CHAPTER0
『浦の星女学院の転入生』

 この物語の主人公の名前は桜内梨子。
 今日から浦の星女学院に通うことになった、高校2年生。
 しかし彼女には、もう一つの顔がある。
 それはーー

梨子「桜内梨子です。仕事の関係で色々な所を回っていますが、ここでも素敵な出会いがあればいいなと思います。皆さん、よろしくお願いします」

 自己紹介を済ませ、深々と頭を下げる。
 ここでいう『仕事』とは、親の仕事ではなく。
 彼女自身の生業を指している。

千歌「私、高海千歌! よろしくね♪」

曜「渡辺曜だよ。全速前進、ヨーソロー!」

 クラスメイトの高海千歌と渡辺曜。
 気さくな二人に学院内を案内してもらい、一緒にお昼を食べて。

千歌「最近ね? この内浦で怪しい影を見た人がいるんだって」

梨子「怪しい影?」

曜「知ってる知ってる! 水泳の先輩が話してた! 確か着ぐるみみたいに大きいんだよね?」

千歌「そうなの? でもこの辺で着ぐるみって言ったらうちっちーだよね?」

曜「あたし、この前バイトで中に入った事あるよ」

梨子「うちっちー?」

 地元のゆるキャラの噂話などで盛り上がって。
 学校が終わり、二人と別れて。

梨子「ふぅ……行こう」