『指定廃棄物の行方決まらない 国動かず地元困惑』
2018年3月11日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201803/CK2018031102000147.html

東京電力福島第一原発事故で飛散した放射性物質を含む「指定廃棄物」の最終処分がいまだ定まらない。事故から七年。県内では東葛地域を中心に、九市で計三七一〇・九トンを分散保管している。各市などの度重なる要望にかかわらず、国は処分に向けての具体案を示さず、廃棄物を仮保管している地元には、困惑が広がる。 (堀場達、中山岳)

 指定廃棄物の県内保管量(昨年十二月時点)は、一年前の二〇一六年十二月時点と比べ、野田市で四・四トン増えた。同市内の小中学校五校の屋上で昨年二月、側溝にたまった汚泥から、国の基準値(一キロ当たり八〇〇〇ベクレル)を超える放射性セシウムが検出され、市はこの汚泥を新たに指定廃棄物として環境省に申告したためだ。

 九市のうち、最多は柏市の一〇六三・九トン。南北のクリーンセンターをはじめとする市内三カ所で「ボックスカルバート」と呼ばれる巨大なコンクリート容器に収めるなどして保管している。県手賀沼流域下水道終末処理場(我孫子市)に二年余りの期限付きで預けていた分が返却された一五年三月以降、柏市で保管している指定廃棄物の量に変化はない。

 柏市は、三カ所の保管地周辺の住民団体と「仮保管の期間は国が最終処分場(長期管理施設)を確保するまで」という内容の確認書を交わした。確認書を交わした後、三年が経過しても最終処分場確保のメドが立たない場合は、対策をあらためて協議するとしていた。最初に交わした北部クリーンセンター近くの二町会との期限は、今年二月で切れた。

 市の担当者は「再協議を申し入れ、保管の継続を承諾してもらった。放射性物質が漏れ出す恐れは少なく、放射線量測定も定期的に行っており、地元に不安はないと思う」と強調する。町会の男性会長は「ない方がいいに決まっているが、国が動かない限り、何も解決しない」とあきらめ気味に話す。今月二十六日には南部クリーンセンター周囲の三自治会との再協議期限が迫る。

(以降ソースにて)