《電気自動車はガソリン車を超えるか》
ドライバーにとってEVは魅力的か?答は、今のところノーである。

@テスラのモデル3は今までより航続距離が伸びたが、それでも最大約500km。
これはカタログ性能で、リチウム電池の劣化は速いので、300kmぐらいとみたほうが安全だろう。これでは1泊2日の家族旅行が限界で、長距離トラックなどの業務用には無理だ。
出先に「充電スタンド」があればいいが、充電には30分以上かかる。
EVは自宅に充電設備をもつドライバーが買って、夜間電力で充電するものと考えたほうがよい。これは集合住宅では難しい。
地方都市で一戸建ての住宅から短距離通勤する人の高級自家用車としては使えるかもしれないが、逆にいうと充電スタンドは採算に乗らない。
今後も充電インフラが普及することは考えにくい。

AEVには発進加速がよいとか静かだという魅力もあるが、最大の魅力は燃費である。
条件の設定で大きく違うが、たとえば日産の公式サイトでは、1000km走る燃費は(夜間電力で)ガソリン車の約20%ということになっている。
しかしリチウム電池は高価なので、買ってから廃車にするまで5年間の「所有コスト」で考えると、平均約8万ドルで、
内燃機関(平均約3万6000ドル)の2倍以上というのが米エネルギー省(DOE)の計算である。

BEVは「エコ」だが日本では「エコノミー」ではない
日本の電気代はアメリカの約2倍なので、今の1バレル=50ドル以下の原油価格ではEVのコストはガソリン車よりはるかに高い。
原発を止めたままでは日本の電気代は2030年代には今の2倍(アメリカの4倍)になるので、EVは高価なままだ。
電力需要が増えると電気代がさらに上がり、EVをつくる自動車メーカーも日本から出て行くだろう。