梨子「私ね、心の中では曜ちゃんともきっと親友になれるって思ってたの」

曜「え?」

梨子「だって、同じ人に惹かれて、その人の夢に導かれて、その人の夢の為に一緒に走って、そしてその人のことを愛しているなんて、まるで鏡写しじゃない」

曜「……確かに、そうかもね」

梨子「ここまで似た者同士なんて、今考えたら千歌ちゃんやよっちゃん以上に曜ちゃんは運命の人かもしんないわね」

曜「気持ち悪いこと言わないでよ」

鏡写しだとか、運命の人だとか、妙な言い回しでいちいち強調してくる梨子ちゃんを前にして、つい本音を口走ってしまった。

梨子「ごめんなさい」

そう言って梨子ちゃんはニンマリと笑う。
ニッコリなんて可愛らしい擬音語はこの場合ふさわしくない。

梨子「結局は他人なのにね。よくて恋敵かしら?」

曜「敵対関係のどこがいいのさ」

梨子「ある意味で特別よ?」

曜「気持ち悪い」

梨子「ふふ、曜ちゃんと話してるとついついからかいたくなくなっちゃうの」

曜「悪女め」

梨子「曜ちゃんの方がずっと悪女よ」

曜「なんでさ」

梨子「そりゃあだって―――曜ちゃんはとても優しい人だからよ」

曜「……?」

梨子ちゃんが言わんとしていることを上手く飲み込めない。
誉められてるのか皮肉を言われてるのかすらも分からない。