【チューリヒ(スイス北部)秋山信一】安倍晋三首相は23日午前(日本時間23日夜)、スイスで開催中の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で講演した。6月に大阪市で開く主要20カ国・地域(G20)首脳会議で、世界経済の成長や格差是正に資するとして、国際的なデジタルデータの流通ルール策定を提唱すると表明。プラスチックごみの海洋汚染対策を各国に義務づける「実施枠組み」作りに意欲を示した。

 G20議長として招かれた首相は「今後何十年も成長をもたらすのはデジタルデータ」と述べ、「医療や産業など有益な匿名のデータは、国境をまたいで自由に行き来させねばならない」と強調。一方、個人情報や知的財産、安全保障上の機密は「慎重な保護」が必要とし、統一的なデータ管理の協議(大阪トラック)をG20で始めるよう呼びかけた。

 気候変動も主要な論点とするとし、海洋プラごみ対策について「世界中挙げての努力が必要だとの共通認識を作りたい」と訴えた。G20諸国から科学技術のリーダーを日本に招くと説明した。

 また首相は昨年末発効の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や、2月発効の日本と欧州連合(EU)の経済連携協定が「世界を潤す」と指摘。中国を念頭に、政府補助金への規制強化を含む世界貿易機関(WTO)改革も訴えた。

 首相にはG20で「成果」を上げ、その後の参院選のアピール材料とする思惑がある。講演では自民党の政権復帰後の日本の経済指標にも言及し、「高齢化していても成長は可能だ。(人口減少下で成長が難しいという)日本にまつわる『敗北主義』は敗北した」とアピールしてみせた。

時事通信社
1/23(水) 20:09配信
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