ヴァンパイアハンターエマちゃん
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代行
注記事項
ssどころかスレ立ても初めてです
エマ主人公ですが暫く侑視点続きます 敵側が強力すぎてエマサイドにももっと味方が欲しくなるな 歩夢達はまだ何とかなりそうだけど、しずくちゃんに勝てるのかな ___六本木ヒルズ・屋上
数多のゾンビたちを殺しつくし、エマはその場所に立った。
「歩夢ちゃん」
歩夢は蹲踞しながら死体を漁っていた。
餅でも切り取るかのように、死体を手でちぎり、それを頬張っている。
エマに呼びかけられて振り向くが、その顔はエマが知っているものとは既に違っていた。
口の周りには人肉と血がこびりつき、眼は獣のように赤くぎらついている。
上原歩夢は、エマの記憶にある歩夢は、こんな死臭にまみれてはいなかった。
耐えきれず、エマは空を見上げた。
不意に熱いものが目からこぼれそうになったからだ。
今は決戦の直前。
戦いで目を逸らすことは死にもつながりかねない。
それでも、変わり果てた歩夢の姿を見るのは忍びなかった。
哀しかった。
それで数秒、運命の巡り合わせの悪さを呪って。
「覚悟はいい?」
ゆっくりと視線を下した もう歩夢じゃなくなってるから早く倒してもらうのが一番か ____路地裏
「なるほど、歩夢さんがおかしくなったのはしずくさんのせいで、あなたは吸血鬼になったと」
「理解がはやくて助かります」
せつ菜は険しい表情でしずくを睨みつけ、しずくはそれを笑って受け流した。
「それで?
そんな話を私に明かして何がしたいんです?」
「せつ菜さんも吸血鬼になり」
「お断りします」
「即答ですか」
せつ菜はしずくの言葉を遮って、吸血鬼になることを否定した。
当然だ。
せつ菜はこの一か月、歩夢がどんな風に過ごしてきたか、それによって侑がどれほど苦しんできたかを知っている。
その元凶の誘いに乗るなどあり得ない話だった。
「しずくさん、歩夢さんだけでなくあなたも変わってしまったんですね。
本当の貴女は、人の不幸に愉悦を感じるような人ではなかった」
「ええ、まあ。
ですが人の血と絶望の表情は本当に美味しくて、癖になってしまいました」
せつ菜さんも吸血鬼になればこの愉悦が分かるのに。
しずくはそう付け加えた。
「何にせよ、私があなたに与することは絶対にありません」
せつ菜は力強く、そう断言した。 「では、この状況をどうしますか?」
そう言って、しずくは姿を消した。
せつ菜は一度も注意を逸らしていなかった。
それにも関わらず瞬きする間もなくしずくを見失う。
「こっちですよ」
声がしたのは後ろから。
「っ⁉」
せつ菜が振り返ろうとする。
だがそれよりも早く、しずくは彼女を後ろから抱きしめた。
「なんのつもりですか?」
せつ菜が尋ねる。
「洗いざらい全部話したんですよ?
このまま先輩を開放するわけないでしょう」
「……私を吸血鬼にするつもりですか?」
「その通りです。
分かりますか?
ここに来た時点であなたには初めから拒否権なんて存在しなかったんです」
そういってしずくは笑った。 「私、同好会の皆さんを吸血鬼にしたいんです。
だってみんな大好きだから」
「よく言います。
歩夢さんと侑さんにあれだけ酷いことをしておいて」
「好きだからこそいじめたく、どうしようもなく痛めつけたくなっちゃうんです。
真実の愛なんてものを見せつけられたら、さかしまに汚し壊したくなる。
それってそんなに不思議なことですか?」
「狂ってます」
「そんなものでしょうか」
しずくは抱きしめる力を強めた。
「あまり私につれないことを言わないでください。
せつ菜さんのこと、同好会の中でも上から数えたほうが速いくらいには好きなんですから」
「私も、しずくさんのことは好ましく思ってました。
演劇とアイドルの二つを頑張るあなたを尊敬してましたし、ある種のシンパシーも感じてました」
「今は違うんですか?」
耳元で、しずくが囁く。
それは媚びた女の声だった。 「私はこんなにも皆さんを愛してるのに、誰も私を一番に愛してはくれないんですね。
エマさんも、歩夢さんも、侑さんも、あなたも。
……そして、かすみさんも」
「……それはどういう?」
「なんでもありません」
しずくはさらに、せつ菜を抱きしめる力を強めた。
「せつ菜さんは本当に魅力的です。
大淫婦となった私が言うのだから間違いありません」 「悔しいですが同好会の中でも、人気が頭一つ抜けているもの分かります。
可愛らしさと恰好よさ。
真面目さと大胆さ。
繊細さと力強さ。
相反する属性を兼ね備え、使いこなすあなたは確かに最強のアイドルに相応しい」
「お褒めに預かり光栄です。
……こんな状況じゃなければ素直に喜べたのに」
しずくの言葉はやけに耳さわりがいい。
心の奥底に浸透し、揺さぶった。
そのことにせつ菜が冷や汗をかいた。
それをしずくはチロリと舐めとる。
「好き、好き好き。大好き」
暗示を繰り返すように繰り返し囁く。
けれどそれは混じりけのない純粋な好意でもあった。
だからこそ、吸血鬼にならないと拒否したせつ菜の心も惑わせる。
せつ菜でなくても、はたしてしずく程の少女を誘いを断れる人間がこの世にいるのだろうか。
実際、修道女のエマでさえ、しずくの魅了に危うく飲み込まれかけた程だ。
一般人で彼女をはねつけられる者などこの世にはいないだろう。
「私のものになってください」
そう言って、しずくはせつ菜の首筋に噛みついた。 吸血鬼にするためにせつ菜を呼び出したのか。まだまだ波乱はありそうだね。このまま最初に討伐されちゃうのは歩夢達かな 血を吸われたせつ菜は魂を命を奪われ、歩夢と同じようにしかるべき手段で吸血鬼として蘇生させられる。
……筈だった。
「っ⁉」
異変を感じ取り、しずくが飛びのく。
「私は吸血鬼にならない。
そう言いましたね。
それは訂正しなくてはならないかもしれません」
せつ菜は己の身体を変化させながら、そう言った。
「何せ私の身体は、もうとっくに化け物なんですから」 気が付くとせつ菜が立っていた場所には、二本足で立つ一匹の狼がいた。
触れる者を拒む鎧のような、荒々しくも美しい毛並み。
横顔には鬣が生えそろい、頭にはもう一つの顔のように狼の顔の衣装が施されている。
爪は鋭く伸び切り、それが敵を切り裂だ。
ばねのように逆関節に曲がった足は、彼女の強靭な脚力を容易に想像させた。
だがしっぽだけは柔らかく、それがせつ菜の優しく繊細な心を表している。
人狼。
いまのせつ菜を形容する言葉はそれが一番ふさわしいだろう。
「灰色のその姿……。
まさかオルフェノクですか⁉」
「その通りです」
オルフェノクとはこの世界における吸血鬼の一種だ。
動物を模した灰色の怪人に変身するのが特徴で、一度死んだ人間が覚醒し蘇ることで生まれる進化形態。
しずくに血を吸われても何も起きなかったのは至極単純なこと。
せつ菜はとっくの昔に死んでいる。
死んでいる者の命を、どうして奪うことが出来よう。 「……本当に驚きました。
ですがこれで分かりました。
せつ菜さんも元々こちら側の人間だったんですね。
オルフェノクは気性が激しいものが多く、使徒再生と呼ばれる特殊な方法で繁殖し、人間を襲うと聞きます。
あなたも何人もの人間の命を奪ってきたんでしょう?」
「一緒にしないでください。
私は人を襲ったりしません」
そういって、せつ菜は人の姿に戻った。
「ありえません。
オルフェノクにせよ、死徒にせよ、吸血鬼なら同胞を増やしたい、人を殺したいという欲求が誰にもあるはず。
せつ菜さんが人を襲わないなんてそんな話が」
「私も思います。
私の身体が人を傷つけてしまわないか、いつか人の心を忘れてかけがえのない物をこわしてしまうのではないかと、そう不安になります」
けれど、とせつ菜は続ける。
「守りたいものがあれば、人はいつだって強くなれるんです‼
私は絶対に、私の衝動に負けたりしない‼」 「あなたのスタンスはよく分かりました。
それで、どうするんです?」
「しずくさん、あなたの目を覚まさせます」
「私の?
この期におよんで私に情けをかけようと?」
「違います」
せつ菜は言う。
「しずくさんなら、もとのしずくさんに戻れると信じています。
私はあなたのことも助けたい」
しずくは鼻で笑った。
「甘い考えですね」
「そうかもしれません。
ですがそのためなら……」
せつ菜がコートのボタンをはずす。
そこには奇妙なベルトが巻かれていた。
ポケットから時代遅れのガラパゴス形態を取り出す。
その携帯に、せつ菜は555とコードを入力した。
standing by
その機械の音声と共に待機音が鳴る。
「どんな罪だって背負ってみせます‼」
せつ菜が天高く携帯を掲げる。
「変身‼」
そのままベルトに装着すると、completeという音声と共に赤いラインがせつ菜の身体を包み込んだ。
迸る閃光。
その中から現れたのは一人の戦士だ。
「もう驚くのも疲れましたがあえていいましょう。
せつ菜さんが仮面ライダーだったなんて」
うんざり気味にしずくは言った。
「表の顔は生徒会長、裏はスクールアイドル。
人を襲うはずの怪物が正義のヒーロー。
いくらなんでも属性盛りすぎでは?」
「自覚はあります」
軽口の後、せつ菜としずくはぶつかりあった。 今宵切られたカードは即ち二枚。
一つ目はエマと歩夢。
二つ目はせつ菜としずく。
運命の歯車は無慈悲に回り続ける。
勝利の女神がどちらに微笑むかは、本人たちにも分からない。 今日はここまでにします。
あとせつ菜ちゃんがヒーローしてるssあったら教えてください 歩夢と侑が味わった苦しみ以上のものを一体どうやってしずくに受けさせるのだろう
さすがに考えてあるんだろうけど少なくとも俺は全く思いつかねえ せつ菜ちゃんも普通の人間ではなかったか。元凶のしずくちゃんはあまり大勢には見られてないっぽいから何とかなるかもだけど、
歩夢ちゃんの方は目撃者が多くて親も殺しちゃってるからもう手遅れだなあ。というか戻れてもみんな罪悪感でおかしくなりそう
エマさんに倒してもらうのが一番の救いなのか
変身とかヒーローしてるSSって小ネタみたいなのは読んだ覚えはあるけど、長いのはぱっと思い浮かばないな へーオルフェノクって元ネタあったんだと思ったら普通にライダーで草 こうなると他の子達も気になるけど、しずくちゃんの口ぶりだと吸血鬼にしたのはまだ歩夢たちだけなのかな 人間を超えた速度で、歩夢とエマの拳がぶつかり合う。
遮蔽物のない空間に真空波が炸裂し、轟音が鳴り響く。
屋上に到達するまでに、エマは銃弾と黒鍵のすべてを使い切っていた。
残る武装は詠唱補助の聖書と聖骸布、そして己の肉体のみ。
エマの最大の武器は聖唱だが、それを叩き込むには隙がいる。
歩夢は既に強力な吸血鬼に成り果てており、
浄化するにはどうしても物理で弱らせる必要があった。
(ごめんね)
拳をふるいながら、目の前の敵に誤り続ける。
(痛い思いをさせて、本当にごめん)
初めてだった。
友人を殴り続けるのは。
攻撃を受けることで感じる痛みより、
友達に暴力を振るわなければならないことの方がずっと苦しかった。
「やあああああああああ!!!!!!!!!!!」
痛みを、迷いを振り払おうと雄たけびを上げながら、攻撃を続ける。
歩夢は強い。
だがこのレベルの吸血鬼なら、エマは何度も戦かったことがある。
だから天秤は徐々にエマに傾きつつあった。
「オオオオオオオオオオオオ‼!!!!!!!!!」
ひしゃげた顔を再生させながら、歩夢は人外じみた咆哮を上げる。
人間としての理性を失った彼女にしてやれるのは、死の救いだけだ。
(頃合いだね)
光の束が、粒子がエマの周りに集まっていく。
詠唱の準備は整った。
あとは詠唱を完璧に諳んじて、出来るだけ苦しまないように歩夢を昇天させるだけ。
そのはずだった。 歩夢が腰に差していた剣が、ひとりでにエマの方へ突撃した。
「きゃ」
短い悲鳴と共に尻餅をつく。
柄の部分で軽く殴られただけなので怪我はなかったが。
それにしてもこの不思議な剣は一体?
「だ、め、ゆう……ちゃん」
たどたどしい言葉使いで、歩夢はその剣を諫めた。
「まさかそれ、侑ちゃんなの?」
歩夢は何も答えなかったが、それは簡単に推測出来た。
それに先程の攻撃、柄ではなく刃で切り裂くことも出来た筈なのにそれをしなかった。
意志持つ魔剣が哀れみを持ち合わせるなど聞いたことがない。
きっと、剣にされた者の心が余程優しかったのだろう。
侑ならば、こんな風に歩夢を守ろうとすることも容易に想像できた。
侑がなった魔剣は美しく、刀身は雪のように白かった。
きっと一度も使われていないだろう。
事実歩夢は既に百人以上を襲っているが、一度もこの剣は使っていない。
侑を血で汚したくないからだ
怪物になっても、魔剣になっても、二人の思いやりは、ローダンセの花のように変わらなかった。 悲しいけどこうなったらはやく楽にしてあげて欲しいね ____歩夢の無意識領域
上原歩夢の理性はしずくが与えた快楽によって完全に破壊された。
彼女はもはや人として喋ることすらままならず、契約によって魂と肉体の所有権さえ持たなかった。
そんな歩夢だが、唯一会話することの出来る例外がいた。
高咲侑だ。
彼女もしずくの被害者で、身体を一振りの剣に変えられていたが、
二人はテレパシーによって心の中で話し合うことが出来た。
歩夢の心の中で、二人は相対する。
そんな侑が歩夢に言った。
「私を使って」
侑はただの剣ではない。
しずくに力を分け与えられた強力な魔剣だ。
だから彼女を使えば、歩夢の戦闘力は飛躍的に向上するはずだった。
だが、
「それはダメ」
歩夢ははっきりと侑の申し出を断った。 「なんで?
このままじゃ負けちゃうよ?
……エマさんに負けたら、歩夢死んじゃうんだよ?」
声を上ずらせながら、侑は歩夢を説得した。
「絶対ダメ」
歩夢の意志は固かった。
「侑ちゃんを使って人を殺すなんて私には出来ない。
ましてエマさんは大切な先輩で、友達なんだよ?」
「それは……」
「侑ちゃんを友達の血で汚すなんて、人殺しの道具にするなんて、私には出来ないよ」
それは人をやめてしまった歩夢が守った、超えてはならない最後の一線だった。
誰にも負けない深い愛情を持っているからこそ、歩夢は侑を決して使おうとはしなかった。 「エマさんを殺すことになる。
そんなこと、私だってわかってるよ……」
彼女は拳を握り、震わせる。
侑は悔やんでいた。
歩夢が吸血衝動で苦しんでいる時に力になりきれなかったこと。
その結果歩夢が両親を殺してしまったこと。
今も大勢の人間を襲っている彼女を止められないこと。
無力さ故にしずくの凌辱から彼女を守ってやれなかったこと。
侑は歩夢に、健やかな人生を送ってほしかった。
だがそれはもう叶わない。
自分に力があれば、恐ろしい魔の手から歩夢を救うこともできたかもしれない。
だがそれをするには侑はあまりに非力だった。
改めて、侑は自分の無能さに腹立たしさを覚える。
歩夢の力になりたくて、そばに居たくて吸血鬼になることを受け入れたのに、彼女には気負わせるばかりだ。
そんな現状が、侑は悔しくてたまらなかった。 無際限の愛を持っているのは歩夢だけではない。
侑も同じだ。
しずくの魅了、時間停止を打ち破る熱量を彼女も秘めている。
だから、魔剣となって歩夢の力になれるのは侑にとってむしろ歓迎できることだった。
「私は歩夢とずっと一緒にいたい。
バラバラだけど思いは一つって、前にいったことあるよね。
けど死んじゃうのは違うよ」
侑は泣きながら歩夢を抱きしめた。
「歩夢を失いたくないの。
だから私を使って」
侑は自分が恩知らずなことを言っていることは自覚していた。
エマは歩夢と侑に手を差し伸べようとしてくれた人だ。
命を救ってもらったこともある。
そんなエマを討つのは侑だって嫌だった。
けど、このまま彼女を放置しては歩夢が殺されてしまう。
それは何としても避けねばならない。
誰からも、どんなことからも歩夢を守ること。
それが今の侑が守りたい最後の一線だ。 「結局、侑ちゃんにはかなわないなぁ」
守り続けた一線。
それを最終的に譲ったのは歩夢だった。
___六本木ヒルズ・屋上
「ごめんね、侑ちゃん。
……これからもよろしくね」
歩夢は剣の切っ先をエマに向けた。
魔剣を受け入れたことで、歩夢の力は飛躍的に上昇した。
究極の一心同体。
歩夢と侑は二人で一つの魔王となった。 今日はここまでにします。
最近パソコンから書き込めず、スマホから投稿してるのですが、万が一スマホからもレス出来なくなった場合はピクシブに続きを書きます。 二人で倒されることを受け入れるのかなと思ってたけど、最後まで戦うことを選んだんだな。エマさんが何より辛いなあ
規制が早くなおって欲しいね 魂とか来世とかそういう形でも良いから救われて欲しい 運命とか関係なくただただ全てしずくの手のひらの上なのがなあ
強さこそ正義のこの世界だとゆうぽむは弱く生まれたことが大罪だったな 侑と歩夢の強い想いが、しずくの能力でも思い通りにならないという理由で最初に狙われたんだから、
ある意味すごく強いものを持ってたから消されたとも言えるのかもね
ところでHELLSINGがハリウッドで実写化されるそうですね。まだまだ先だろうけどちょっと楽しみ したらばに移ったんだね。規制きついから今はそれがいいかもな ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています