■直6エンジン、FRプラットフォームの狙いは?

鈴木直也 まず聞きたいのが、前回の決算報告で少し遅らせると発表した直6エンジン、
FRプラットフォームのことですが、マツダの販売規模でペイできるのか? という心配があります。

藤原清志副社長 同じ6気筒でもV型にするのはコストがかかりますが、直列のままならそんなにかかりません。
V6は必ずショートストロークになるので4気筒と違う燃焼になりますけど、同じ燃焼なら2気筒足すのはラクです。

鈴木 マツダの一括企画の流れで見ると、そんなに困難ではないと。

藤原 大排気量はV型ではなく直列の6気筒でいくと2008年から決めていましたから。
なぜ直6かというとエミッション規制がどんどん厳しくなる。
そうすると排ガスを減らすための補機類がV型だと2列分いるけど、直列ならひとつでいい。

また電動化への対応もしやすいし、あとは衝突ですね。オフセット衝突がどんどん厳しくなるなかで、
6気筒を真っ直ぐに置けるとフレームも真っ直ぐに通せて有利なんです。

鈴木 ベンツが直6エンジンをやめた時、衝突安全性が直6は不利だからと言ってましたが、ひっくり返りましたね。

藤原 オフセット衝突が厳しくなったことがどんどん状況を変えています。実は、クルマの歴史を全部調べたんです。
パッケージ優先だったFFから、ある時期に横置きV6のFFが登場し、その4WDも出てくると、
プロペラシャフトがフロアを通って縦置きのFRとほとんど室内の広さが変わらなくなる。

衝突対応していくと、どんどんスペースが食われて縦置きFRのほうがある時から逆転し始めるんです。
そこまで調べ、将来を見据えて今回の決断に至ったわけです。
「走る歓び」だとか「プレミアム」といってFRをやってるわけじゃない。すごく論理的に考えてやっているんですよ。

鈴木 直6、FRで、マツダ車が手の届かない価格ゾーンにいっちゃうという懸念がありましたが、
コストを抑えるためにやっているんですね。

藤原 アメリカでは大排気量エンジンが必要で、今言った理由で大排気量なら縦置きのFRにするとコストが抑えられる。
だけど、高価だとかプレミアムだとか言われてしまう。違うんですよ。早くクルマを出して証明したいんですけどね(笑)。