梨子「私は東京を発つ前に自分の気持ちを千歌ちゃんに伝えたい。でも私より先に曜ちゃんに告白してほしいの」

曜「それは何?様子見?」

梨子「違う!」

ピアノの椅子から梨子ちゃんが立ち上がる。

梨子「私は……曜ちゃんの想いを知ってるの。ずっと一緒に居たから。見てきたから。曜ちゃんの想いを知れば知るほど、千歌ちゃんのことは諦めなきゃいけないって思ったの」

窓から射す斜陽が梨子ちゃんを照らす。

梨子「でも無理だった。忘れられなかった。諦めきれなかった。私はやっぱり千歌ちゃんのことが好きで、今でも千歌ちゃんのことが好きで、だけど曜ちゃんへの罪悪感も沸き上がってきて」

罪悪感?そんなの感じる必要なんかないのに
梨子ちゃんを苦しめている私の方がよっぽど罪悪感があるよ

梨子「ねえ、曜ちゃん、お願い。千歌ちゃんに告白して?好きって想いを伝えて?曜ちゃんなら大丈夫だよ、お似合いカップルだもん。そうすれば私は今度こそ諦められるから―――」

曜「ごめん」

嗄れかけていた梨子ちゃんの声が、断たれる。

曜「今は、告白するタイミングじゃないから」