11月30日 22時20分 NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171130/k10011242041000.html
NHKが総務省が公表した去年の政治資金収支報告書を調べたところ、国会議員が関係する10の政治団体が支出した合わせて217件分の領収書が「取得するのが難しい」という理由で提出されていなかったことがわかりました。しかしNHKが支出先に確認したところ、ほとんどが「領収書を発行できる」と説明していて、専門家は「政治資金の透明化の抜け穴になるのを防ぐため制度の見直しが必要だ」と指摘しています。
政治資金規正法は、国会議員が関係する政治団体が人件費を除いて1万円を超える支出をした場合は、原則として領収書を提出することが義務づけられています。
NHKが、総務省が30日公開した去年の政治資金収支報告書を調べたところ、当時の国会議員が関係する10の政治団体が支出した合わせて217件分の領収書が「取得するのが難しい」という理由で提出されていなかったことがわかりました。
提出されなかったのは、自民党や社民党などの国会議員が関係する政治団体が、宿泊先のホテルや事務所の家賃、ガソリン代などとして支出した合わせておよそ1600万円分の領収書です。
総務省がまとめた手引きなどでは、支出を受けた人が死亡したケースや、銀行振込の場合など領収書を取得するのが難しい事情があった場合、例外的に領収書を提出しないことを認めています。
しかし、NHKが領収書が提出されていなかった支出先のホテルや企業などに取材したところ、全体の8割以上が「領収書を発行できる」とか「請求書や明細書を送ることができる」と説明しました。
政治資金に詳しい駒澤大学法学部の富崎隆教授は、「たび重なる政治とカネの問題を受けて国会議員の政治団体は支出の透明化が強く求められていて、一般企業と同じレベルの経理処理が必要だ。例外的なケースが抜け穴になるのを防ぐため制度の見直しが必要だ」と指摘しています。
政治資金規正法では政治とカネの透明化を図るため、国会議員が関係する政治団体では人件費を除いて1万円を超える支出をした場合、すべての領収書を政治資金収支報告書に添付して提出することが義務づけられています。
一方で、領収書を提出しないことを例外的に認めているのが、「徴難」、つまり領収書を取得するのが難しい事情があった場合です。
総務省がまとめた手引きでは領収書の取得が難しいケースとして、支出を受けた人が死亡したり、銀行振り込みや口座振替などの決済方法で支出したりした場合を具体例として挙げています。
しかし、領収書の取得が難しいかどうかは社会通念に照らして適切に判断する必要があるとしていて、振込明細書や口座引き落としの案内なども「領収書」に該当するとしています。
領収書を提出しない場合には「徴難明細書」と呼ばれる書類にその理由や支出の内容を記載し、領収書の代わりに提出することになっています。