千歌「PM11時に貴女と飲んだコーヒーの後味の意味を知る」
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千歌「うがーーっ!!」
千歌「分かんないよこんなの!!」
千歌「何なの心情って!隠してないでもっとストレートに表現してよ!!」
千歌「今度花丸ちゃんと歌詞作るときに国語教えてもらおうかなぁ……」
千歌「コツとかあるのかなぁ……」
千歌「ダイヤちゃん……忙しいよね……」
千歌「ちょっと聞くぐらいなら大丈夫かなぁ」
千歌「えーっと……」
千歌「うーん、でもなぁ……」 prrrrr!prrrrr!
千歌「うひゃあっ!」
千歌「ダ、ダダイヤちゃん!?」
千歌「あてっ、落としちゃった」
千歌「すー……もしもし?」
ダイヤ「もしもし?千歌さんでしょうか?」
千歌「はい!千歌です!高海千歌です!」
ダイヤ「??今お電話まずいですか?」
ダイヤ「お忙しいようでしたら結構ですが……」
千歌「ううん!大丈夫大丈夫!」
ダイヤ「ですが……何か慌てていらっしゃいません?」
千歌「ううん……実はちょうど私もダイヤちゃんに電話しようかなって思ってたところだったから」
千歌「そしたら電話かかってきたからびっくりしちゃって」 ダイヤ「そうですか、何かご用件ですか?」
千歌「ううん、私のは大したことないから……」
ダイヤ「そうですか?」
ダイヤ「それなら、私は大したことあるので、先に聞いておこうかしら」
千歌「んー、えっとね、また勉強ちょっとだけでいいから教えて欲しいというか……」
ダイヤ「なるほど、千歌さんから勉強のお話とは」
ダイヤ「きちんと勉強されているようで安心しました」
千歌「だって、ダイヤちゃんのいる大学に行きたいんだもん!」
千歌「憧れを追いかけたいよ!」
ダイヤ「そう言われると照れてしまいますね……」
ダイヤ「ですが、それならちょうどいいですわ」
千歌「ん?」 ダイヤ「実は、明日一日だけそちらに帰ることになりまして……」
ダイヤ「できれば、移動は避けたいのですが……」
千歌「ほんと!!」
千歌「会ってくれるの?」
ダイヤ「えぇ、第二波第三波が来ることが容易に想像できるので、悩んだのですが……」
ダイヤ「せっかくだから、私だって大切な仲間に会いたいというのは自然でしょう?」
千歌「やった!久しぶりのダイヤちゃん!楽しみ!」
ダイヤ「明日朝一で帰り、午前中で用事が済む予定ですので、午後……夕刻くらいから千歌さんが前に言ってたカフェにでも行きましょうか」
千歌「覚えてくれてたんだ!」
ダイヤ「もちろん、私が約束を忘れるはずがないでしょう?」 千歌「ということは……」
ダイヤ「何ですか?」
千歌「これってデートのお誘い?なんて……」
ダイヤ「えぇ、そのとおりです」
千歌「…………ふぇ?」
ダイヤ「あの時デートだと言ったのは貴女でしょう?」
千歌「……うん、そうだけど……」
ダイヤ「で、デートのお誘いは受けてくれまして?」
千歌「はい!喜んで!」
ダイヤ「ふふ、ありがとうございます」 ダイヤ「それでは、明日午後くらいにご連絡致しますね」
千歌「うん!待ってる!!」
ダイヤ「それではおやすみなさい」
千歌「おやすみなさーい!」
千歌「久しぶりに会える!楽しみ!」
千歌「でも、どうして帰ってくるんだろ?」
千歌「……まぁ、いいか」
千歌「今日はもうおしまいにして寝ちゃおうっと!」 ―翌日―
電話からも伝わるよ。きっとダイヤちゃんはとても綺麗になってる。
だから私もできる限りのお洒落をして待ち合わせ場所に行ったんだけど……。
千歌「……綺麗」
少し風も吹いて気持ち涼しくなってきた夕暮れ時。
夕陽に照らされた綺麗な黒髪が空を泳いでる。
こっちから声をかけようと思ったんだけど、見惚れちゃった。
ダイヤ「千歌さん?」
千歌「……ダイヤさん?」
ダイヤ「えぇ、少し見ない間に可愛くなったようで」
千歌「な、何言ってんの!冗談やめてよね!」
ダイヤ「ふふ、本心ですわ」 ダイヤ「そ・れ・よ・り……ダイヤちゃんと呼んでくれないのですか?」
可愛い。ズルい。
昔は素直に言えなかったくせに。
千歌「ううん、ごめんね、ダイヤちゃんが大人っぽくてすごく綺麗だったから、つい」
ダイヤ「ありがとうございます」
ダイヤ「お世辞として受け取っておきますわ」
千歌「お世辞なんかじゃないよ!」
千歌「びっくりしちゃって少し見惚れちゃった!」
ダイヤ「大袈裟ですわね」
ダイヤ「さぁ、参りましょうか?」
千歌「うん!お店はすぐそこだよ!」 ダイヤ「東京に行って半年くらいしかたっていませんが、久しぶりですと少し街も様変わりしますね」
千歌「うーん、私達は普段から通ってるからなぁ」
千歌「まぁ、でも確かにダイヤちゃん達が卒業してからできたお店とかもあるかも!」
千歌「このカフェもそうだし」
ダイヤ「では、もう通い慣れた場所というわけですか?」
千歌「ううん、まだ来たことなかったの」
千歌「遅れを取り戻す!って曜ちゃんも張り切って練習厳しいし、梨子ちゃんも曲作りが捗ったから歌詞書いてって言ってくるし……」
ダイヤ「なるほど、でも上手くやっているようで安心しましたわ」
千歌「うん、私もみんなに負けないように頑張らなくっちゃ!」
ダイヤ「千歌さんならきっとできますわ」
千歌「ありがとう!あ、ここだよ!」
ダイヤ「落ち着いた雰囲気ですね」
千歌「早速入りましょう!」 ―店内―
今まで意識したことなかったけど、ダイヤちゃんは所作の一つ一つが丁寧で綺麗で……。
一緒にいる私も少し大人びた気持ちになっちゃった。
「ご注文は?」
千歌「わ、えっと…えー、ホットコーヒーを一つ!」
ダイヤ「??……私はオレンジジュースを」
「承知いたしました。」
ダイヤ「千歌さんコーヒーを克服したのですか?」
千歌「え?あの……なんだかいけそうな気がして……」
千歌「場所も落ち着いてるし……(ダイヤちゃんも大人っぽいし……)」
千歌「コーヒーを頼んだ方がいいかなって」 ダイヤ「メニューに他のものも乗っているのですから、好きなものを頼めばよろしいでしょう?」
ダイヤ「では、コーヒーを克服したわけではないのですね?」
千歌「あぅ……はい……」
「お待たせしました。」
ダイヤ「ありがとうございます」
ダイヤ「そんな気がしたので……どうぞ」
千歌「え?ダイヤちゃんいいの?」
ダイヤ「元々そのつもりでしたから」
千歌「わーい!ありがとう!」 千歌「そんな苦いのよく飲めるね」
ダイヤ「まぁ、私も鞠莉さんほど嗜む訳ではありませんが……慣れれば美味しく感じるようになりますよ」
千歌「えぇー、私には無理だよ……」
ダイヤ「まぁ、人には好みがありますから無理してまで飲む必要はないと思いますが」
千歌「そうだよそうだよ!」
千歌「うん、美味しい!」
千歌「これこれ、やっぱりこの味だよ!」
ダイヤ「ふふふ、千歌さんにはオレンジジュースが似合いますね」
千歌「ダイヤちゃん、それって私が子供っぽいってこと?」ジトー
ダイヤ「いいえ、活発な千歌さんとベストマッチで可愛らしいということです」
千歌「うーん……そういうことにしといてあげる」
千歌「あと、みかんジュースね」
ダイヤ「はいはい、そうでしたね」クスクス 千歌「むぅ……なんだかずっといいようにあしらわれている気がする」
ダイヤ「気のせいですわ」
ダイヤ「久しぶりに千歌さんと会えて少し舞い上がっているのかもしれません」
千歌「それならいいんだけど……いいのかな?」
千歌「ところで、どうして帰ってきたかって聞いても大丈夫なやつ?」
ダイヤ「うーん、別に構いませんが……」
千歌「言えないこととか言いたくないことだったら別にいいよ」
千歌「ふと気になっただけだから」
ダイヤ「いえ、話すことで私も少し整理付けたいので……」
千歌「うん?」
ダイヤ「本日言われたのは、今までと変わらず黒澤の次期当主としての自覚を持つこと」 千歌「なるほど、厳しそう」チュー
ダイヤ「それと……お見合いについてです」
千歌「ガボゴッ……けほっ……っ!」
ダイヤ「大丈夫ですか?」
千歌「……はぁ、ジュースで溺れるところだったよ」
千歌「お見合いってあのお見合い?」
ダイヤ「えぇ、ご想像通りかと」
ダイヤ「ただ、あの時の鞠莉さんのように強引なものではありませんが」 ダイヤ「この先ゆっくりと無理せずにと、嫌なら嫌と言えばいいとお父様にもお母様にも言って頂きました」
千歌「なんだかダイヤちゃんが遠い人みたいに……」
ダイヤ「そんなことありません、事前に早い段階でお伝え頂いただけで、千歌さんの一つ上に黒澤ダイヤに変わりはありませんわ」
千歌「そんなもんかなぁ……」
ダイヤ「そんなもんですわ」
ダイヤ「今すぐにどうこうという話ではありませんので」
千歌「ふーん……」
ダイヤちゃんはそういう世界にいるんだ……そう思った。
子供のままじゃないんだなって、いつだって未来は私の知らないままに動いている。
やっぱり黒澤家の長女なんだなって思いながら、心がチクリとした気がした。 千歌「それならさ!頼りになる先輩として……勉強教えてください!」
ダイヤ「そうでしたね、お任せください」
ダイヤ「何が苦手なのですか?」
千歌「え?全般的に?」
ダイヤ「千歌さん勉強していたのでは?」
千歌「わー、ダイヤちゃん怖いよー」
千歌「全部昔よりできるようにはなってきたんだけど……どれが得意とかなくて」
ダイヤ「なるほど、できるようになってきたなら苦手と思うのは辞めた方がいいですね」
ダイヤ「心のどこかでこの科目が苦手とか勉強が苦手とか思っていると、伸びが少なくなります」
ダイヤ「また、苦手だからとどこか甘えてしまうこともあるかもしれません」
ダイヤ「ですから、全部上がってきたのなら、全部できると思うことです!」
千歌「……なるほど……私天才だったんだね!」 ダイヤ「そこまで言ってません」
千歌「はい……わかってましたよ……どーせ普通ですよー……」
ダイヤ「ですが、努力次第で……千歌さん聞いてますか?」
千歌「はい!聞いてます!」
ダイヤ「とにかく、始めていきましょうか?」
千歌「それじゃあ……」
それからはダイヤちゃんに勉強を教えてもらったの。
勉強の方法、科目ごとのコツ、教科書の読み方。
もちろん、時々他愛もない雑談も挟みながら。 千歌「最後は国語!」
ダイヤ「作詞もしているのですからとっつきやすいのでは?」
千歌「うーん、私もそう思ってたんだけど、案外……」
ダイヤ「そうですね……もちろん文章をよく読むというのが鉄則だと思いますが……」
ダイヤ「現代文……例えば小説なら場面を想像するのもいいかもしれませんね」
千歌「想像?」
ダイヤ「頭の中でキャラクターを動かせばいいのです」
ダイヤ「とっつきにくいなら人物を置き換えてもいいかもしれません」
ダイヤ「幼なじみのお話なら曜さん、転校生がいたら梨子さんとか……」
ダイヤ「完璧な人が出てきたら私でも構いませんわよ?」
千歌「……」ジトー ダイヤ「……コホン、その他古典等も同じで問題ありません」
ダイヤ「裏技として出るものそんなにないので全て物語を把握しておくというのもありますが……」
ダイヤ「評論文にしてもその人が何を言いたいか、私達が何かを伝えようとしていたでしょう?」
ダイヤ「それを逆に読み取ってあげればいいです」
千歌「なるほど……難しい」
こんなに楽しい勉強は初めてで……。
教科書を開いて、ダイヤちゃんのお話を聞きながら、さっきのチクリはなんだろうって。
たくさんページをめくったけれど、教科書には私の気持ちへの回答は載ってなかった。 千歌「でも、やってみる!」
ダイヤ「そうですね、千歌さんの行動力は目を見張るものがありますから、色々なことに触れることで見える世界が広がるかもしれませんね」
ダイヤ「なんて、偉そうに言えるほど私も立派な人間ではありませんが……」
千歌「そんなことない!」
千歌「私が大好きで憧れてるダイヤちゃんがそんなこと言っちゃヤダ!」
ダイヤ「……これは失礼しました」
ダイヤ「少し謙虚を履き違えてしまったようです」
ダイヤ「しかし、千歌さんにそう言ってもらえると嬉しいものですね」ニコ
千歌「う……仕方ないじゃん!」
千歌「私だってダイヤさんみたいに大人っぽくなりたいもん!」
ダイヤ「千歌さんには千歌さんの良さがあると思いますが……」
千歌「私もそんな風に余裕持ってコーヒーを飲みたいの!」
ダイヤ「それはまた違った話になってくると思いますが……」
ダイヤ「それこそ鞠莉さんとか……」
千歌「あーいいの!決めた!私決めた!」 ダイヤ「何をです?」
千歌「今日コーヒーを克服する!」
ダイヤ「はぁ……では、これ飲んでみます?」
千歌「うん!」
千歌「えっと……えーっと……」
ダイヤ「スタートですからお砂糖入れてみては?」
千歌「……そうだよねっ、初めてだもんね、砂糖ぐらい入れるよね!」
千歌「……よし!」
ダイヤ「入れすぎでは……?」
千歌「……いくよ……飲むよ?」
ダイヤ「どうぞ」
千歌「……飲んじゃうからね?」
ダイヤ「早く飲みなさい!」 千歌「……ん……甘いぃぃ……」
ダイヤ「ほら、お砂糖を入れすぎなのです」
千歌「あ、うぇ……コーヒーの苦味が……うぇぇ……苦いよぉ……」
ダイヤ「ふふふ、全然だめではないですか」
千歌「もう!やっぱり私コーヒーは苦手!コーヒー飲めなくても大人になれるもん!」
ダイヤ「ふふ、そうですわね」
千歌「ちょっと!ダイヤちゃん笑いすぎ!」
ダイヤ「失礼……ですが……」
千歌「ぷっ、あはは、なんだか私もおかしいや」
ダイヤちゃんがずっと笑うから、私もつられて笑っちゃった。
こういう楽しい時間が続けばいいのにって、この先もずっと。
だけど、口元にはコーヒーの苦味が残ったまんま。 prrrrr!prrrrr!
千歌「わ、ごめんダイヤちゃん」
ダイヤ「お構いなく」
千歌「げ、美渡ねぇだ……はい……」
美渡「バカチカァ!こんなに遅くまで何してる!」
千歌「え?うわ、ほんとだ!ごめんなさい」
志満「千歌ちゃん、今どこにいるの?」
千歌「志満ねぇ?えっと沼津のカフェに……」
千歌「って、ダイヤさん電車!大丈夫なの?」
ダイヤ「えぇ……千歌さん電話を貸して頂けますか?」
千歌「え?はい」
ダイヤ「志満さんと美渡さんでしょうか?」 志満「あら、ダイヤちゃんと一緒だったのね?」
ダイヤ「はい、私がいながら千歌さんをこんな時間まで連れ出してしまい申し訳ございませんでした」
志満「いいえ、きっと千歌ちゃんがダイヤちゃんと一緒にいて時間を忘れてしまっただけでしょうから」
ダイヤ「いえ、私も時間に気付けなかったので……」
志満「ダイヤちゃんは東京に帰るのかしら?」
ダイヤ「はい、本日中に戻る予定です」
志満「それなら、千歌ちゃんを駅まで迎えに行くから、千歌ちゃんを駅まで送ってもらっていいかしら?」
ダイヤ「はい、分かりました」
ダイヤ「本当に申し訳……」
志満「謝る必要なんてないのよ」 志満「時間を忘れて遊べる友人がいるってとても幸せなことだもの」
ダイヤ「……ありがとうございます」
ダイヤ「千歌さんに電話を戻しますね」
千歌「志満ねぇ……怒ってる?」
志満「怒ってないわよ……美渡ちゃんがとっても心配してたから帰ったら謝ること」
千歌「うん!」
志満「それと、ダイヤちゃんを駅に送ってあげて?」
志満「今から駅まで迎えに行くから」
千歌「分かった!志満ねぇありがとう!」
千歌「じゃ、またね!」プツッ
千歌・ダイヤ「ごめんなさい!」
千歌・ダイヤ「え?」
千歌「ふふ、駅行こっか!」 ―駅前―
千歌「すっかり遅くなっちゃったね」
ダイヤ「えぇ……今日はとても楽しかったです」
千歌「ごめんね、お家着く頃には深夜になっちゃうね」
千歌「気をつけてね」
ダイヤ「えぇ、ありがとうございます」
ダイヤ「駅からはタクシーを使うようにします」
千歌「うん……」
改札が見えてきた。
やだな、もう少し一緒にいたいな。なんでだろ。
そんなことを考えてると、私の歩みはダイヤちゃんよりも遅くなって。
ダイヤちゃんが足早に歩いているように感じた。 ダイヤ「……千歌さん?」
ダイヤ「どうかされましたか?」
千歌「…………なんでもないよ」
「いかないで」
たった5文字の純粋な気持ち。
だけど、口に出せるはずもなくて……。
迷惑……かけちゃうもんね。 千歌「ダイヤちゃんのおかげですごく頭良くなった気がする!ありがとね!」
ダイヤ「ふふ、今度のテストは期待しても良さそうですね」
千歌「うん任せて!」
千歌「みんなをびっくりさせるような点数取っちゃうから!」
ダイヤ「そのためには復習を大事にしてくださいね」
ダイヤ「もう22時も近いですから、帰って寝たいところでしょうけど、簡単でもいいので今日のお話振り返ってみてくださいね」
千歌「了解!バッチリ頑張る!」
ダイヤ「……それではまた」
千歌「うん……またね」
ダイヤ「何かありましたらいつでもご連絡ください」 ダイヤ「これでも千歌さんより少しだけ大人ですので」
千歌「次に会う時は私ももっと大人になってるもん」
ダイヤ「えぇ、期待してますわ」
ダイヤ「それでは、ルビィのこともよろしくお願いします」
千歌「ルビィちゃんもしっかりしてるから大丈夫だよ」
ダイヤ「それでも千歌さんが見ていてくださると思うと安心できるので」
千歌「ん、うん!任せて!」
ダイヤ「中々足があちらに向きませんが、本当に時間が来るのでもう行きますね」
ダイヤ「今度はもっとゆっくりお話しましょう」
千歌「水族館とか?」
ダイヤ「その約束もありましたね」
ダイヤ「では、くれぐれもお身体にお気をつけて」
ダイヤ「さようなら」
千歌「バイバーイ!」 次また会える約束ができたことにホッとしながら、ダイヤちゃんの背中を見送った。
憧れのあの人の隣を歩けるように頑張らなくっちゃ……憧れだから。
私が隣を歩ける時間なんてほとんどないのかもしれないけれど。
ダイヤちゃんは黒澤家の…………
志満「千歌ちゃん?千歌ちゃん!」
千歌「わ、志満ねぇ!」
千歌「ごめんね、遅くなっちゃって、迎えにきてくれてありがとう!」
志満「ずっとダイヤちゃんを見送ってたけど、寂しいの?」
千歌「え?見てたの?声かけてよ!」
志満「ごめんねー、なんだか青春の香りがしたから」
千歌「なにそれ」 志満「まぁまぁ、とにかく帰ったら美渡ちゃんにも顔出してあげてね、とっても心配してたんだから」
千歌「ほんと?美渡ねぇが?」
志満「本当です、分かった?」
千歌「うん、ありがとう」
うん、切り替えなくちゃ。
帰ったら美渡ねぇに謝って、ちゃんと復習して、明日も練習だから早く寝よう。
あ、その前に歌詞見直して……ダンスのフォーメーションの気になったとこも確認しとかなくっちゃ。 ―自宅―
千歌「うん、ごめん、気をつけるから……」
美渡「今回はダイヤちゃんが一緒だったからいいけど、父さんも志満ねぇも心配してたんだから……」
千歌「うん、心配してくれてありがとう!」ニコッ
美渡「なっ、私は別に……」
美渡「とにかく次からは気をつけること!」
千歌「はーい」
千歌「おやすみなさい」 ・
・
・
千歌「……はぁ、美渡ねぇ話長いよ……」
千歌「もう11時になっちゃうじゃん……」
千歌「ダイヤちゃんとの約束だからちゃんと復習しなきゃいけないのに」
千歌「まぁ、私が悪いんだけどさ……」
千歌「さぁ、教えてもらったところ整理しなくっちゃ!」
千歌「少しの時間で大丈夫ってダイヤちゃん言ってたよね」
そうやって要点を振り返るために、ダイヤちゃんがまとめてくれたものを見てたんだけど……。
字も綺麗だな。ダイヤちゃん綺麗だったな。
もうちょっと一緒にお話したかったな。もうちょっと……。 千歌「お見合い……かぁ」
きっと素敵な人と会うことになるんだろうなとか、ダイヤちゃんなら人気?だろうなとか……そんなことを考えてた。
だから……。
千歌「げ、ノートぐちゃぐちゃになっちゃった」
千歌「寝ちゃった時よりひどいミミズ文字になってる……」
千歌「だめだだめだ、集中しなくっちゃ」
千歌「消しちゃわないと……」 ダイヤちゃんのことは置いといて勉強に集中しよう。
だけど、どれだけ消しゴムを擦ってノートのぐちゃぐちゃを消しても……想いが消えない。
こうなるのはきっと……たぶん……そうなんだろう。
千歌「あー!私の方がもっとぐちゃぐちゃじゃん!」
千歌「事実は小説より……ってやつ!?」
千歌「あー、私何言ってるんだろ」
そう……きっと私は……
千歌「ダイヤちゃんが好き」 だけど、これは国語の問題みたいに物語じゃないから。
私の初恋は貴女と飲んだコーヒー味。とっても甘くって苦い。
今度会う時笑顔でいれるかな。お見合いのことなんて知らないフリしてもいいかな。
千歌「コーヒーと同じ味だね」
初めての甘い甘い想い、大好きな気持ち。
気づいた頃には一緒に混じる苦い苦い現実。
千歌「やっぱりコーヒーなんて嫌いだ」
嫌な後味を思い出すけれど、口元に残るのは苦味じゃなくって大切な気持ち。
「ダイヤちゃんが好き。」 おしまい。
コメントくださったかたありがとうございました。
一応前作はこれです。
ダイヤ「PM10時に貴女と繋がる」
http://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1590675186?v=pc
読まなくても大丈夫だと思います。 乙
独特の空気感好きよ
次の Am0時に貴女と叫ぶ も待ってます スレタイですぐにわかった
寝るの遅くなっててちょうどよかった、あなたのダイちか好きです
素敵な文章をありがとう ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています