【340】

 先に崩れたのは彼女の方だった…。

 ボール球ひとつも投げられない…という追い込まれた状況ではあったが、まさかの『ボーク』による失点。
 そんなところだろうか。
 俺は労せず、ホームを踏み入れたことになる。

 むしろ、このままなら、下手に動かないでいた方がいいかも知れない。
 打って出て、ホームゲッツーになるよりは、黙って立っているだけで四球、死球、暴投なんかを犯して、勝手に自滅してくれそうだ。

 そして、再び、ランナーが溜まったところで、だめ押しの一打を放つ。
 これで1イニングで2桁得点は確実。
 チョー大量点ゲットのチャンスがやって来た。