ「あのメッセ、どういうことなの?」
しずく(やっぱりアイマスクの件で怒ってるのか)「ええと、あの文面通りなんだけど」
かすみ「嘘でしょ。しず子本気で辞めるわけ?」
しずく「(貰ったアイマスクを使うのを)やめる?うん、そうだけど」
かすみ「そんな…何で…」ウルウル
しずく(え…!泣きそうになってる。そんなに思いを募らせてたの)
かすみ「理由は?辞めちゃう理由は?」
しずく「えっと、改めて私に似合う(アイマスクのデザイン)のがあればなって」
かすみ「しず子に似合う…かすみんは、かすみん達じゃ似合わないの?」
しずく(達…あぁ璃奈さんにもプレゼントしてたっけ。あっちのデザインもちょっと)「うーん、ごめんね。私にはやっぱり似合わないかなって」
かすみ「そうなんだ…しず子はもうかすみん達とは一緒にはいられないんだ」
しず子「わ、悪いとは思ってるけど(アイマスクを買い換えるだけで)そこまで深刻にならなくても」
かすみ「なるよ!こんな一大事、ならないっていう方がどうかしてるよ!」
しずく(そんな大袈裟な…どうにかして納得してもらわないと)
かすみ「この事はかすみん以外にもちゃんと話したの?」
しずく「え?するわけないけど、何で急に」
かすみ「はぁ?先輩達に相談すらしてないわけ?おかしいってしず子、辞めるにしたってせめて順番ってものがあるでしょ!」
しずく「いや、わざわざこの程度の事を皆さんに報告する方が変だって。強いて言うなら璃奈さんくらいかな」
かすみ「1年生だけで解決していい話じゃないでしょ…ふざけないでよしず子…何でそんな酷いことばかり言えるの…」ウルウル
しずく(完全に泣いちゃってる…!何で?私が悪いの?1年だけで集まって買ったアイマスクを先輩方に報告するなんて少なくとも逐一言うことじゃないと思うけど)
かすみ「しず子ぉ…お願いだからかすみんはともかく先輩達やりな子にはちゃんとした態度でいてよ…こんなしず子を見たら皆さん絶対に悲しんじゃうよ…」
しずく「もう、私にも説明不足なところはあったけどここまで理不尽に怒られたり勝手に悲しまれても困るよ。それに先輩方や璃奈さんだって気にしないって(私がアイマスクを買い換えるなんて)」
かすみ「…よーく分かった。しず子はもう同好会から一刻も早く離れたいんだって、ならもう出ていっていいよ」
しずく「えぇ!何でそんな話が飛躍して。かすみさんちょっと被害妄想が激しすぎるって」
かすみ「何でかすみんがそんな事言われなきゃならないの!しず子の態度が悪いんじゃん!出ていきたいなら早く出ていって!」
しずく「だから出ていかないよ!かすみさんこそ意固地になりすぎだって!私は私でちゃんと考えはあるしどうしても嫌ならお金(プレゼント代)も返すよ」
かすみ「薄情な態度の次はお金で解決ですか、酷いにしてもここまで来ると笑えちゃうねしず子。もう顔も見たくない。しず子が出ていかないなら徹底抗戦だよ、皆さんにも説得してもらうから」
しずく「ねぇ、だから出ていくとかそういう話はやめようよ。そこまで大事にする必要はないって」
かすみ「ああ言えばこう言う、言い争うのも疲れた。もう絶交だから。さよならしず子、二度と話さないで」
しずく「絶好だなんて、そんな軽々しく言っていいことじゃないってかすみさん」
かすみ「軽々しいのはそっちだってずっと言ってるでしょ!もう話しかけないで!」
侑「おっはよー、あれ二人とも早いね」ガヤガヤ
かすみ「あ…侑せんぱーい!皆さーん!」
侑「うええ、どうしたのかすみちゃんそんな大泣きして」
かすみ「しず子が…しず子が同好会を辞めたいって切り出してきたんですよぉ…」
8人「えぇ!?しずく(ちゃん)が同好会を辞める!?」
しずく「…え?私が…同好会を辞める…?」
せつ菜「どういう事ですかしずくさん、本当なんですか?」
歩夢「何か事情があるの?」
かすみ「しず子ってば酷いんですよ、先輩達に断りもなく勝手に辞めようとしてたんですから」
果林「ちょっと急すぎないかしら?それに理由もないってことはないでしょう?しずくちゃん」
彼方「彼方ちゃんがしずくちゃんに起こしてもらってばかりだから?なら直すからぁ」
しずく(え?何?何で私同好会を辞める事になってるの)
愛「ねぇ、教えてよしずく、本当の事を」
エマ「言いたくなかったら、せめてこれからどうしようと思ってるのかは知りたいよ」
しずく(私も混乱してるんですよ、何で、かすみさんどういうこと?)
璃奈(…おかしい、しずくちゃん昨日まで全然そんな雰囲気も無かったのに急に気持ちが変わるなんてことも考えにくい)「かすみちゃんはしずくちゃんに何か言われたの?」
かすみ「しず子からメッセが来たの、ほらこれ」
メッセ
かすみさん、この前はありがとう。
私も新しいアイドルを探してみることにするね。
かすみ「これを見て新しいアイドルって何だろうって思って」
昨日 かすみの部屋
「クシュン!(省略)適当に嘘ついちゃったけど、ん?しず子からメッセだ。新しいアイドルを探す?どういうこと?何かあったっけ…?あ!」
3週間前
果林「無理言ってごめんなさい、皆で観戦したいってお願いして叶えてもらっちゃって」
姫乃「いいんですいいんです、果林さんの頼みならどんなことでもお答えするつもりです!」(藤黄主催のスペシャルライブに果林さんを招待したけれど、そしたら虹ヶ咲の皆さん全員が来るなんて…でも気配り上手な果林さんも素敵ですぅ)
果林「お礼に今度デートしましょう?」
姫乃「ドキッ!ぜぜ、是非おおお願いいたしますぅ!」
侑「楽しかったなぁ。藤黄だけじゃなくて色んな学校のスクールアイドルも見れてトキメいちゃった!」
歩夢「侑ちゃんが楽しかったのは良かったけど私も負けないくらいのパフォーマンスをするからちゃんと見ててよ!」
彼方「遥ちゃんのライブも見れて大満足だよ、しかもあんないい席で」
愛「あんな弾けてるカナちゃん初めて見たよ。愛さんビックリ!」
せつ菜「スクールアイドルは応援にも全力投球、応援のしがいがあるステージの連続でした!」
エマ「せつ菜ちゃんのそれ聞いたことある。青春って言うんだよね?」
璃奈「楽しいだけじゃなくて参考になる1日になれた」璃奈ちゃんボード『むん!』
しずく「そうだね、私は特に演劇とライブを織り混ぜたあのスクールアイドルのステージは釘付けでした」
かすみ「しず子、ひょっとしてあの学校のスクールアイドルの皆さんと一緒にライブしたいなんて思っちゃった?」
しずく「な、そんなことないもん!ただ勉強になったって言いたかっただけだよ!でも…虹ヶ咲に入る前にあの方々と出会ってたら、違う道を行ってたかもしれないかも」
かすみ「…それはかすみんもあり得たかも、でも今はこうやって虹ヶ咲で集まったんだからそういのうはなしだからね!」
しずく「はいはい、かすみさんは寂しがりですからね」
かすみ「そんなんじゃないもん! 」
…
かすみ「やっぱりしず子、あの学校でスクールアイドルをしたいのかも…新しいアイドルを探すってそういうことだよね?古いのはかすみん達ってことで。嫌だよ、冗談だと思ってたのに」
しずく「ちゃんとメッセ送れたよね…確認しなくても…いいか、もし間違ってたら明日説明すればいいし」
かすみ「しずこ起きて!駄目だ既読にならない。電話も繋がらないし…明日聞くしかないか」
かすみ「全然寝れなかった…とにかく部室で話そう、それまでに出れそうなら電話をかけて」
しずく(う、嘘…メッセ打ち間違えてた…しかも一番大事な所を、変換の所を押し間違えちゃったんだ、だからお互いの話が噛み合わずに)
かすみ「これが何よりの証拠です!しず子、かすみんにだけこのメッセを送って辞めようとしてたんです! 」
しずく「かすみさん…ごめん…そのメッセ打ち間違えちゃった…」
かすみ「見てください…酷いですよね…え?打ち間違い?」
しずく「うん…本当はアイドルじゃなくてアイマスクって打ってたと思い込んでてね」
かすみ「アイ…マスク…?なんでそんな事を急に連絡しようって」
しずく「何でって、かすみさん私にアイマスクをプレゼントしてくれたじゃない?だからその縁もあって」
かすみ「えっと…あぁしてたっけそんなこと」
しずく「そ、そんなことって!かすみさん忘れてたの!プレゼントなんて言われてたから大切に使ってたのに!」
かすみ「そうだったの?あ…実はその時にアイマスクは効果があるって言ったと思うんだけどあれ適当に言っただけで…」
しずく「嘘だったの…私信じて使ってたんだよ!」ウルウル
かすみ「あぁ…ごめんごめん!イタズラだったの、まさかそこまで本気にしてたなんて、しず子なら見破るかもって思ってたから」
しずく「偽のプレゼントを貰って、私その気になってかすみさんにお礼を言おうと思ってて…」
かすみ「わあぁ…ごめんなさい!ごめんなさい!しず子がこんなに真剣に悩んでたって思ってなくて!」
しずく「そうじゃないよ…かすみさんにプレゼント貰って…でも新しいアイマスクにしたかったから後ろめたさもあったから…謝ろうと思ってたのに…全部バカみたいじゃない…」グス
かすみ「ごめんね!お願いだから悲しまないで…かすみん今度はしず子にちゃんと似合うものをプレゼントするからぁ…」グス
璃奈「ねぇ、二人とも」ポン
しずかす「ヒック…なに…」
璃奈「ん」
しずかす「あ…」
侑「えーと、盛り上がってるとこ悪いんだけどさ」
歩夢「しずくちゃんは同好会を辞めようだなんて最初から思ってなくて」
果林「かすみちゃんがその辺を勘違いしてて」
愛「そのまま朝まで連絡が取れなくて」
彼方「急に連絡が来てしずくちゃんが慌てちゃって」
せつ菜「お二人で違う話題で話し合いをしていたら」
エマ「内容がズレちゃって話が噛み合わなくなっちゃって」
璃奈「他愛のない話が勘違いで皆を巻き込んだ騒動になった」
しずかす「えっと…その…はい…その通りです…」
後日 同好会
しずかす「おはようございます…」
果林「あら仲良しカップルのお出ましね、ふふ」
エマ「ダメだよ果林ちゃん、二人をからかったら、ふふ」
せつ菜「そうですよ、お二人は本気でぶつかってたんですから、ふふ」
愛「愛さん二人だけの時の会話も見てみたかったなぁ、ふふ」
彼方「きっと二人の熱い一幕が見れたかもなぁって、ふふ」
歩夢「ごめんね、本当は良くないことだけど凄く微笑ましくて、ふふ」
しずかす「…」
侑「皆駄目だよ笑っちゃ!私はとってもいいと思ったよ!形はどうであれお互いの思いが強かったからぶつかり合いが起きたんだし寧ろ良いことだよ!私完全にトキメいちゃったもん!」
しずかす「侑先輩、フォローはいいですから…余計に恥ずかしい…」
ニコニコ
ヒューヒュー
しずかす「きゅう…」
璃奈「二人とも」ポン
しずかす「璃奈さん(りな子)…」
从[´・֊・]从 👍
かすみ「…わーん!しず子があんな打ち間違いしなかったらこんな恥ずかしい思いしなくて済んだのにー!」
しずく「…かすみさんこそあんな沢山連絡を送ってこなかったら後で見返せてたのにー!それにイタズラなんかしようとしたのが悪いんじゃない!」
かすみ「そうだけど…とにかくしず子が同好会辞めなくて良かったよー!ごめんなさーい!」
かすみ「私もかすみさんがプレゼントしてくれたアイマスクを使い続けるから!ありがとーう!」
しずかす「わーん!」
从[´・֊・]从 かすみちゃんとしずくちゃんの勘違いドタバタ劇は取り敢えず解決して二人は皆から仲良しカップルとして暫く茶化されましたとさ
Fin