2018年2月21日 朝刊 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201802/CK2018022102000113.html

立憲民主党が三月上旬に国会に提出する「原発ゼロ基本法案」の全容が二十日、判明した。基本理念で「全ての原発を速やかに停止し廃止する」ことを掲げ、法施行から五年以内に全原発の廃炉を決定する目標も明記した。

 一月にまとめた法案骨子の段階では、原発の再稼働について、石油の輸入が途絶えるなど「原子力以外のエネルギー源を最大限活用しても、安定供給の確保に支障が生じる場合」と非常時に限定して例外的に認めることも盛り込んでいた。その後「非常時こそ原発の危険が高まるので現実的ではない」などと市民から意見が多く寄せられたため、例外規定は削除した。

 全原発廃止については、法案骨子で「速やかに」との表現にとどめていた手続きの進め方を具体化。「法施行後五年以内に全原発の運転を廃止」とし、廃炉を決定する期限を盛り込んだ。

 同法案では、原発ゼロへの道筋について、省エネの推進と再生可能エネルギーの拡大を掲げ、二〇三〇年時点の電力需要を一〇年比で30%以上減らし、再生エネによる発電割合を40%以上とすることを条文に明記している。

 国の責務として、廃炉で経営悪化が想定される電力会社の損失に政府が「必要な支援をする」と明確にすることで、電力会社も原発ゼロを受け入れやすい環境づくりを行う。原発立地自治体にも「雇用創出や地域経済の発展」に措置を講ずるとした。

 原発を廃炉にしても残る使用済み核燃料については「再処理は行わない」ことを打ち出した。 (山口哲人)

■「原発ゼロ基本法案」のポイント
・原発廃止とエネルギー転換を実現する改革に関し、国等の責務を明らかに

・全原発の速やかな廃止、停止

・法施行後5年以内に全ての原発の運転廃止(廃炉決定)

・2030年までに再生可能エネルギーの供給量を40%以上