エアポッキーゲーム
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梨子「そう、ポッキーを使わないポッキーゲームよ」
ルビィ「ふーん、どうやるの?」
梨子「まずお互い向かい合わせになります」スッ
ルビィ「あ、やりながらなの」スッ
梨子「それからお互いの肩に手を乗せます。」スッ
ルビィ「…うん」スッ 梨子「……」
ルビィ「・・・」
梨子「……」
ルビィ「・・・え、なになに怖い怖い」
梨子「動かないで!!!!」
ルビィ「声でっか……びっくりした……」 梨子「ふぅ…こうして目を合わせたまま、ポッキーを咥えるフリをします。」
ルビィ「・・・」
梨子「………」
ルビィ「間が怖い」
梨子「このままエアポッキーを食べ進めて」
ルビィ「・・・」 梨子「先にキスした方が勝ちよ。よーいスタート」スススッ…
ルビィ「いやおかしいおかしいっ!!」バッ
梨子「っ……なに?」
ルビィ「なんでキレてんの?!」
梨子「はぁーーーーっ、また最初からね」
ルビィ「しないよ!!」 梨子「なんでよ!!」
ルビィ「怖いからだよ!!」
ルビィ「…ちょっと落ち着こ?ほら、チョコ食べる?」
梨子「それはデザートに取っておくわ」
ルビィ「何を食事としてのデザートなの!?」
梨子「え、いや…これからお昼ご飯だし…」
ルビィ「なんでそこは普通なの」 梨子「ん?ルビィちゃんつまりそれって」
ルビィ「なんでもないよっ!反応遅いな!!」
梨子「違うのよルビィちゃん。私は別にルビィちゃんの上の口の初めてを奪いたいわけじゃないの」
ルビィ「言い回しが気持ち悪いよ!なに上の口って?!ただの口じゃん!!」 梨子「ただちょっと見つめあってみたらね…思ったより……瞳が、綺麗で……」
ルビィ「褒められてるのにいい気持ちしない…」
梨子「正しいルールはね、まぁ少しずつ近づいて、先に目を逸らした方の負け。ってだけ」
梨子「ね?簡単でしょ?それ以上でも以下でもない。何も怖くない。怖くないわ。」 ルビィ「・・・目を…逸らした方には、何かあるの?」
梨子「ううん、何も無いわ。何もね…」
ルビィ「・・・それなら」
梨子「っっし!!」グッ!! ルビィ「絶対何もしないからね!!!なんかさせようとしたらすぐ逃げるから!!」
梨子「うん!」
ルビィ「学校休むから!!」
梨子「うん」
ルビィ「手首切るから」
梨子「・・・うん」
ルビィ「本当に大丈夫?」
梨子「大…丈夫っ!!・・・」
ルビィ「不安だ…」 梨子「では…」スッ
ルビィ「うん…」スッ
梨子「お互いが肩に手を乗せたらスタートよ」スッ
ルビィ「・・・はい」スッ
梨子「・・・」ジッ…
ルビィ「・・・っ」ジィ… ルビィ(思ったより…近い………)
梨子「ルビィちゃん…」
ルビィ「…ん?」
梨子「負けた方に何かしてもらうことはないって言ったけど」
ルビィ「・・・」 梨子「勝った方が何もしないとは言ってないわよ」
ルビィ「・・・ずっっる!!!」
梨子「ふふふ・・・」
ルビィ(嵌められたっ…なんてfool!全てはこの大人気ない上級生の手の内……っ!)
梨子「さてと、そろそろ…近づいて行こうかな…」
ルビィ「…っ!」 それは思っていた何十、何百、何兆倍も遅く、意識して見ないと動いているのかすら分からないほどに悠長な接近だった
しかし、だが確実に、己の元へと近づいているという現実は、ルビィにとって想像だにできない重圧となってのしかかった。
ルビィ(目を逸らせば………死ぬ!!)
黒澤ルビィ、齢15歳にして初めて死を悟った 梨子「・・・」
ルビィ(あれからずっと黙ったまま…何を考えてるか分からない…眉のひとつも動かさない……)
ルビィ「・・・っ!ふっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」
意識を全て目の前の瞳に持っていかれるような感覚、それは呼吸すら忘れるほどだった
その時… 梨子「…」ニヤリ……
ルビィ「っ…!?」
不意に訪れた変化、桜内の顔が歪に笑う
そして
梨子「…ふぅー…」
ルビィ「っ…んぅ?!」 僅かに開いた桜内の口から、か細い吐息が零れた
そしてそこで理解する
もう既に鼻先が付きそうなほど近づいていたことに
ルビィ「な……に……」
梨子「んー?」ニヤニヤ ふぅー……ふぅー…
ルビィ「・・・っ」ゾクッ
甘い甘い…いちごの香り
意識せずとも、鼻腔をくすぐるその香気に
ふっ…と意識が遠のくのを感じた
ルビィ(この香りを嗅いではいけないっ!ダメになる…っ)
ルビィは直ぐにそう判断し、口呼吸をしようとした
それこそが、名将桜内の計略であった ルビィ「・・・っ………ふっ………はっ………ふっ………」
呼吸がままならない、なぜか。出来ないのだ。呼吸が。それが既に、最悪の展開になると、お互いの唇の距離が語っているのだ。
ルビィ(ちかいっ…ちかいぃ………)ブルブル
梨子「・・・♡」
ふっ… ルビィ「っ!……はぁっ……っ!!」
目を合わせたままでは、もう口元が見えないほどに近く、そこで行われる口呼吸がどのようなものか、その視界にひろがる光景が何を思うか、答えは決まっていた。
ルビィ「・・・」ギュウ……
肩を掴む力が強くなり、身体がみるみる熱くなる
触れないままで、触れずとも、その行為は可能なのだと
黒澤ルビィはその時初めて知った
そして ルビィ「・・・りこちゃ…………」
梨子「………んー?」
ルビィ「………ルビィ…もう……だめ……」
梨子「・・・そう………なら」
梨子「目を逸らして、逃げればいいわ……」 ルビィ「ぁ……」
梨子「私は……勝っても何もしない…約束するわ………?」
触れそうな距離、零れる吐息、混じり合う熱
目を逸らせば、おわる。 ルビィ「・・・」
───終わってしまう
ルビィ「」チュッ
─────いやだ ─────────
梨子「・・・」セイザ
ルビィ「・・・///」
梨子「・・・」
ルビィ「・・・なにか言うことは?///」
梨子「・・・イエ……ナニモ………」 ルビィ「あるでしょっ!言うこと!!」
梨子「・・・いや…ちょっと…わかんないッス……スマセン………」
ルビィ「っ!!//・・・ん!!」バッ
梨子「・・・?」 ルビィ「・・・これから…よろしくお願いします……でしょ……?//」
梨子「」
そのデザートは、この世の何よりも甘かったそう ┃ ┃┃ ┃┃
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