ルビィ「喰いタン花丸ちゃん」
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花丸「岡本かの子の小説に、どじょう汁をねだる孤独な老人のこんな独白があるずら」
花丸「“今夜一夜はあの小魚のいのちをぽちりぽちりわしの骨の髄に噛みこんで生きのびたい――”」
花丸「ものを喰うということはそのものの“いのち”をもらうこと。食物の“いのち”を自分の体に受け継ぐことずら」
花丸「食事こそ、命と命をつなぐ神聖なる儀式だと、マルは思うずら」
善子「立派なご高説、ご苦労! ずら丸」
ルビィ「だ、だけど……」 , ' 丶、
, ' 丶、
, ' ______ 丶、
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\ へ /
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山田うどんが>>2GET!
おまえら、うどんでも喰っておちけつ!
>>1 糞スレたててないでウチのカレーでも喰いにこいよ。(プッ
>>3 一足遅かったな、当店は午後>>10時で閉店だ。(プッ
>>4 所沢の本店で働きたい?おまえは臭いから不採用。(プッ
>>5 入間工場見学にきな、貧乏人のためにお食事券も用意してるぞ。(プッ
>>6 http://www.yamada-udon.co.jp/menu/index.html、低脳のおまえでも覚えられるだろ。(プッ
>7 近くに店のない田舎もののために、ネット通販も用意しておいたぞ。(プッ
>8-1002は早く食べないとのびちまうぞ。(ゲラ 善子「いつまで食ってるのよ!!」
ルビィ「や、約束の時間に遅れちゃうよぉ〜……」
パクパク
モグモグ
花丸「う〜ん、松月のみかんどら焼きはやっぱり絶品ずら〜♡」
花丸「あ、あとみかんパウンドとパイシューとプリンもお願いしますずら〜♡」
善子「まだ食うんかい!!」 ルビィ(はは、初めまして! くく、黒澤ルビィですっ!)
ルビィ(ルビィと、津島善子ちゃん、そして、国木田花丸ちゃんの3人は……)
ルビィ(沼津の、私立静真高校に通う、親友同士です!)
ルビィ(今日は、沼津で一番の大富豪、小原家が主催するパーティーに、ルビィたち3人は招待されたのですが……)
※アニメやG's世界とは違うパラレルです 〜ホテルオハラ〜
バタバタ
ルビィ「はぁはぁ! ま、間に合った〜……」
善子「もう、ずら丸が松月でおやつなんか食べてるから……!」
花丸「ごめんずら、松月のお菓子があまりに美味しすぎて……」
ルビィ「……でも、本当に立派なホテルだね……」
善子「正に、神々が宿る神殿とも言うべき神々しさ!!」ビシッ
善子「……ていうか、ルビィは、お姉さんが小原家のお嬢様と親友同士だから、招待されるのはわかるとしても……」
善子「なんで、私とずら丸まで招待されてるの?」 ルビィ「なんでも花丸ちゃんが、前に小原家で起こった事件に偶然居合わせて……」
ルビィ「その事件を鮮やかに解決して、鞠莉ちゃん……お嬢様に気に入られたから、らしいよ」
花丸「ううん、あれはたまたまずら、たまたま……」テレテレ
善子「ふーん、ずら丸がねぇ……」
花丸「あ、善子ちゃんは、マルとルビィちゃんだけ呼ばれてたら寂しがって拗ねると思って、マルからお願いして招待してもらったずら〜」
善子「な、なによ、子供あつかいすな! あと、善子じゃなくてヨハネ!!」
ルビィ(そう、花丸ちゃんは、女子高生でありながら、今まで数々の難事件を解決に導いた、素人探偵でもあるのです!)
善子(でも私は、ずら丸が事件を解決するところ、あんまり見たことないのよね……)
花丸「今日のパーティー、どんな料理が食べられるのか、楽しみじゅらぁ〜♡」ジュルリ
善子(本当に、ずら丸が名探偵なの……?)タラッ ダイヤ「ルビィ、遅いですわよ!」
ルビィ「ご、ごご、ごめんなさい、おねぇちゃぁ……!」
花丸「ダイヤさん、ルビィちゃんのせいじゃないずら! マルが、寄り道しちゃったから……」
ダイヤ「まったく……」
ダイヤ「とにかく、各界の著名人も集まるパーティーなのですから、3人とも失礼のないように振る舞うのですよ!」
スタスタ…
善子「おー、こわ……やっぱり、ルビィのお姉さんって、ちょっと怖い……」
ルビィ「ご、ごめんね……」
花丸「だけど、ダイヤさんはああ見えて、優しい人ずらよ」
善子「ほんとに……?」 千歌「おーい、ルビィちゃんたちー!」
ルビィ「あ、千歌ちゃん! 千歌ちゃんも招待されてたの?」
千歌「まあ、これでも一応、十千万旅館の跡取りだからね〜。内浦旅館組合のよしみでさ」
善子「ところで、今日ってなんのパーティーなの?」
千歌「なんでも、オハラグループが、内浦に新しいレストランを作る、記念パーティーらしいよ」
千歌「金にものを言わせて、沼津中の有名店のシェフや板前を引き抜いたらしいから、すごいよね〜!」
千歌「今日も、それぞれのお店を代表するメニューが出てくるみたいだよ!」
花丸「お、お店を代表するメニュー!?」
千歌「“丸勘”に“いけすや”に“丸天”に“グランマ”に……」
花丸「じゅ、じゅらぁ〜……♡」ジュルッ
善子(全然、名探偵って面じゃない……) 〜その頃、ホテル内の某所〜
ガツンッ!
シェフ「……あ……」
ガクッ
ドサッ…
シェフ「なん……で……」
ピクピク…
パタッ
???「………」
ハァハァハァ
???(……やっちゃった……)
???(なんとか……なんとかしないと……!) 〜パーティー会場〜
鞠莉ママ「皆様、今日はお集まり頂き、どうもありがとうございマース!!」
鞠莉ママ「新たにオープンするレストランを記念して、今日はいっぱいご馳走を用意しておりマース!!」
鞠莉ママ「たっぷり楽しんでくだサーイ!!」
パチパチパチ
花丸「ご、ご馳走……!!」キラキラ
善子(食べ物が絡まなきゃ、物静かで大人しいんだけどなぁ……)
鞠莉「ハーイ♡ ルビィに花丸、来てくれたのね!」
ルビィ「あ、鞠莉ちゃん! お姉ちゃんも!」
ダイヤ「皆さん、お恥ずかしくないように振る舞っておりますか?」
善子「いや、もう手遅れみたいです……」アレ
千歌「なにコレ、うま!! うまっ!!」
バクバク
花丸「う〜ん、幸せじゅらぁ〜……♡」
モグモグ
ダイヤ「こいつらは……!!」ビキッ 鞠莉「まあまあ、ダイヤ〜。今日はパーティーなんだし、せっかくのお料理、いっぱい食べてくれた方がハッピーよ♪」
ダイヤ「そ、そうですか? 鞠莉さんがそう言うのでしたら……」
鞠莉「みんなも、たっぷり楽しんでね!」
ルビィ「は、はい!」
善子「お言葉に甘えて……」
鞠莉ママ「……なんですって!? シェフの姿が見えない!?」
メイド「は、はい。先程から、探しているのですが……」
鞠莉ママ「まったく、こんな時に……!!」
鞠莉ママ「とりあえず、シェフの献立以外の、レストランの料理をどんどん出して!」
鞠莉ママ「その間に、手分けしてシェフを探すのデース!」
メイド「は、はい……!」
バタバタ
ルビィ「……?」 千歌「うんめー! こんなにご馳走がタダで食べられるなんて、生きてて良かったー!!」
ダイヤ「もう、はしたないですわよ、千歌さん!」
花丸「でもすごいずら、本当に沼津の名店を代表する料理がいっぱい……♡」
花丸「“丸勘”の生マグロに本エビの唐揚げ、“いけすや”のアジフライ、“丸天”の海鮮かき揚げ丼、“グランマ”の特製プリン……!」
花丸「こんなにいっぺんに味わえるなんて、幸せじゅらぁ〜♡♡」
パクパク モグモグ
善子「確かに、こんなにたくさんのメニューを一度に味わえるレストランって、すごいわね」
ダイヤ「とはいえ、各店で暖簾分けをしてもらった料理人の方々を引き抜いたとかで……」
ダイヤ「ここにある料理は本物そっくりですが、作った方々も含め、あくまで実在のお店とは関係ない、フィクションの産物ですわよ!」
善子(何言ってんだ? この人……) ルビィ「………」
モグ…
ルビィ(だけど……気のせいかな……)
ルビィ(ここに並んだ料理の中の、“これ”……前に、本店で食べたものに比べると……)
ルビィ(なんだか、パサパサして、味も落ちてるような……)
ルビィ(やっぱり、元のお店の料理じゃないからかな……?)
花丸「………」
モグモグ… キャアアアアーー!!!
ザワッ
ルビィ「……え!?」ビクッ
善子「なに、今の悲鳴!?」
ダイヤ「厨房の方からですわ!!」
花丸「……!!」
ダッ!
ルビィ「あ、花丸ちゃん!!」 〜厨房〜
メイド「あ……あ……!!」
ガタガタ
鞠莉ママ「一体、何事デスか!?」
鞠莉「何があったの!?」
メイド「お、奥様……お嬢様……!!」
メイド「あ……あれ……!!」
ルビィ「……!!」
ルビィ「ぴ、ぴぎゃあああ!?」
ルビィ(メイドさんが、指さした先……大型冷蔵庫の、開きかけた扉の奥に、見えたのは……)
ルビィ(頭から血を流し、冷蔵庫の中に詰め込まれている、女の人の姿……!!) 善子「な、何よ、あれ!?」
千歌「ひ、人!?」
鞠莉「まさか……永山シェフ!?」
ダイヤ「は、早く救急車を!!」
花丸「………」
スタスタ
ルビィ「花丸ちゃん!?」
ルビィ(花丸ちゃんは、冷蔵庫に近づいて、そっと中の人の体に触れたのち――)
クルッ
花丸「救急車じゃなくて――警察に、連絡を」
鞠莉「そ、それって……!!」
花丸「これは――」
花丸「――殺人事件ずら!」 パーポーパーポー
ザワザワ…
曜「……果南ちゃん! あ、じゃなくて、松浦警部補」
果南「うむ。被害者の身元はわかったかなん? 渡辺巡査」
曜「はい。被害者は、永山みなみ、28歳。このホテルオハラの、チーフシェフです」
曜「死因は、頭部を強く殴られたことによる脳挫傷」
曜「鑑識の梨子ちゃんの見立てでは、殺害されたのは今から2時間ほど前、パーティーが始まる前のこと」
曜「おそらく棍棒のようなもので殴られたようで、即死だったそうであります!」
果南「なるほどなるほど。外部から人が侵入した形跡は?」
曜「天下に名だたるホテルオハラですからね、セキュリティは万全、外部から人が立ち入った形跡は無いそうであります」
果南「そんじゃ、容疑者はこのホテルの中にいた人だけか」
果南「簡単に片付きそうな事件だね! さっさと犯人見つけて逮捕するぞー!」
曜(そんな単純にいけばいいけど……) 鞠莉「あ、果南……!」
果南「鞠莉、今回は災難だったね」
鞠莉ママ「我が小原家のパーティーで殺人だなんて、許すまじ……!!」
鞠莉ママ「……そこのハグゥ!! いっぱしの国家権力なら、一刻も早く犯人を逮捕するのデース!!」
果南「はいはい……言われずとも」
果南(相変わらず、うるせーオバハン……)
千歌「あっ、曜ちゃん、果南ちゃーん!」
曜「千歌ちゃんも、パーティーに来てたの!?」
千歌「うん、でもまさか、こんな事件に巻き込まれるなんて……」
曜「他には誰か来てるの?」
千歌「あ、えーと……あそこに……」 花丸「まだお料理、いっぱい残ってるずら。もったいないずら〜」
パクパク モグモグ
善子「って、あんたは、なんでこの状況でまだ食べてられるのよ!?」
花丸「ご飯をこんなに残したら、ばちが当たるずら。もったいないお化けが出るずらよ〜」
ルビィ「あはは……」
曜「あれは、花丸ちゃん……!」
果南「……あー? なんであの食いしん坊のマルが、ここにいるの?」 花丸「あ、果南ちゃん。しばらくぶりずら〜」
モグモグ
果南「松浦警部補と呼べってえの! 剥ぐぞ?」
果南「まあ、なんであんたがここにいるのかは知らないけど、素人探偵の手なんて借りなくとも、今回の事件は簡単に……」
花丸「果たして……」
パクパク
花丸「そう簡単にいくかなあ?」
果南「……なんだって?」
パタパタ
梨子「あ、あの、曜ちゃん……果南ちゃん」 曜「あ、鑑識の梨子ちゃん」
果南「なんでみんな松浦警部補って呼んでくれないかなーもー!」
善子(その気持ち、よくわかる……)
曜「梨子ちゃん、どうかしたの?」
梨子「それが、ちょっと変なことがあって……」
果南「変なこと?」
梨子「凶器が……」
梨子「凶器が、見つからないんです!」
花丸「……!」
ピタ… 〜厨房〜
梨子「被害者は頭を殴られて、大量の血を流しています」
梨子「この厨房の床から、大量のルミノール反応が出ました。どこかから死体を移動させてきた形跡もないので、殺害現場はこの厨房と推定されます」
梨子「厨房とパーティー会場はつながっていますが、周りの目を盗んで出入りすることは容易だったようです」
梨子「しかし、廊下の監視カメラの映像から、凶器らしきものを持って出入りした人物は確認されていません」
梨子「したがって、凶器は、この厨房の中かパーティー会場内にあるはずなんです」
曜「それなのに、どこにも、凶器らしきものは見当たらない、と……」 果南「凶器なんて、別にどうとでもなるんじゃないの? 服の中に隠すとか」
梨子「そうもいかないんです。被害者の頭の傷から、凶器は棍棒のような、かなり太いものと思われるんです」
曜「そんなの、服の中に隠したら、かさばってすぐにバレるよね」
曜「特殊警棒みたいに、折りたたむ訳にもいかないし」
果南「じゃあ、これは? この、すりこぎ棒」
曜「それだと、軽いし……やっぱり、太さが足りないよ」
果南「大根とか」
曜「一発で殴り殺してるし、それも無理じゃないかな……それに、今日のメニューの中に、大根を使ったものは含まれてないみたいだよ」
果南「めんどくさいなー、脳天に思いっきり肘鉄食らわせれば一発でしょ!!」
曜「果南ちゃんじゃないんだから……」
果南「むむむ……」 〜パーティー会場〜
果南「あーもう、めんどくさい! とりあえず凶器はあとまわし!」
果南「先に犯人捕まえちゃえばいいじゃん!」
曜「だけど、どうやって!?」
果南「ふふふ……ずばり、動機。動機がありそうな人間をしょっぴく」
果南「しょっぴいてから、凶器のありかを吐かせれば、万事解決!」
善子(違法捜査じゃないの、それ……)
曜「でも、動機っていったって……」
果南「まず怪しいのは……あんただー! そこのどぎつい赤スーツのおばはん!!」
鞠莉ママ「私ぃ!? つーかおばはん!?」 果南「被害者はこのホテルのシェフ、従業員だった。となれば、まず考えられるのは、お金に関するトラブル!」
果南「ほら、鞠莉のお母さんってなんかケチそうだし、きっと給料を巡って被害者と争いになって……」
鞠莉「いやいやいや……」
鞠莉ママ「はぁ!? お給料は十分すぎる額を払ってマース!! 天下の小原グループなめんな小娘!!」
ダイヤ「果南さん、もっとよく捜査した方が……」
果南「……ん? 考えてみると、ダイヤにも動機がありそうかなん?」
ダイヤ「はぁ!?」
果南「黒澤家って、市内にいくつも料亭持ってたでしょ。小原家が新しいレストラン作ったら売上が落ちるから、営業妨害のために、うっかり……」
ダイヤ「ンマーッ!! うっかりそんなことするはずないでしょう!!」
果南「それ言ったら、千歌もかなん?」
千歌「まさかの私!?」
果南「ホテルオハラは、十千万旅館の商売敵だし、営業妨害のために、うっかり……」
千歌「そんな軽いノリで人殺さないよ!?」
曜(この脳筋デカ……)
善子(大丈夫なの、この刑事……) 果南「とりあえず、怪しい人物はまとめてしょっぴいて……!!」
花丸「……その必要はないずらよー」
パクパク
ルビィ「花丸ちゃん……!?」
果南「……何よ、マル。てゆうか、まだ食ってんの」
花丸「鞠莉ちゃん、被害者の永山さんは、パーティーが始まる前に殺されてたみたいだけど……」
花丸「そうすると、今回のこの料理を作ったのは、誰ずら?」
鞠莉「ええと……沼津の4つの名店の料理を担当した、4人の料理人よ」
鞠莉「“丸勘”担当、綾小路姫乃。“いけすや”担当、須田いるか」
鞠莉「“丸天”担当、門田剣。“グランマ”担当、ジェニファー。以上の4人よ」 花丸「曜ちゃん、その4人の取り調べは済んでる?」
曜「あ、うん。4人とも、今日の料理の仕込みで、それぞれパーティー前に、厨房でひとりになる機会はあったみたい」
曜「全員、永山シェフとは会ってない、と言ってるけれど……全員アリバイも無い、とも言えるね」
果南「こら、勝手に捜査状況を……!」
花丸「ふむふむ。なるほど」
モグモグ…
ゴックン
花丸「ふー。美味しかったずらー。ご馳走様」フキフキ
善子「ずら丸、あんた、何を……」
花丸「……果南ちゃん、曜ちゃん。関係者を全員、ここに集めてほしいずら。さっきの料理人4人も含めて」
果南「……!!」
ルビィ「それって……!!」
花丸「オラ……」
花丸「犯人、わかっちゃったずら♡」
ニコッ 全員「………」
果南「マル、とりあえず全員集めたよ」
果南「本当に犯人がわかったの? いい加減なこと言ったら逮捕して剥ぐよ」
花丸「大丈夫ずらよー」
花丸「さて、今回の事件の最大のポイントは、“凶器はどこに消えたのか?”」
花丸「これが明らかになれば、犯人も事件の真相もはっきりするずら」
曜「だけど、厨房もパーティー会場もしらみつぶしに探したけど、結局凶器は見つからなかったんだよ?」
梨子「廊下の監視カメラの映像を調べても、凶器が外に持ち出された形跡は無いし……」 花丸「まず今回の事件は、厨房で凶行に及んで、死体をすぐに見つかる冷蔵庫に隠していることから見ても、極めて突発的な犯行と見られるずら」
花丸「計画的な犯行でない以上、凶器もあらかじめ用意されたものではなく、最初から厨房やパーティー会場にあったものを使ったと考えるのが自然」
鞠莉「それはそうだけど……」
ダイヤ「ですが、どこにそんな凶器が……?」
梨子「凶器は、極めて太くて硬い、棍棒のようなものだと推定されています」
梨子「でも、会場のどこからも、そんな凶器は見つからなかったんですよ……?」
花丸「……ところで……」 花丸「鞠莉ちゃんのお母さん!」
鞠莉ママ「へ?」
花丸「きょうの料理、とっても美味しかったずらー!」
鞠莉ママ「ホ、ホワッツ?」
花丸「“丸勘”の生マグロに本エビの唐揚げ、“いけすや”のアジフライ、“丸天”の海鮮かき揚げ丼、“グランマ”の特製プリン!」
花丸「どれも本店の料理を模倣したものとはいえ、本物に勝るとも劣らぬ味わいだったずらー!」
鞠莉ママ「と、当然デース。それぞれの料理を担当したのは、小原グループが選び抜いて引き抜いた、料理人なのデスから……!」
花丸「……だけど……」
スゥ…
花丸「この中で――ひとつだけ」
花丸「“まずい”料理が、あったずら」 千歌「ひとつだけ……」
ダイヤ「まずい料理……!?」
ザワッ…!
善子(んなこと言って、全部うまそうに食ってたくせに……)
花丸「――ルビィちゃん」
ルビィ「ぴぃっ!?」
花丸「ルビィちゃんも、気づいてたんじゃないかな?」
花丸「あの中で、ひとつだけ、明らかに味が落ちる料理があったことを」
ルビィ「う……うん……」
花丸「それ……教えてくれる?」
ルビィ「うん……わかった……」
ルビィ(ルビィは、言われるまま……テーブルの上に並んだ、残った料理の中から)
ルビィ(“それ”を、手に取りました) ルビィ「ご、ごめんなさい……ルビィが、あんまり美味しくないな、って思ったのは……」
ルビィ「“これ”、です……!」
果南「“それ”は……!」
曜「“丸天”の……海鮮かき揚げ丼!?」
ザワザワ…! ルビィ「これ、食べた時……前に、本店の方で食べたものと違って……」
ルビィ「なんだか、妙にパサついてるような……味が落ちてるような、気がして……」
千歌「確かに、言われてみれば……!」
善子「あんまり、美味しくなかった……!」
果南「でも、一体それがなんだっていうの!?」
花丸「原因は――」
花丸「このかき揚げが、一度“冷凍”された後に、解凍したものだからずら」 ダイヤ「冷凍した後に、解凍……!?」
花丸「そう。作り置きしたものを一旦冷凍して、解凍されたものだから、こうして表面がパサついて衣のサクサク感がなく、味や風味も出来立てに比べて遥かに落ちてしまっているずら」
ルビィ「だから、あんまり美味しくなかったんだ……!」
千歌「だけど、なんでわざわざ冷凍したの?」
花丸「それは、この“丸天”のかき揚げの、一風変わった形と大きさに理由があるずら」
花丸「“丸天”の、かき揚げ丼は……!」
鞠莉「……そうだわ!」
曜「普通のかき揚げと、全然違う! 円筒形で、すごく大きいんだ!!」
https://i.imgur.com/douPojG.jpg 花丸「その通り。この大きさと太さのかき揚げを、パーティーに出席している人数分、パーティーの直前にまとめて揚げるのは、すごく大変ずら」
花丸「だから仕方なく、このかき揚げ丼を作った人は、あらかじめ作り置きして冷凍したかき揚げを、解凍して使った――」
鞠莉「ちょっ……と、待って」
鞠莉ママ「これを、作ったのは……」
曜「“丸天”担当料理人……門田剣……!」
門田「………」
門田「…………っ!!」 ダイヤ「ま……まさか……」
ルビィ「凶器……って……!?」
花丸「そう――」
花丸「解凍する前の、カチンコチンに硬く凍った、“丸天”の特製かき揚げ」
花丸「被害者は、それで頭を殴られ、殺されたずら」
善子「嘘でしょ!? 食べちゃったわよ!?」
ルビィ「きゅううううう……」クラクラ
ダイヤ「ちょ、ちょっと、ルビィ!? しっかり!!」
花丸「これだけたくさんのかき揚げ丼があるんだから、どれで殴られたかはわからないずらー」
善子「そういう問題じゃないわよ!!」 梨子「だけど、この大きさと太さなら、棍棒のようなもので殴られた被害者の頭の傷とも一致します!」
花丸「“丸天”のかき揚げは、他に類を見ない、特製の一品ずら」
花丸「中までぎっしり身が詰まっているから、しっかり凍らせれば硬さも重量感も十分」
花丸「それにおそらく、少しでも鮮度を保つために、急速冷凍でかなりの硬度になるまで凍らせたはず」
花丸「そして、殴った後の凍ったかき揚げを水で洗い――」
花丸「解凍して、何食わぬ顔でかき揚げ丼として出してしまえば、誰かの胃に入って、凶器は永遠に失われるずら」
花丸「すなわち、犯人は――」
スッ
ビシッ!
花丸「あなたずら! 門田剣さん」
門田「くっ……うう……!」 門田「……しょ、証拠は……」
門田「証拠は、あるのか……?」
門田「キミの言う通りなら、もう凶器は誰かに食べられて、存在しないかもしれない……」
門田「それでも……私がやったっていう証拠が、どこかに……!!」
花丸「………」
花丸「……被害者は、大量の出血をしていたずら」
花丸「突発的な犯行である以上、当然、飛び散った血が、犯人の服のどこかに付着した可能性は極めて高い」
門田「……!!」
花丸「血というものは、洗っても、ひょっとやそっとで落ちるものではないずら」
花丸「犯行がパーティーの直前ということを考えても、犯人が服を着替える暇は無かったはず」
花丸「それなら、必ずルミノール反応が出るはずずら。貴方が今着てる、その服のどこかから」
門田「………っ」
ガクッ… 曜「門田剣さん……」
果南「署まで、ご同行願えるかなん?」
門田「………」
門田「……殺すつもりは、なかったんだ」
門田「殺すつもりは……!」
ポロポロ…
花丸「………」
花丸「……ご馳走様、ずら」
ナム… 〜数日後、沼津港近く〜
善子「門田さん、犯行を自供したんだってね」
ルビィ「門田さんと、被害者の永山さん……もと、恋人同士で……」
ルビィ「復縁でもめて、口論になって……ついカッとなった門田さんが、そばにあった冷凍のかき揚げで、殴っちゃったんだって……」
ルビィ「なんだかちょっと、悲しいね」
花丸「えてして、こういう事件は、悲しいすれ違いが引き起こすものずら……」
善子「それにしても、本当にあっという間に、解決しちゃったわね」
ルビィ「ね、すごかったね……! 流石は名探偵の花丸ちゃん……!」
善子(名探偵……か。半信半疑だったけど)
善子(ちょっと、見直したかな、って……) 花丸「……という訳で! お腹も減ったことだし、事件解決祝いに!」
花丸「本物の“丸天”で、出来たてのかき揚げ丼、いっぱい食べるずら〜♡」
ルビィ「ぴえええええっ!?」
善子「あの事件の後で食べるの!?」
花丸「外サクサク、中ふっくら……♡ 特製のつゆを垂らして、ホクホクのままかき込んで……♡ あ、よだれが……♡」ジュルッ
花丸「沼津といえば、丸天のかき揚げ丼ずら! お腹いっぱい食べるずら〜♡」
ルビィ「さ、流石は“喰いしん坊探偵”……!」
善子「“喰いタン”……国木田花丸……!!」
“喰いタン”国木田花丸の事件簿
File.1 『凶器も喰う』 〜END〜 分かる方には分かると思いますが漫画『喰いタン』のパロディでした
トリックとか思いつきで書いたので色々ガバガバなのは勘弁してください 乙
丸天のかき揚げが恐ろしいものだってことはよくわかった 乙
意外と謎解きもしっかりしてる感じで面白かったぞ 大根で殴ったほうがダメージ与えられそうな…
話は面白いから次回作に期待 千歌「金にものを言わせて、沼津中の有名店のシェフや板前を引き抜いたらしいから、すごいよね〜!」
さらっと失礼なこと言える千歌ちゃんがすごいw
>>29
TVなら29の後にスクフェスのCM流れるタイミングだなw
楽しかった歯医者の待合室で夢中で読んだわ また喰いタンずら?もっと大きな役狙えずら。嫌われるずらよ。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています