https://www.asahi.com/articles/ASL3J74G0L3JUEHF01W.html?iref=comtop_8_01
改ざん問題、政府説明にほころび 首相答弁にも疑いの目
決裁文書の改ざん問題で、政府の説明に次々とほころびが出ている。安倍晋三首相の答弁にも疑いのまなざしが向けられる事態になっている。
官僚の忖度、背景に内閣人事局 異を唱えれば「クビ…」
「私個人には理解できない」。当事者の理財局長すらこう答弁した、決裁文書の改ざんはなぜ行われたのか。その背景にあるのはいったい…。
公明・横山氏「佐川氏に全責任を取ってもらおうとしているように見える」(14:05)
決裁文書の改ざんは、9日に国税庁長官を辞任した佐川宣寿・前財務省理財局長のみの責任なのか――。公明党の横山信一氏は、この問題をめぐって、こうした見方に疑問視した。
政府側の姿勢について、横山氏は質疑の中で「佐川氏に全ての責任を取ってもらおうとしているようにも見える」と指摘した。これに対する答弁で、後任の理財局長である太田充氏は「(文書の改ざんは)財務省理財局においてであり、それより上の大臣から指示があったりではないということだ」と説明。具体的に誰の指示だったかなどについては「今調査をしている」と述べるにとどめた。
太田理財局長「忖度とは本人の心の中。担当者の心の中まで見通す能力ない」(13:20)
「心の中まで見通す能力はない」。財務省の太田充理財局長は、財務省の森友学園との国有地取引をめぐる「忖度(そんたく)」の有無について、公明党の矢倉克夫氏から質問されて、そう答弁した。
太田氏は答弁の中で、「忖度というのは、基本的にはその本人の心の中ということ」とし、「担当者の心の中まで見通してお話しする能力は私にはない」と述べた。
矢倉氏はこれを受けて、「忖度というのは、される側が分かるわけではない。した側がどういう心の思いかというところだ」と指摘。「(財務省の)現場で苦労した方々も、やはりやりたくないことをやらされた被害者かもしれない」と述べ、財務省内の内部調査を速やかに提出するよう求めた。
内閣支持率急落受け、政府側の答弁に注目
週末に報道各社が実施した世論調査では、安倍政権の内閣支持率が軒並み大幅に低下した。朝日新聞の世論調査では支持率が31%となり、第2次安倍政権発足以降最低になった。
財務省の決裁文書改ざん問題をめぐっても、安倍晋三首相にどの程度責任があると思うかを尋ねると「大いに」と「ある程度」を合わせ、「責任がある」は82%にのぼった。
政府や与党側はこれまで、改ざん問題を「謝罪」しつつ、その責任を、主に財務省理財局の一部や佐川氏にあると主張している。ただ、世論調査の結果、国民はそうは見ていない様子が浮き彫りになった。世論調査の結果を受け、政府側の答弁に変化が見られるかも注目される。
批判強める公明、どう質問?
午後に2人が質問に立つ公明党。財務省の決裁文書の改ざん疑惑が浮上した当初は、この問題から距離を置いていた。だが、財務省が改ざんを認めてからは批判を強めている。
今月14日の参院予算委員会では、今回と同じ顔ぶれの2人が質問に立った。質疑では、改ざんについて「理財局だけの判断でできるのか。別の力が働いたと考えるのが普通だ」など、政治家の関与の有無も含めて追及した。
週末の世論調査で国民の厳しい視線が改めて浮き彫りになる中、野党が求める佐川氏の証人喚問に公明党がどのような姿勢で臨むのかも、注目されている。
民進・大野氏「麻生氏の財務省へのコントロールに疑義」(11:40)
決裁文書改ざん問題では、国土交通省が3月5日に省内に改ざん前の文書があることを把握し、首相官邸と財務省に伝えていた。だが、財務省内では麻生太郎財務相に改ざんが公表される前日の11日まで報告されていなかったという。予算委では、この点を問題視する質問も出た。
民進党の大野元裕氏は「多くの閣僚や安倍晋三首相も知っていたが、(麻生氏は)聞いていなかった。所管の大臣であるにもかかわらず、(報告が)なかったことは適切だと思うか」と迫った。
麻生氏は「組織のトップとしては、最終的な調査結果を待つのが、あるべき態度だと思う」と問題ないとする認識を示した。これに対し、大野氏は「麻生氏の財務省へのコントロールに疑義を感じざるを得ない」と批判した。
午前11時54分、予算委は休憩に入った。午後1時に再開する。