https://mainichi.jp/articles/20180410/k00/00m/010/165000c
防衛省が国会で「不存在」と説明していた自衛隊イラク派遣時の日報が見つかった問題で、
統合幕僚監部は昨年２月、部隊運用を担う部署での３時間程度の調査に基づき
「（日報を）見つけられなかった」との国会答弁案を作成していた。衆院予算委員会で当時の稲田朋美防衛相は
「残っていないことを確認した」とまで断言したが、不十分な調査に基づいて国会に対応したことが浮き彫りになった。
統幕は昨年２月１６日、民進党（当時）の辻元清美氏からの資料要求を受けて、イラクの日報の探索を指示した。
午前１１時３５分に陸上、航空、統合の各幕僚監部の運用担当部署に日報の存否をメールで照会し、
午後３時までに回答するよう求めた。統幕などの職員数人が同日夕から夜に辻元氏の議員事務所を訪問し
「不存在」と回答した。同１７日に日報に関する国会での質問通告があり、統幕は探索結果を基に答弁案を作成した。
２０日の衆院予算委で、稲田氏は民進党（同）の後藤祐一氏に「確認をいたしましたが、
見つけることはできませんでした」と答弁。約１時間後、共産党の畠山和也氏には「残っていないことを
確認いたしております」と断言した。実際には「ないと確認した」と答えた稲田氏自身が、答弁の２日後に
「イラクの日報は本当にないのか」と統幕総括官に疑義を伝えていた。日報はその後、当初は探索対象でなかった
陸上自衛隊研究本部（現在の教育訓練研究本部）などから見つかった。防衛省幹部は「探索も不十分だったが、
稲田氏の不正確な答弁が問題を大きくした」と指摘している。
安倍晋三首相は９日の参院決算委員会で「シビリアンコントロール（文民統制）にも関わりかねない
重大な問題であり、極めて遺憾だ」と陳謝した。
【秋山信一】
