0001名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:33:04.63ID:QPKikXyS
0002名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:33:27.73ID:QPKikXyS
愛「『青は進め』だよね」
果林「そうね」
愛「赤は?」
果林「『止まれ』でしょ。当たり前じゃない」
愛「果たしてそうかな?」
果林「え?」
愛「今から、信号の常識を言葉の上で覆すね」
愛「『赤は進め』、『青は止まれ』にしてみせる」
果林「面白そうじゃない。やってみてよ」
0003名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:33:51.90ID:QPKikXyS
愛「まず赤と青を平等に扱うために、中立の状態から話を始めよっか」
果林「?」
愛「つまり、今カリンは交差点の真ん中にいるとして」
果林「ええ」
愛「その時、信号が青だったら?」
果林「『進め』でしょ」
愛「赤だったら?」
果林「『止まれ』でしょ」
0004名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:34:09.75ID:QPKikXyS
果林「…………ん? 危ない、進まなきゃ危ないわ」
愛「はい、『赤は進め』だ」
果林「本当だ……」
愛「その信号に交差してる車は、青だけど……」
果林「『止まれ』!」
愛「『青は止まれ』」
果林「本当だ……」
0005名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:34:36.99ID:QPKikXyS
愛「つまりさ? 『赤だから止まる』んじゃない。『赤の時は危ないから止まる』んだよ」
愛「『青だから進む』じゃない。『青でも危ないなら進んじゃ駄目』なんだ」
愛「路上駐車をしないのは、『駐禁のマークがあるから』じゃない。『迷惑だから』だよ」
愛「お酒飲んだら運転しちゃいけないのは、『検問をやってるから』じゃない。『危ないから』だよ」
愛「ルールを守ることは、その言葉の表面にだけ従うっていう意味じゃない」
愛「大事なことは、そのルールが持ってる意味を! 理解するってことなんだよ!!」グッ
果林「うん、なるほどね」
愛「でしょ?」
果林「『赤は進め』、『青は止まれ』っていうことだったのね」ウンウン
愛「いや違うよ?」
果林「え??」
0006名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:35:04.12ID:QPKikXyS
愛「違う違う。『青は進め』、『赤は止まれ』だよ」
果林「何言ってるのよ。交差点の真ん中で信号が赤になったらどうするの?」
愛「そりゃ、『進まなきゃ』……」
果林「車は?」
愛「『止まれ』!」
果林「ほら」ドヤッ
愛「ホントだ……」
愛「『赤は進め』、『青は止まれ』だったんだ」
愛「とはならないからね」
果林「え??」
0007名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:35:28.05ID:QPKikXyS
愛「……カリンってさ、どんな理不尽な条例が出ても、あっさり従っちゃうタイプだよね」
果林「なによ、理不尽な条例って」
愛「たんか条例とかだよ」
果林「救急車で運ばれるとか?」
愛「違うよ、日常会話を五・七・五で喋んなきゃいけないんだよ」
果林「そっちの短歌なの? 出るわけないじゃない、そんな条例」
0008名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:35:54.52ID:QPKikXyS
果林「なによ、赤と青の話一つで随分じゃない」
愛「カリンを論破するのに色すらいらないかもね」
果林「どういう意味よ。私を操るのを面白がって、『透明人間はいる』とか言い出さないでよ?」
愛「……何言ってるの? いるでしょ透明人間は」
果林「え、いないでしょ?」
愛「いるよ透明人間」
果林「いないわよ、これは流石に説得されないわよ。いるわけないでしょ? 透明人間なんて」
愛「なんで決めつけるのさ」
果林「見たこと無いもの」
愛「いや、そりゃ透明人間だもん。誰も見たこと無いよ、透明なんだもん」
0009名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:36:25.30ID:QPKikXyS
果林「だっておかしいじゃないのそんなの、常識的に考えて」
愛「ふっ、ジョーシキね」
愛「カリンみたいな人がハリウッド条例とかが出たら、あっさりウィットに富んじゃうんだよ」
果林「そんなこと言われても、見えない透明人間を信じろっていう方が難しいじゃない」
愛「カリンは見えないものは信じないの?」
愛「例えば昼間、星は見えないけど、カリンは存在を疑う?」
果林「それとこれとは完全に違う話じゃない」
果林「私は星の存在は信じるわよ。だって見たことあるもの」
果林「でも透明人間は見たことないもの」
0010名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:36:47.71ID:QPKikXyS
愛「そりゃ透明人間だもん。誰も見たこと無いよ、透明なんだもん」
果林「じゃあなんでいるって言い切れるのよ?」
愛「『いないって言い切れない』からだよ」
果林「……何? その理論」
愛「ラブライブでさ、μ's VS A-RISE。A-RISEが負けたことが分かりました」
愛「それでもカリンは、『μ'sが勝ったとは限らない』って言うの?」
果林「…………」
果林「……???」
果林「例えが遠すぎて分かんないわよ!」
0011名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:37:14.66ID:QPKikXyS
果林「だったら、証明してみなさいよ」
愛「え?」
果林「だから、透明人間が見えないっていうことは分かったわ」
果林「見ること以外に、その存在を証明する方法は無いの?」
愛「うーん……」
愛「……よし、じゃあこう聞こう」
愛「カリンは透明? それとも不透明?」
果林「私は不透明よ」
愛「じゃあ不透明人間ってことだよね」
果林「まあ言うなればそういうことね」
0012名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:37:40.43ID:QPKikXyS
愛「もう一回。『貴女は不透明人間ですか?』」
果林「ええ」
愛「……よしっ。今アタシは、透明人間の存在を証明したよ」
果林「…………えっ?」
愛「だってさ、『不透明人間』っていうのは、透明人間の存在を肯定した上での表現でしょ?」
果林「いやいやいやいや。だからその認めたのは、概念としての透明人間であって、実際にいるかどうかはまた別の話じゃない!」
愛「じゃあカリンは不透明人間を認めないんだね?」
果林「認めないわ」
愛「……不透明人間を認めない、ってことは、カリンは透明人間だよね」
果林「…………あー!」
愛 ドヤァ ←めっちゃGoing!!決めポーズ中
0013名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:38:08.91ID:QPKikXyS
果林「なによ愛ったら!」
愛「どーだー!」
果林「見事に証明されちゃったわ。しかも私が透明人間!!」
愛「……カリンってうやうや条例とかが出ても、あっさり従っちゃうタイプだよね」
果林「なによ、うやうや条例って」
愛「日常会話をうやうやしく丁重にお喋りになられるんだよ」
果林「いやぁ、でも意外だったわね。そっか、私は透明人間だったのね!!」
愛「違うよ?」
果林「えっ!?」
0014名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:38:28.11ID:QPKikXyS
愛「カリンは透明人間じゃないよ」
果林「でも証明されたじゃない。私、透明人間なんでしょ?」
愛「見えてるよ?」
果林「あっ違った……」
果林「えー……がっかりだわ……」ズーン
果林「でも、いるのはいるんでしょ?」
愛「何が?」
果林「透明人間!」
0015名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:38:51.77ID:QPKikXyS
愛「何言ってるの? いるわけないじゃん透明人間なんて」
果林「なんで決めつけるのよ」
愛「見たこと無いもん」
果林「それは透明人間だもの。誰も見たことないわよ、透明なんだから」
愛「だっておかしいじゃんそんなの、ジョーシキ的に考えて」
果林「出た、常識。愛みたいな子がミュージカル条例とかが出たら、あっさり歌っちゃうのよ」
愛「そんなこと言われたって、見えない透明人間信じろ、っていう方が難しいじゃん」
果林「愛は見えないものは信じないの?」
果林「例えば、いま私の裏側は見えないけど、貴女は存在を疑うの?」
愛「…………」
愛「???」
0016名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:39:29.78ID:QPKikXyS
愛「ごめん、なんだって?」
果林「だから、いま愛が見てるのは私の表側でしょ?」
果林「貴女は『見えないから裏側は無い』って言ってるのよ?」
愛「…………言ってないよ?」
愛「いや、それとこれとは完全に違う話じゃん。だってアタシはカリンの体が両面あるの見たことあるもん」
愛「でも透明人間は見たことないもん」
果林「それは透明人間だもの。誰も見たことないわよ、透明なんだから」
愛「じゃあなんでいるって言い切れるの?」
果林「感じるのよ」ドヤッ
愛「…………」
愛「んぁ???」
0017名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:39:49.78ID:QPKikXyS
果林「貴女は、目と目の間に人差し指を近づけると、なんかモヤっと感じるでしょ?」
愛「……感じない」
果林「……」スッ
愛「…………」
愛「あぁっ、感じる……っ」モヤッ
果林「それでも愛は、私の指は遠いって言い張るの?」
愛「いや、指は近いけど……例えが遠すぎて分かんないよ」
愛「だったら証明してみてよ」
果林「どういうこと?」
愛「大体分かるでしょ、話の流れで!?」
0018名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:40:18.68ID:QPKikXyS
愛「だから、透明人間が見えないことは分かったよ」
愛「見ることと感じること以外に、存在を証明する方法は無いの?」
果林「証明する必要なんて無いわよ」
愛「……なんで?」
果林「…………いるからよ」ユビサシ
愛「いや……カリンにとってはそうかもしれないけどさ!」
愛「アタシはほら……まだ、だから。ね?」
愛「アタシはっていうか、カリン以外全員まだだからね?」
愛「証明が必要でしょ、証明が!」
果林「愛ってば、しょうめい人間なの?」
愛「なに、しょうめい人間って」
果林「照明さんのことよ」
愛「また話が見えなくなってきたぞぉ!」
0019名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:40:57.69ID:QPKikXyS
果林「それじゃあこう聞こうかしら。愛は透明? 不透明?」
愛「アタシは、不透明だよ」
果林「ということは、不透明人間ね?」
愛「おっ、来たね。ただし、透明人間の存在を肯定した上での不透明人間、っていう意味じゃないからね」
果林「じゃあ、非不透明人間ってことね?」
愛「……うんうん。ただし、巡り巡って透明人間っていう意味の、非不透明人間じゃないからね」
果林「じゃあ、逆非不透明人間ね?」
愛「…………ん? ん?」
果林「違うの? じゃあ、逆非不透明人間以外ってことなのね?」
愛「……ぎゃく…………ひ……」
愛「今どっち???」
0020名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:41:38.04ID:QPKikXyS
愛「一回話整理しよっか。その、逆非不透明人間以外っていうのは一旦置いといて」
果林「あら、脱逆非不透明人間以外ってことね!」
愛「もうカリンの話が不透明になってきたよ!! なんなのそれ」
果林「なによ。脱逆非不透明人間以外に否定的じゃないの」
愛「もう何がなんだか分かんないよ」
愛「カリンも分かってないでしょ」
果林「……てへっ」ペロッ
果林「だったら、逆に証明してみなさいよ」
愛「逆に証明っていうのはどういうこと???」
果林「だから、透明人間はいないっていうことを証明してみて、って言ってるのよ」
愛「……なんだろう。歌ってもないのにアンコールに答えさせられてる気がする」
0021名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:42:02.87ID:QPKikXyS
果林「できないの? できないのね?」
果林「いる! 透明人間は絶対いる!!」
愛「ちょっと待ってよ。だってさ、透明人間の存在はついさっきアタシから知ったんだよ?」
果林「ついさっきよりも前に透明人間はいるもの」
愛「じゃあなんでそれをカリンが知ってるわけ?」
果林「…………見たもの」
愛「ウソつかないでよ!!」
果林「嘘じゃないわよ!! 見てないなんて証明できないでしょ!!」
愛「透明な透明人間どうやって見たっていうの!!」
果林「透明って言っても、ちょっとは見えるのよ!」
愛「ちょっww都合のいいこと言わないでよ!」
果林 ドヤッ ←Starlight決めポーズ中
0022名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:42:31.93ID:QPKikXyS
愛「え? え? じゃあ何?? カリンが言ってる透明人間っていうのは、どのくらいの透明人間なの??」
果林「それは何、身長?」
愛「違うよ」
果林「音域?」
愛「違うよ! 透明人間の歌唱力には興味ないよ」
愛「その……透明度だよ」
果林「?」
愛「えっと……ペットボトルってさ、あれ透明じゃん」
果林「透明ね」
愛「でも見えるじゃん」
果林「ええ」
0023名無しで叶える物語(茸)2020/10/15(木) 22:42:43.54ID:Mk0zq2Jj
何で芸人のネタをラブライブキャラにやらせるの?
0024名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:42:53.43ID:QPKikXyS
愛「ってことはさ。こういう素材で出来てる人間がいたら、これは透明人間って言えるよね」
果林「……それは違うわよ。それはペットボトル人間じゃない」
愛「……ペットボトル人間ってなに??」
果林「いるわけないじゃないそんなの!!」
愛「透明人間もいないんだよ!!」
0026名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:43:35.28ID:QPKikXyS
果林「いるって言ってるでしょ!!」
愛「どこにいるの!」
果林「そこかしこよ」
愛「どんだけいんのさ」
果林「まあ普通の人間の倍くらいかしら」
愛「多い多い多い。そんなにいたら普通の人間とぶつかっちゃって、危ないじゃん」
果林「ぶつからないわよ、すり抜けられるから。ほぼ空気だからね」
愛「……ほぼ空気って言った今?」
果林「ええ」
愛「ほぼ空気って言った今?」
果林「ええ」
愛「ほぼ空気って言った今?」
果林「ええ」
0028名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:44:06.81ID:QPKikXyS
愛「ほぼ空気って言ったらさ、それはもうもはや、イコールいないってことじゃないの??」
果林「いや、イコールじゃないわよ。『いる>いない』でしょ」
愛「いやいや、『>』ってことは、片やちょっといないかもしれないってことだよ?」
果林「いやいやいや、『≧』じゃないのよ? 『>』なのよ??」
果林「『透明人間いるなりいないかもしれなくないなり』よ」
愛「………………」
愛「はぁ???(泣)」
0029名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:44:40.75ID:QPKikXyS
果林「だから、イコールじゃなくて『イール』なの」
果林「いるから『イール』なの」
愛「……もう分かんないよ」
果林「愛ってばお馬鹿さんね」
愛「はははっww」
ゴチッ ← 果林のおでこを小突く音
愛「ここにだけ言葉禁止条例が下りますように……!」
0030名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:45:06.22ID:QPKikXyS
愛「分かったよ。いるよいる。いるでいいよ」
果林「認めるのね?」
愛「うん透明人間は 果林「イール!」 いる」
果林「イールね」
愛「いる」
果林「イールね」
愛「いる 果林「イール」」
果林「イールって言って」
愛「いる 果林「イールって言って」 透明人間はいr」
かりあい「「イール」」
0031名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:45:30.78ID:QPKikXyS
愛「透明人間は存在するよ……」
果林「まあどうしてもそうなっちゃうわね」
愛「だって見たんでしょ?」
果林「ばっちり見たわ」フフン
愛「もうさ、その時点でパラドックスは発生してるんだからね??」
愛「じゃあ結論としてはさ、『透明人間は不透明』ってことだよね?」
果林「まあどうしてもそうなっちゃうわね」
0032名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:46:04.65ID:QPKikXyS
果林「ただ、これだけは覚えておいてほしいの」
果林「透明人間っていうのは、『いる』とか『いない』とか、『見える』とか『見えない』とか、そういうものじゃないのよ」
愛「…………」
果林「透明人間っていうのは、みんなの心の中にいるの」胸に手を当てる
ベシッ ← 果林の頭を叩く音
果林「誰も私達から、透明人間を奪うことはできないのよ!」キリッ
愛「それは、なに、サンタクロースみたいなものってこと?」
果林「そうそう、そういうこと」
果林「なんにもくれないけどね」
愛「いないからね」
果林「まあどうしてもそうなっちゃうわね」
0033名無しで叶える物語(たまごやき)2020/10/15(木) 22:46:55.76ID:QPKikXyS
果林「でもね、最近時々思うの」
果林「透明人間なんて、本当はいないんじゃないか、って……」トオイメ
愛「」ゾワゾワゾワ
愛「だからさぁ!」
果林「でもいいの! もしも透明人間がいなかったとしても、私の人生にはなんの影響もない!!」
愛「それはね、心配に及ばないよ。だって透明人間なんていないからね!」
果林「まあどうしてもそうなっちゃうわね」
愛「えーと、これは満場一致ということでいいかな?」
果林「」キョロキョロ
果林「まあどうしてもそうなっちゃうわね」
おわり
0034名無しで叶える物語(なし)2020/10/16(金) 00:00:54.44ID:vSfgxfLI
乙 条例が楽しみだ
久々にラーメンズのコントみたけど作り込みがすごいわ
この講演のクオリティすごいね