【SS】梨子ちゃんに叱られる!
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千歌「やあやあやあ!よろしくー!」
梨子「はい!梨子ちゃんです!」
ダイヤ「梨子ちゃんは今日も可愛いですわね」
梨子「いやあ、ありがとうございます!」
曜「初めてだから緊張するなあ……」
梨子「ところでさ、千歌ちゃん?」
千歌「どうしたの?」 梨子「千歌ちゃんは、どうして自分を普通だって思うの?」
千歌「えっ、これもう始まってる!?」
梨子「始まってるよー」
千歌「どうしてって急に聞かれてもなあ」
梨子「じゃあさ、普通な人と、千歌ちゃんの言う普通じゃない人、それって例えば曜ちゃんよね?その差って、どこにあると思う?」 千歌「そりゃあ、そうだなぁ、自分の目指す輝きに向かって行けるかってことじゃないかな?」
梨子「輝き……なるほど……」
千歌「え!?これまずい返事?」
梨子「千歌ちゃんは、自分には目指すべき輝きがなかったから、普通怪獣ちかちーだったと思ってるんだ?」
千歌「そう……だけど……?やっぱり、曜ちゃんの飛び込みもそうだけどさ、自分の思った道、目指す道をひたむきに突っ走れることが普通か普通じゃないかを分けると思うんだよね!」
梨子「もう一度質問するわよ?千歌ちゃんは、どうして自分を普通だと思っていたの?」 千歌「今の話を踏まえると……努力すべき対象が見付からなかったから……?」
梨子「……」
千歌「……え、違う?」
梨子「……ボーッと生きてんじゃないわよ!」
千歌「わっ!急に大声出さないでよ!」 梨子「千歌ちゃんが普通怪獣だったのは……」
千歌「……」
梨子「努力する才能が、無かったから!」
千歌「!?」
曜「!?」
ダイヤ「!?」 曜「努力って別に才能じゃないと思うんだけどな」
ダイヤ「そ、そうですわ!継続するか否かは個人の裁量ではありませんか!?」
梨子「VTRをご覧ください!」
ルビィ「あ、あの、黒澤ルビィです、脳科学の教授をやっています……こんなことまで知っているなんて、さすがはピアノを習っていただけで作曲まで出来てしまう才能の持ち主の梨子ちゃんですね」
梨子「それほどでも、あるかな?」 ルビィ「アメリカのヴァンダービルト大学のマイケル・トレッドウェイさん率いる研究チームがこんな実験をしたんです」
ルビィ「被験者25人に、ボタンを押す簡単な課題、難しい課題のいずれかを選んでもらいます。簡単な課題では1ドルの報酬が得られ、難しい課題では1〜4.30ドルの報酬が得られる決まりです」
ルビィ「課題の難度を選択した後で被験者には、報酬は確実に得られるとは限らず、報酬が得られる確率は、低い(12%)、中くらい(50%)、高い(88%)のいずれかであることが告げられました」 ルビィ「課題は30秒ほどのもので、内容はとっても退屈です。簡単な課題は、自分の利き手で7秒間に30回ボタンを押すかというものでした」
ルビィ「一方、難しいほうの課題は、利き手でないほうの小指で21秒間に100回ボタンを押すという過酷なものです」
ルビィ「被験者が退屈しつつも大急ぎでボタンを押す間、研究チームは、PETスキャンを使って被験者の脳の変化をモニタリングしました」
ルビィ「大脳皮質全体のドーパミン・ニューロンの活性を追跡できるように修正をほどこしたもので、それによって、ドーパミン作動性活性と、ひどく退屈な作業を続けようとする被験者の意志との間に、相関関係があるのかどうかを調べることができるという算段です」 ルビィ「研究の結果、ボタンを押すのを途中でやめてしまう人と、たとえ小指が痛くなってもボタンを押し続ける人の違いが明らかになりました」
ルビィ「チームが最初に発見したことは、左線条体と前頭前皮質腹内側部におけるドーパミン作動性活性が高い被験者のほうが、多くの報酬を得るために努力する意欲が高かったことでした」
ルビィ「この違いは、報酬を得られる確率が低い場合に特に顕著に現われて、実際に金銭が得られるチャンスはごくわずかでも、このタイプの被験者はどうにかモチベーションを保つことができたのです」 ルビィ「今回の研究では、島(とう)皮質のドーパミン活性と、努力しようとする意欲との間には、逆の相関関係が存在するという驚くべき結果も明らかになりました」
ルビィ「どうやら、島皮質の活性化は、私たちを怠惰にするみたいです」
ルビィ「島皮質のドーパミン作動性活性が高いほど、努力の苦しみはより顕著になり、そのせいで、私たちは努力をやめてしまうということです」
ルビィ「今回の研究成果は、多大な努力をそれほど苦労と思わずにできる人と、そうでない人との違いを理解するヒントを与えてくれます」 ルビィ「この種の勤勉な人々は、報酬が得られる可能性から、ほかの人よりも多くの快楽を得ていると思われます」
ルビィ「そしてその一方で、自分の内なる不平家の声には鈍感なようでもあります」
ルビィ「勉強をしたくないからアイドルのDVDを見る、息抜きに散歩をする、スマートフォンでネットをする、そんな逃避を行うことなく目標に立ち向かえるかどうかは、生まれつき決まっていたということですね」 梨子「先生、ありがとうございました!」
曜「努力出来ることこそ才能だったんだ……」
千歌「曜ちゃんは天才だったんだね……分かってはいたけど……」
ダイヤ「無慈悲ですわね……」 梨子「千歌ちゃん、スクールアイドルはやり遂げようね!」
千歌「ちょっと自信無くなってきちゃったよ……」
梨子「気を取り直して次に進みましょう!この中で、自分は人一倍自己中心的だって方、いますか?」
ダイヤ「名乗り出たくありませんわ……」
千歌「これ手挙げる人いるのかな」
曜「……うぅ、はい!」
千歌「曜ちゃん!?」 曜「私、千歌ちゃんと梨子ちゃんが仲良くすることに嫉妬して、不安になってたことがあるんだ……だから、自分のことしか考えてない部分があるなって」
ダイヤ「曜さん……」
梨子「どうしてそんな気分になったんだと思う?他人を気遣えず、自分で一杯になっちゃったことに対して」
曜「そうなって初めて気付いたけど、やっぱりそれが自分の性格なのかなって、それまではさっぱりしてるほうだと思ってたんだけどね!」
曜「それに、ずっと千歌ちゃんと一緒にいたでしょ?そういう環境に慣れきっちゃってた部分もあると思う」
梨子「性格と環境……」
曜「……」
梨子「……ボーッと生きてんじゃないわよ!」 ダイヤ「これもまさか……?」
梨子「他人を思いやる人とそうでない人のどこに差があるのか、それは……脳がそういう作りになっているから!」
千歌「これもそうなの!?」
梨子「先生、お願いします!」
果南「さすが千歌と曜の危機を察して、電話で仲を取り持った気遣いの人だね、梨子ちゃん!」
梨子「あのときは大変でした」 果南「スイス、チューリッヒ大学が行った新たなる研究によると、他人を優先するタイプの人の脳は、側頭葉と頭頂葉が接する領域、側頭頭頂接続部に、"灰白質"がより多くあることがわかったそうなの」
果南「アーネスト・フェール博士の指導のもと、30人の健康な大人の被験者が集められて、見ず知らずの人とお金を分け合うことについて被験者に質問したんだ」
果南「一部の人はお金を分けるのに賛成したのに対して、一方で少額のお金ですら他人に渡したがらなない人がいたんだけど、同じ人間でどうしてこう違いがでるのか?答えは、MRIで脳を解析した結果明らかとなったんだよね」 果南「他人を優先しようとするタイプの人々の脳には、側頭頭頂接続部にある灰白質が利己的な人よりも広いことが判明してね」
果南「側頭頭頂接続部は、自他の区別や心の理論に関わる重要な役割を担っていて、意思決定に関わる部位として知られ、この領域が損傷を受けると、道徳的判断に影響が出ると考えられ�トいるんだよ」
果南「つまり、その人が、他人を思いやり自分を犠牲にする利他的タイプなのか、他人より自分を優先する利己的なタイプなのかは、あらかじめ脳にプログラムされているということなの」 曜「私って努力は出来るのに他人は敬えないんだ……そう言えば努力も自分自身のためにするものだもんね、自分自分だな、私って」
千歌「曜ちゃん!そんなことないよ!」
曜「そうかな……」
ダイヤ「そうですわ!さあ、最後はわたくしが答えますわ!どんな問題でもかかってきなさい!」
梨子「では、怒りっぽいダイヤさんに質問です!」
ダイヤ「んまあ!誰が怒りっぽいですって!?」 梨子「ダイヤさん、気の短い人って、何で気が短いんだと思います?」
ダイヤ「メタ的になりますが、今までの流れからして、これも生まれつきそう決まっているからではありませんこと?」
梨子「そう決まっている……?」
ダイヤ「詳しくはありませんが、ストレスを感知する脳細胞が他者に比べて活性化しやすい傾向にある、ということですわ!」
梨子「……」
ダイヤ「……」
梨子「……ボーッと生きてんじゃないわよ!」 ダイヤ「ええっ!?ではなぜですの?」
梨子「気が短い人はなぜ気が短いのか……それは、自制心が足りないから!」
ダイヤ「……っ!」
千歌「……ぷっ」
曜「千歌ちゃん、笑っちゃ悪いよ」
ダイヤ「自制心が……足りない……ですって……?」
梨子「先生、お願いします!」 鞠莉「さっすが梨子ちゃん!いつもおしとやかで控えめな性格をしているだけあって、自分と正反対な人のことまでよく分かっているのね!」
梨子「おしとやかだなんて、そんな……」
鞠莉「実は人間の脳は、よほど先天的、あるいは後天的な障害がない限り、痛みやストレスに大きな個人差は生まれないことが分かっているの」
鞠莉「では何故キレやすい人がいるのか、それは単純に、怒りを我慢する忍耐力、自制心が欠けているからなのよ」 鞠莉「でも安心して?自制心とは筋肉のようなもので、使えば鍛えられるし、使わなければ衰える傾向があってね」
鞠莉「例えば利き手と反対の手を使って、ドアを開ける、食事をする、文字を書く、なんてことを2週間も続けると、自制心が鍛えられて怒りっぽさが緩和されるわ」
鞠莉「ダイヤ?2週間後を楽しみにしているわ!ではチャオ〜!」 ダイヤ「……」
梨子「ダイヤさん、怒りを抑えて!」
ダイヤ「怒ってなどいませんわ……!」
千歌「何か今日の集まりで疲れなのかストレスなのかやけに溜まっちゃったよ、私もしばらく利き手と逆の手で生活してみようかな……」
曜「そうだね……」
梨子「みんなお疲れのようなのでまた会いましょう!」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています