エンジンの熱効率でトヨタが考えていることを説明しよう

―新設計思想「TNGA」を適用したエンジンの展開を2017年からはじめました。
 「第1弾で排気量2500cc、第2弾で同2000ccを投入しているが、内燃機関やパワー
トレーンの考え方は省エネルギー、
燃料多様化への対応、そして一番大事なエコカーは普及してこそ社会に貢献するという思いがある。
新しい加工法のレーザークラッドバルブシート工法などで燃焼をもう一段進化させて、高速燃焼に
よって内燃機関の素(す)のポテンシャルを上げた」

―熱効率はガソリン車用で40%、ハイブリッド車(HV)用で41%とそれぞれ世界トップレベルです。
「特徴は、ハイブリッドシステムと組み合わせることも考慮してできるだけシンプルに仕立てていること。
HV用は最高熱効率のほか、圧縮比もおそらく業界最高水準の14にしている。
ガソリン車用と生産ラインを共通化でき、生産性や開発効率を高めることも同時に成し遂げた」

―ある意味、制約がある中でエンジン単体の性能を最高水準に高めたのですね。
「20―30種類の改良を採用した。レーザークラッド工法は、バルブをまっすぐにするためバルブシート
にレーザーで合金を溶融し、抵抗感なくたくさんの空気を燃焼室に送り込むため高速燃焼につながる。
これからのエンジンの進化は圧縮比を高め、リーンバーンという薄い混合気をどれだけ上手に燃やせるかが
ベースとなる。
それと、排気や冷却水などに捨てているエネルギーの低減と回収する技術がセット。遮熱コート剤を使い、
熱を逃がさないことにも取り組む」