「米韓」に隙間風
写真:現代ビジネス
北朝鮮を巡る米韓の対応の違いが明確になってきた。
韓国の文在寅大統領は、米国バイデン大統領がトランプ大統領方式の延長線上で北朝鮮金正恩委員長とトップダウン会談を行い、核開発問題に対応すべきだと主張してきた。しかし、ホワイトハウスのサキ報道官は3月29日に「バイデン大統領は金正恩委員長と会談する考えはない」と明らかにした。韓国の希望する北朝鮮対応は米国により拒否されたということである。
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米国の対北朝鮮政策の再検討が大詰めを迎えている。そうした中で焦眉の急は、3月25日の北朝鮮の短距離弾道ミサイルを日本海に向け発射したことに対する対応である。北朝鮮は21日にも西の海上へ2発の巡航ミサイルを発射していた。これは米韓合同演習への反発と考えられるが、バイデン政権はこれが弾道ミサイルではなく、国連決議1718に直接違反するものではないことから、いつものことだと静観する姿勢であった。
そこで北朝鮮は同25日、短距離弾道ミサイルを発射した。これは米国の出方を探ろうとしているのであろう。金正恩氏はいつもとは異なりミサイル発射には立ち会わず、米国を刺激するのを控えているかのような姿勢を示した。北朝鮮としては、これによって米国がどこまで強く反発するか、どのレベルまで米国が北朝鮮のミサイル発射を黙認するか探ろうとしたものと思われる。
北朝鮮がこれ以上核ミサイル開発を行うのを抑えるためには、北朝鮮に歩み寄るのではなく、米国をはじめ日本、韓国が一体となって毅然とした対応をすることが重要である。
なお、米軍は3月30日、陸軍ホームページに訓練に関する具体的な動向を公開した。それによれば、訓練は机上演習であり迎撃ミサイルは撃たなかったが、北朝鮮の弾道ミサイルを想定したものであったとの発表である。太平洋地域に駐留する米軍のミサイル部隊が合同訓練に同時に参加したのは初めてだそうである。こうした発表は、米軍としてミサイル迎撃の準備を進めているというメッセージなのかもしれない。
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(略)