千歌「魚!? なんかブルブルしてるよ!?」
梨子「二人とも下がって!」
慌てふためく二人を他所に、梨子は装備していた武器を構える。
相手は三体。落ち着いて、各個撃破すればいい。
装備はハンドガンと日本刀。弾は十二分にある。
梨子「フッ!」
まずは一番近い一体にハンドガンを一発撃ち込む。
げぎゃ、みたいな奇声をあげて怯む化け物。
千歌「きゃあ!?」
曜「ひやっ!?」
突然の銃声で驚かせたが、今は気にしている場合ではない。
身を翻して、二人に迫る化け物の一体へ刀を振るう。
斬り上げた後も休まず、遠い敵に弾丸を。
一発。二発。三発。四発。
斬られた魚人は、液体になってドロドロに溶けてしまった。
弾丸を浴びた異形も、同じ末路を辿る。
曜「梨子ちゃん!」
後ろから迫ってきた最初の魚人に向かって、曜がバットを思い切り振り下ろした。
嫌な感触だったのだろう。彼女の表情があからさまに険しくなる。
グシャリと潰れて倒れ、化け物はやはり溶けてしまった。
三体全て消えたのを見て、ようやく息を吐いた。
千歌「だ、大丈夫?」
梨子「ええ。平気……」
曜「なんだろ、あの化け物……」
確かに、あんな化け物は梨子にとって想定外だ。
命の危険は、あくまで遺跡の罠や、稀にだが同業者との対立による物を想定していた。