──やってしまった。
目が覚めてようやく気がついた。自分がとんでもない過ちを犯してしまったということを。
隣ではさらがまだ寝息をたてている。
今、彼女の心臓は規則正しく鼓動している。
昨晩私と肌を重ねているときはまるで早鐘を打っているかのようだったのに。

『めぐ、こんなことダメ……だよ……』

うわ言のようにそう呟くわりには、抵抗らしい抵抗はしてくれなかったね、さら。
あの時君が本気で拒んでくれたら、私は今こうして君と同じベッドで毛布に包まってなんかいないのに。

私はただ、寂しかったんだ。
最近、さらの卒業が近づいてきたのが苦しくて苦しくて。
心が離れていくのが止められないなら、せめて誰かを体で繋ぎ止めておきたかったんだ。

「さら、ごめん……」

シーツに広がる彼女の髪に手を触れようとして、止めた。
こんな私にその資格はない。
でも、もし……
もし君が、許してくれるのなら。
もし君が、昨夜の過ちを過ちで終わらせたくないと思ってくれているのなら。
もう一度、君にキスしてもいいかな?
離れたくないよ、さら。