狂った羅針盤 @2014/04
http://m.ameba.jp/m/blogArticle.do?guid=ON&unm=takaakimitsuhashi&articleId=11813126445
(>>225続)
それに対し、二つ目、「平均概念の潜在GDP」。
過去の「平均的な労働や設備稼働率」に対応するGDPを意味します。
失業率で言えば、過去の平均失業率(自然失業率)の時点のGDPが、
潜在GDP(平均概念の潜在GDP)という話になるのです。
「んん・・・?」 と、思わない方が変です。
何しろ「自然失業率」とやらでは、完全雇用が達成されていないということになります。
潜在GDPとは、完全雇用下における達成可能なGDPのはずなのですが・・・・。
本問題の裏には、新古典派経済学が「非自発的失業者を認めない」というややこしい問題があるのですが、
いずれにせよ平均概念の潜在GDPを使うと、潜在GDPが小さくなることで
デフレギャップが「縮小する」か、もしくは消滅します。
以前は、日本銀行が「最大概念の潜在GDP」を用い、
内閣府が「平均概念の潜在GDP」でデフレギャップを試算していました。
ところが、2006年以降、日銀も平均概念潜在GDPを用いるようになってしまい、
現在の日本では 最大概念の潜在GDPが使われていません。
上記の記事も、もちろん日本銀行が「平均概念の潜在GDP」でデフレギャップを試算したという話です。
平均概念の潜在GDPを用いると、
「実際にはデフレであるにも関わらず、デフレ対策を打てない」
「デフレギャップが消滅したにも関わらず、物価が下がり続けるケースがあり、
『デフレは総需要不足ではなく、貨幣量の不足が原因』
という誤った認識を正当化する」 などの問題が発生するわけです。
それにしても、上記「二種類の潜在GDP」を知らないと、
日銀や内閣府の「デフレギャップが消滅した。もうデフレじゃないよ」
にコロッと騙されることになるわけです。
情報の読み取り能力、すなわち「リテラシー」を高めようと繰り返していますが、
ここまで理解しなければ騙されるのです。
難儀なことですが、これからも誤りを指摘し続け、広ていくしかありません。
狂った羅針盤で、日本経済にとって正しい処方箋を書くことはできないのです。
各種の狂った羅針盤は、早急に「正しい羅針盤」に変更しなければなりません。