【SS】 よしルビQUEST
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善子「A42tc5=ΩtWin21liguLl……」
ルビィ「……」カリカリ
善子「そこから外側に円を作って、チョークは赤色ね」
ルビィ「……」カッカッカッ…
善子「そう、その調子……ルビィ、貴女円を描くの上手ね」
ルビィ「えへへっ…そうかなぁ」
善子「はいそこでストップ、これで陣は完成よ……最後に」
ルビィ「真ん中のお皿に」ピッ
善子「お互いの血を一滴」ツゥー
ポタッ……
善子「さあルビィ、準備はいい?」
ルビィ「うん」
善子・ルビィ「……汝、常世の国に在らずレば。 我、現世にて己が姿をミたりて。」
故有りし世に糸重ね、一輪自≪かかぐ≫り下思ひて。 響かせたまへ
我、張り者也─── ドド ドド ドド ドドド
善子「18!!」
ド ド ド ド ド ド ド
善子「19!!」
ドド ドド ドド ドドド
ド ド ド ド ド ド ド
善子「20っ!!」
キイイイィィィィィィン
善子「これ、で…21っかいめ……はぁっ、はあっ…どうよ…!?」
死神「まだ…逃れているっ…!!」ギリィ 死神「……だが」
善子「…っ……」ガクッ
ルビィ「善子ちゃん!!」
死神「…ふん、そろそろ限界が近いようだな」
善子「このっ涼しい顔して……体力どんだけあんのよ…!」
死神「当然だ、貴様らのような温い連中と一緒にするな」
善子「!!」
死神「これで最後にしてやる、もう楽になれ」ヴォォォ
善子「く……!」
善子(まずい……体が…) 死神「終わりだ」スッ
ズアァァァァァァ
ルビィ「──! やめて!!」ダッ
善子「……ぁ…」
死神「なっ…! ルビィどういうつもりだ!!」
死神「死にたいのか!! さっさとそいつの前から離れろ!!」 ルビィ「嫌だ!! 絶対に離れない!!」
善子「…………ル、ビィ…!」
ゴオオオォォォォォォ!!
ルビィ「!! ……善子ちゃんはっ!ルビィが守る!」
─お姉ちゃん。
死神「!!やめ──」
バチィッ!!!
ルビィ「…………え?」
善子「待ち、なさいって…」ギギギッ…
死神「…馬鹿な」 バチッ
善子「……なに、やってんのよ…」ググッ
善子「私が、わたしたちが…誰のために……」
バチバチバチ!
善子「ここまで来たと、思ってるのよ…!」
善子「なのに、守られるなんてっ……」
善子「何やってんのよ!私はっ!!」ブシュッ
善子「っああああああああああ!!22ぃっっ!!」
ドパンッ!!!!
ルビィ「善子ちゃ…」
善子「はぁっ……何よ…まだ動けるじゃない」シュウゥゥッ
死神「…………何故だ」
なぜ、立ちあがれる? すみません、一旦ここまでで続きは明日に。
そろそろ終わります 善子「…理解出来ない…って顔してるわね、そりゃ、分からないでしょうよ」
善子「あんたみたいな、甘ちゃんに…私たちの想いが!強さが!分かるわけがない!!」
死神「私が、甘いだと…!?抜かすな小娘がっ!!」ゴォォォッ!!!
死神「貴様らに私の何が分かるっ!!!」
善子「っ!まだまだぁっ!!!」バチィィィィイッ!!!
善子「ルビィ!力を貸しなさいっ!!」
ルビィ「──! うん!!」ギュッ
ルビィ「頑張って善子ちゃん!!後ろはルビィが」
ルビィ「皆が支えるから!!」 死神「何を考えている!何故ルビィから力を借りようとする!!」
死神「ルビィにお前のような魔力は存在しない!!ルビィは!貴様が救うべき存在ではなかったのか!!」
ズウウウウゥゥウゥアアアアアアァァァ!!!!
善子「ふざ……けるな……」バチッ…
善子「ふざけるなあっ!!」キイィィイインッ!!
死神「!」
善子「いい加減にしなさいよあんた!!力がないだの温いだの!人を見下すのも大概にしろっ!!!」
善子「なんでそうなのよ!!こんなに…とんでもない力を持ってて……!神様への信仰心も、あるくせに…!!」
善子「あんただって誰かのために戦っているのに!!」
善子「なんで自分以外の人間を!その強さを!!信じることが出来ないのよっ!!」 死神「信じるだと!?アレを信じろというのか!許せというのか!!」
死神「貴様は奴らの行いを見てもまだそんなことが言えるのかっっ!!!」ゴォオ!
ドンッッッッッ!!
善子「くぅ……! そん、なわけ…ないっ!」
死神「何!!」
善子「許せるわけないでしょあんなの!!」
善子「ルビィだって皆だって全員許してないわよ!!怒ってるのよ!だけど!」
善子「だからこそ!!ルビィを犠牲にしようとしているあんたが許せないんでしょうが!!」 善子「だから私もルビィもここに立っているの!あんたを止めているのよ!それを本当に分かっているの!!?」
死神「!!!」
バチバチバチイッ!!!!
善子「ルビィは!私はねえっ!!」
『あとね、最後にお願いがあるの』
善子ちゃん…死神さんのこと、助けてあげて。
善子「貴女を救いたいのよ!!」 死神「救い、救いだと…!?…っ…そんなもの必要ない!!」
死神「私は救われたいと…望んでいない!!ここに来て選択を誤るか!!」
死神「ここまで来て出した答えがそれならっ…!愚かにも程がある!!」ズァァァッ!!!
善子「愚かは…どっちだあっ!!」バアンッ!!
死神「っ!!」
善子「なんでそうやって自分一人で何でも分かった気になって!それが正しいことだって勝手に決めつけるのよ!!」
善子「あんたずっとそうじゃない!!昔も!今も!誰の言葉にも耳を貸そうともしないでっ!!」
善子「それで生まれた悲劇があるのに!また同じことを繰り返そうとしている!!」 『族長…どうせいつもの煮え切らない話だろうが』
『その救世主というのはいつ我々を救ってくれるのでしょうか』
『いかにも向こうが言いそうなことだ、馬鹿馬鹿しい』
『救いがいつ来るのかなど、誰にも分かりはしないんだ』
『…馬鹿が。信じたところでどうにもならんわ』
『結局己が身を救うのは……己自身でしかないのだからな』
死神「──!」 死神「私が…全て招いたことだと言うのか」
善子「違う!あんただけじゃない!!誰にだって罪はあるわよ!」
善子「マリアを焼いた連中は勿論!それに手を貸した族長たちも!」
善子「そんな奴らを殺したあんたも!!そんなあんたを助けたいと思ってるルビィにも!!」
善子「そしてルビィを巻き込んだ私にも!!今ここにいる全員が!その罪を背負ってるんだ!!」
善子「だけどその中でも何一つ変わってない!変わろうともしない!自分だけが絶対だと思っている!!」
善子「そんなあんたがっ!私は一番許せないのよ!!」
死神「!!」
善子「あんたは!たったの一度でも誰かを頼ったのか!死神ぃ!!」
ゴオオオォォォォォォ!!!!!
死神「私…私は……!」 善子「だから私たちは負けない!負けたくない!!」バチッ
善子「私はあんたとは違う!一人で戦っているんじゃない!」
善子「私の目の前で守ってくれているこの両手も!!」バチバチィッ!
善子「前に進めようとしてくれているこの両足も!!」ザッ!!
善子「私の背中を押してくれる後ろの小さな体も!!」
ルビィ「っうううああああぁぁ!!」
善子「その全てに支えられて私はここに立っているんだ!!」
善子「皆の想いを背負ってここに立っているのよ!だから私は!!」
善子「絶対に!負けるわけにはいかないのよ!!」ギギギギギッ!!! 善子「っ……うああああああああああ!!!」
死神「!!……何故だ、術が…!」
死神「壊れ…っ…!!」
善子「罪なら一緒に背負ってあげるわよ!!だからもう」
善子「独りになるのはやめろぉっ!エステルーーーーー!!」
キイイイイイイイィィィィィィン!!!
死神「……あ…」 ねえ、一緒についていってもいい?
死神「…………そう、か」
……ピシッ
これからよろしくね、お姉ちゃん!
死神「そうだったのか」
ピシピシピシッ…
死神「本当に、救いを…求めていたのは…」
エステル「救われたかったのは……私だ」
────パリンッ シン……
善子「はあっ……はぁ……」
ルビィ「とまっ…た……?」
善子「…………みたい、ね」ヨロッ
ルビィ「善子ちゃん!」ダキッ
善子「大丈夫…ありがと」
善子「……」
エステル「…………なんだ」
善子「……貴女の負けよ、エステル」
エステル「……ああ……そうだな」
エステル「お前“たち”の…勝ちだよ」 エステル「私の完敗だ……心残りは、ない」スッ
ヴォンッ
善子「! 陣が…!!」
エステル「行け、器は用意した、これで問題なく帰ることが出来るはずだ」
ルビィ「器…それって!!」
エステル「ああ、私の命だ、使え」
善子「……」
ルビィ「そんな!駄目だよ!」
エステル「私に構うな、ルビィ」
エステル「お前たちには帰るべき場所があるのだろう?」 ルビィ「だけど!」
エステル「……本当にお前は、よく似ているな」
エステル「どうしてそこまで、寄り添おうとするのか」
ルビィ「だって……大切な人だもん」
ルビィ「マリアちゃんにとっても!ルビィにとっても!大事な人だから!」
エステル「!…………馬鹿者が、もういい」
エステル「それだけで、もう十分…私は救われている」
エステル「ありがとう。ルビィ」
ルビィ「……っ…」ポロポロ
エステル「……善子、ルビィを“頼む”」 善子「エステル…」
エステル「お前だから、頼むんだ」
善子「…わかったわ」
善子「ルビィ」
ルビィ「……うん」スッ
エステル「そうだ、それでいい」フッ 善子・ルビィ「……」
エステル「さあ、時間だ……唱えろ、その言葉を」
エステル「お前たちは誰よりも、その術を知っているはずだ」
善子・ルビィ「……うん」
善子・ルビィ「……」スウーッ
そうだ、私たちは知っている
たった一滴でも、最初に血を分け合ったのは他の誰でもない
──私たちだから
エステル「……いけ」 善子・ルビィ「……汝、常世の国に在らずレば! 我、現世にて己が姿をミたりて!」
善子・ルビィ「故有りし世に糸重ね、一輪自≪かかぐ≫り下思ひて! 響かせたまへ!」
エステル「……ああ、だが…そうだな…一つだけ、願うことがあるとするならば」
善子・ルビィ「我、張り者也───!!」
どうか、幸せに生きて──。
それだけでいい。
そうなんだろう? マリア。 ──ピカッ
「「!!!!!」」
シュウゥゥッ
花丸「魔術書が…っ…消えていく……!!」
花丸「!あ…ああぁ……!!」
花丸「善子ちゃんっ!ルビィちゃんっ!!」
曜「戻って…来た……」
梨子「……っ…時間は!!」
ダイヤ「…43分、ごじゅうっななびょう……!!」
花丸「……息…あるよ!!」
千歌「…うぅっ…あああぁ……やった…やったよ、善子ちゃんっ…ルビィちゃん…!!」ボロボロ
千歌「私たちの…っ…みんなのっ…完全勝利だ!!」 ─善子の家
善子母「善子ー、ルビィちゃん来てるわよ」
「うん、すぐ行く」
ガチャ
善子「わ…っとと、あぶな…」
善子母「もう、慌てないの…転んで怪我でもしたら心配されるわよ?」
善子「う……わ、分かってるわよ気をつけるから!」 ルビィ「善子ちゃん! おはよう!」
善子「おはよう、待たせたわね」
善子母「二人とも、気をつけてね」
善子「うん」
善子・ルビィ「いってきます!」
善子母「はい、いってらっしゃい……ふふ」
善子母「全く、あんなに機嫌よくして」クスクス
善子母「…………」
善子母「おかえりなさい。善子」 花丸「善子ちゃーん! ルビィちゃーん!」タッ
ルビィ「あっ花丸ちゃん!」
善子「おはよ、早いわね」
花丸「居ても立っても居られなくて、それにそういう善子ちゃんだって」
善子「まあね、だって楽しみじゃない」
善子「年末年始、久しぶりにAqoursのみんなが揃うんだもの」
ルビィ「えへへっ、ワクワクするね」 ======
善子「……あれから一ヶ月、か」
善子「早いのか遅いのか、よく分からないわね」
ルビィ「うん」
花丸「全員すぐさま病院に運ばれた時は本当に大変だったんだよ! もうご近所さんから何まで大騒ぎで……」
花丸「マルも寿命がかなり縮んだ気がするずら……」
善子「本当よね、正直これはもう駄目だと思ったわ」
ルビィ「ちょっ善子ちゃん!?」
善子「じょ、冗談よ冗談」
ルビィ「もう…」
善子「……でも、こうしてみんな生きてるでしょ」
ルビィ「…うん、生きてる」 花丸「あっ! 見えてきたよ!」
曜「…お! 千歌ちゃーん! ルビィちゃんたち来たよー!!」
「はーい!」
善子「準備?」
曜「まあそんな感じ、でももうすぐ終わるよ」 曜「そういえば、二人とも進路決まったんだって?」
ルビィ「うん、大学に行こうと思ってるんだ」
善子「そこで民族のことについて色々学んで、教員免許も取って、いつか」
善子「その大切さを子供たちに伝えていく…そんな教師になりたくて」
曜「そっか、いい夢だね」
善子「幸いうちのママも教師だし、使えるものは全部使っていくつもりよ」
曜「あはは、相変わらず抜け目がないね善子ちゃんは!」
曜「うん、私も応援するよ! 頑張ってね二人とも!!」
千歌「準備できたよー!」
曜「はーい! それじゃいこっか!」ニコッ 鞠莉「ルビィー!善子ー!花丸ー!」ガバッ
花丸「わわっ鞠莉ちゃん」
鞠莉「会いたかったわよー!!」スリスリ
果南「こら」ペシッ
鞠莉「あいたっ」
果南「久しぶり、三人とも元気そうで何よりだよ」
善子「ええ、果南さんもね」 ダイヤ「……あら、もう皆さん揃っていましたのね」ガチャ
梨子「私たちが最後みたい」
ルビィ「お姉ちゃん!」
善子「リリーも!?」
ダイヤ「買い出しですわよ、注文が多すぎるので時間がかかってしまいました」ガサッ
梨子「それで私も手伝いに呼ばれたわけなの」
ダイヤ「おかげで助かりましたわ、しかし、一体誰がこんなに…」
鞠莉「えー!? だって折角みんな集まったんだしパーッとやりたいじゃない!」
ダイヤ「…やはり鞠莉さんでしたか」
梨子「あはは…やっぱり」 ─
千歌「よぉーし!! それじゃあ皆さん揃いましたところで!!」
千歌「ルビィちゃんが戻ってきたお祝いと!二人が付き合ったお祝いと!Aqours集合記念と……まあ諸々含めた祝宴会を!!」
千歌「今から始めたいと思いまーす!!かんぱーーーーーい!!」
「「乾杯ーー!!」」
ワイワイ ガヤガヤ
果南「さ、どんどん食べてってよ!」ドンッ
花丸「うぅ〜ん! 美味しいずらぁ〜!」ムグムグ
鞠莉「ねえねえそれで? 聞かせてくれるんでしょう、今までのこと!」
善子「やけに興味津々ね…あ、おかわりお願い」プハッ 鞠莉「私のも持ってきてー! だって聞きたいんだもの、貴女たちの愛の物語」
善子「愛って……」
鞠莉「あら、違った? ……色々協力出来ることがあるかもしれないでしょ」
ルビィ「! 鞠莉さん…」
果南「ま、そういうことだよね」ズイッ
鞠莉「言っておくけど、私たちだけ除け者なんてなしよ、善子」
果南「それに皆も改めて聞きたいみたいだよ? ほら」 「「……」」
善子「全く……長くなるわよ」クスッ
鞠莉「逆にすぐ帰れると思っていたのかしら?」
ルビィ「えへへっ! それもそうだね!!」
果南「聞かせてよ善子ちゃん、私たちに二人の物語を」
善子「…仕方ないわね」フフッ
善子「じゃあ、そうね…どこから話せばいいかしら」
善子「もう半年も前になるのね……そう、あれは私が部屋で本を見つけた頃まで遡るわ────」 ────救いとは一体何だろうかと、最近になって考える。
神か、人か、それとも自らの欲を満たしてくれる別の何かか
恐らく、人が人である限り完全なる答えは出ないのだろう。
そうだ、多様な価値観の中で争いが繰り返されるこの世の中で
全ての人を救える術など、どこを探しても見つからないだろう。
だが、それでも悩み、苦しみ、足掻き続けたその先には
きっと、お前たちを照らしてくれる光が待っているはずだ。
だから進め、お前たちの信じる仲間とともに。
そして掴み取れ、己自身の幸せを。
善子、そしてルビィ。
その日が来るのを私たちは楽しみに待っている。
この雄大な海よりも更に高い、空の上から────ずっと。 終わりです、ありがとうございました。
最後に名前の補足ですが、エステルは「星」、マリアには「海の輝き」という意味がそれぞれあるそうです。 おつでした
一ヶ月以上に渡り楽しませてもらいました >>515
元ネタが漫画やアニメ等といった作品を指しているのならssの元ネタはありません
ただ、今回のオリジナル要素における部分
エステルやマリア、ユダヤの魔女裁判につきましては
実際に行われていた中世ヨーロッパの魔女狩りの事件などを参考に書きました。
エステルの名前の元ネタは旧約聖書の一つ「エステル記」の主人公エステルから
マリアについてはユダヤでそういった名前がよく使われていたから名付けただけで元になった人物は特にいません お疲れさまでした
ここ最近の楽しみの一つでした
毎回読ませてもらってる、今回もとても良かったです おつおつ
最後の対決は熱い展開で凄いよかったわ
魔術の法則も色々練られてて面白かったです よく勉強してるなあ
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