梨子「東京から静岡に転校した結果」
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辛い
何が辛いって転校だ
どうも私は学校生活において問題が多いそうで
東京から静岡に左遷のように転校させられるとのこと
自分の我を通せない学校などやめてしまいたかった
でも中卒は少々きつい
だから辛いながらも転校を受け入れた、次はたしか統廃合に寸前の学校
まあどうなろうとどのみちそこが最後のチャンスだ
のんびりやろうと思う
しかし、静岡かぁできればア○メイトとか近いところがいいかなぁ
というか私東京で忘れ物してないよね?
次の学校で使うもの、OK
大聖典(壁クイ本)OK
聖書(百合漫画)OK
楽譜OK
よし!全部ある!
じゃあ問題はこの大聖典や聖書の次巻が買えるとこがあるかだけだ
田舎田舎言われてるけど静岡も結構中心部は都会…だよね?
なーんて考えていれば目的地に着いたみたい 静岡県沼津市海辺の町″内浦″
降り立ったときの第一感想はやっぱりど田舎だなぁと正直に思ったけど
第二の感想で空気が澄んでるって素直に感じたところで
存外田舎も悪くはない
沼津自体は結構都会みたいだし
これならア○メイトもゲ○マーズも期待できそう
ガルルルルル
!!?
あーえーとまずあれだ
私の新住居を、そう住所を!確認しよう!
そうしよう!
えーと○○の××で十千万旅館っていうところのほぼ隣
んでんでその旅館は…?
ああ目の前のここね…
はいはいじゃあここであってるのね…
なんだびっくりした〜
なんかさっきこの世のものとは思えない化け物がいた気がしたから…
気のせいよね気のせい
ガルルルルル !!??
ゴォーーーー
頭が三つ、黒い皮膚、口から業炎と垂れる涎
「ガルルルルル」
そして獣を越えた地響き催す唸り声
がこの十千万旅館に繋がれていた
あはは旅館のペットかな?
それは随分とした迫力のあるペットで…
っていやおかしい!おかしい!
何ここぉ!?
何で旅館の玄関にケルベロスがいるのぉ!?
いやどの世界にケルベロス飼ってる旅館がいるのぉ!?
「がう?」
めっちゃ見てるんだけど!今にもこっちに業炎吐き散らしそうなんだけど!
え?マジで何ここ?この世?実は私が乗った列車知らない間に事故にあってて知らない間に死んで地獄に来たわけじゃないよね?
「ガルルルルル!」
いやこれ死んでないとしたら死んだ方がマシなんだけど! 私史上最大のピンチ
まさか転校先の田舎に降りたらいきなりケルベロスとエンカウントするとは思わなかった…
RPGでも真っ青なエンカウントだよ
「ガルルルルルゥ!」
来ている…!鎖には繋がれてはいるけどあの鎖にはまだ余裕がある…!
間違いなく威嚇の唸り声をあげながらこちらに来ている…!
は、早く逃げ…
ササッ
なん…だと…!?
このケルベロス…
どっかの死神のように瞬歩を使い
一瞬で私の後ろに回り込んだ…! ふふ…流石地獄の番犬は伊達じゃないわね
じゃないのよ
やばいのよこれ
完全に逃げ道がない…!
私はRPGの勇者でもヘラクレスでもないのよ…あるのは彫刻ナイフと木刀
だけどゆうに熊を越えた巨体に火まで吹くこんな化け物相手にまともに戦える見込みなんて…
「ガルルルルルゥゥ!」
四の五の言ってる場合ではないわね
私も魔都東京でそれなりには修羅場くぐってきたつもり
かかってきなさい地獄の番犬…!
チャキ… 「あ!しいたけ!もうだめだよー通りかかった人に寄っていったらー」
と戦う腹を括っていたら
可愛らしい声がさっきのバトルムードを遮るように聞こえてきた
「グゥ…」
可愛らしいのは声だけではないオレンジ髪の少女がケルベロスにめっ!って言うように出てきた
私はなんとなく咄嗟にさっき戦おうとしていた得物をしまう
多分ギャップがすごいけどこの目の前にいる可愛らしい少女が
アレ(ケルベロス)の飼い主のみたいだし
「ごめんなさい、うちのしいたけ人懐こくってじゃれるの好きだから…びっくりしたでしょ?」
「えーびっくりしたというか命の危機を感じたというか」
「もー大袈裟だなぁ」
大袈裟かな!?
多分誰しも一回は命諦めるレベルだと思うけど
どうやら私は田舎の人の動物慣れレベルの認識を見誤っていたようだ ならば私も田舎デビューとして話を合わせて見よう
「でもよく見ると可愛いワンちゃん?ですね!品種はケルベロスですか?」
自分で言っといてあれだけど品種はケルベロスですかって何その質問!?
そんな犬の品種あってたまるかー!
「おーよくご存じで!ここいらでも珍しい品種なんですがね?私が小さい頃捨てられててー」
やっぱり通じたー!?いやいや珍しい品種ってレベルじゃないんですが!?
というか捨てられてたって何!?こんな危険な生物捨てるとか最早新手のテロでしょ!?
「あの日は雨だったかなぁ?この子火属性だから水に弱くって死にかけててあまりにも可哀想で」
RPGの世界みたいにナチュラルに火属性とか言われましても!?
「私も家が旅館だし悩んだんですがその顔が三つのつぶらな6つの目でこちらをクゥーンクゥーンって鳴いてた声にやられて拾って飼うことにしたんですよー」
顔三つのつぶらな6つの目っていや気色悪いわー!顔三つある時点でもはや気色悪いよ!?
「そういえばあのときは大変でしたね…最初は私達家族に慣れないから旅館でウーウー唸ったり摂氏6000℃の火吹いてきたり」
それほぼ太陽の表面温度ですが!?よくご無事で!? NGワード引っ掛かって分からんで書けねぇ
まあつまらんみたいなんで
おわり えぇ
オタクの脳内っぽくて割と嫌いじゃなかったんだけど
まあ乙 ちなてすと
「旅館が一回消炭になっちゃってどうしようかとやはりこの子は人里は合わない地獄に返そうとも思ったんですが」
野生にじゃなくて!?
「旅館に耐火属性をつけて復活させたら大丈夫だと改めて飼うことにしたんですよー」
いや肝心の凶暴性抑えるとかは何も解決してないような
「ハッハッハッハッ」
「今ではこの通り私にもなついて」
ドォン!
「ぬわああああ!!」
ぶっ飛ばされたー!
「…ゼェ…ゼェ…ね?こんなに元気に私にじゃれてくるんですよ?可愛いでしょ?」
「いや今事故にあったくらいぶっ飛ばされてましたけど大丈夫です?」
「だ、大丈夫、大丈夫!この子は力が強いだけなので…!」
「グゥ…!」
「いやものすごく暴れないように抑えつけてるように見えますが」
「ど、ドルミナー!」 「はぁ!!」
と目の前の少女が呪文を唱えると白いモヤのようなものが彼女と目の前のケルベロスを包みケルベロスは眠った
「ね?こう、いいこいいこしたらすぐ寝ちゃうんです」
「いや呪文で無理矢理眠らせ気がしたんですが…」
ここやばい…!予想以上にやばい…!
なんかもう突っこみ切れなかったから色々飛ばしたけど
よくよく考えたら何!?さっきの呪文と魔術!?何!?旅館復活させるって!?
もう意味が分からない
田舎デビューとかそういう話じゃない
ファンタジー過ぎてついていけない
私はここで一体どうなってしまうんだろう
「あ、そういえばここでは見かけない顔ですね?もしかして迷い人ですか?」
と色々不安を募っていたら先ほどのケルベロスの飼い主の女の子が再び話しかけてきた
というかこの子、家が旅館って言ったよね…?
「え、えーと迷い人じゃないんですが私はここに越してきた桜内梨子って言います…東京から来ました」
「ええ!?東京から!?」 彼女は随分と東京ってことに驚いた反応を示した
何をそんなに驚いているんだろう?ケルベロスを飼ってるような子が
こんなに東京からきたってだけで驚くとは…
「す、すごい…これが都会の美人さん…やっぱり綺麗…」
「え、え///いやそんなことないと思います///」
「恥じらう姿も絵になる!はーそっかー桜内梨子さんかー!東京からきたんだー」
ワクワクといった風に彼女は私をまじまじと色んな角度から見つめだした
余りにも恥ずかしいので
「あ、あのあなたのお名前は?」
誤魔化すために気になっていた彼女の名前を聞くことにした 「ああこれはこれは申し遅れました桜内梨子さん!私はこの十千万旅館の家の娘、高海千歌です!根っからの田舎娘ですが!よろしくお願いします!」
元気のいい子だなぁ
ふむ、高海千歌さんか…
ケルベロスの従者ってことがぶっ飛んでいるけど悪い子ではなさそう
「えーとじゃ桜内さん?たしか家隣ですよね?」
「え?」
「いやぁそういや隣の家は建ったばかりって聞いたからもしかしたらっと思って」
「あー…そうですね高海さんの旅館の隣の家みたいです」
「そっか私は桜内さんみたいに美人でもないし何の取り柄もない普通の子だけど、もし私に何かできることがあったら」
いやいや普通ではないけど!?もはやおかしい子ですが…
「気軽に声かけてくださいね?」
うんまぁ
「分かりましたよろしくお願いします!」
既にこの子に聞かないと分からないことだらけだ
やっぱり地獄でも異世界でも共通越してきたら初日に近所に挨拶するのは常識だよ あれれー!?
どっかの名探偵のような声を出したくなった
なんだろうこの浮遊感
というか本当に浮いている
もう何この田舎コワイ
私はたしかに寝たはずだった、今日色々あった疲れから
早めに就寝したしたしかに目を閉じて眠ったはずだけど
だが今分かることははっきりと意識がある
それによくみると浮いてるだけではなく
別の空間にいた
夢なら合点は行くがこの意識の鮮明さは明らかに夢ではない
見たことあるような生徒会室…
何故ここにいるかは分からない
「やぁ客人ようきたなぁ」
と狼狽えていたら目の前にいつの間にか現れた
紫髪の女の人が椅子に座ってこちらに話かけてきた 「ようこそスピリチュアルルームへ」
「す、スピリチュアルルーム?」
「そうや、ここは現実と精神の狭間の世界、客人は夢の中であって現実、現実であって夢の中にいるちゅうことやな」
「???」
意味が分からないけど
意味が分からないながら合点はたしかにいった寝てたはずなのに起きてるような感覚
けどやっぱり夢の中にいるような感覚
よく分からないけど今の感覚を説明するにはよく分かる説明だ
しかし
「えーと、で?」
「そうやなぁ、お客人も色々と聞きたいこともあると思う、でも一気に質問を受け付ける時間はないんや、お客人の夢が継続する時間しかこの世界は存在しないんよ」
「……じゃあ答えられる範囲でいいですが…まず貴女は誰ですか?」
「おっとこれはこれは失礼した…うちは東條希、このスピリチュアルルームの主や」
「ここの主?じゃああなたは夢世界の住人ということでよろしいですか?」
「今はその認識でええよ」 今は…気にかかる言い方だけど
まあいっかそれよりも
「それでその夢世界の住人の主様が私の睡眠邪魔してまで何用なのでしょうか?」
「睡眠妨害は申し訳ない…けれどお客人?うちは別に遊び半分で貴女の前に現れることはないよ…いわばこう引き合わされる運命やったと言うべきかなぁ?」
「?…意味がよく分かりませんが」
「今はそれでええ…いずれ貴女が巻き込まれた運命の意味、うちとお客人が引き合わされた運命の意味がよーく分かるようになるから」
引き合わされた運命?それに巻き込まれる?
一体何に?
「あっとそれではあんまり答えになってへんね…えーじゃあ今うちが出てきて貴女に話かけている理由をお教えしようかなぁ」 「……」
先ほどのにこやかな顔とは打って変わり夢世界の主は真面目な顔で私に語りかけた
「今日この世にあらざるものを見たやんな?」
「!?」
私は驚愕の後、頷いた
即座にあのケルベロスのことだろうと分かった
やっぱりあれは悪ふざけの産物でも私の妄想でもなく
たしかにこの世に存在していながらこの世にいてはいいものではなかった
「あれは…魔なるものや、空間を越えやってきた異世界の使者、いや刺客とでもいうんかな?ともかくお客人、貴女の運命に大きく関わることになるものなんや」
あの化け物が私の運命に?
「最初の転機はそうやな…このカードが告げとるのは」
おもむろに主、希さんはタロットカードを取り出す
「3日後、そのときに貴女の最初の運命ともいうべき出来事が起きる」 出たカードは愚者
たしか意味は、なんだったか
私はこの手のものは詳しくない
でもたしか色々あったはずこの位置はたしか逆位置
逆位置の愚者
「ふむふむ愚者か、中々面白い客人やな…さて今回はこれにてお開き」
「え!?ちょ…」
「心苦しいがお客人?うちは貴女の運命に対する立ち向かい方をその都度サポートするくらいしかできない…」
立ち向かい方、私はどんな運命を辿るというのだろうか
それほど大きな運命なのだろうか
「先ほど言った通り、3日後この愚者のカードが告げる運命に従って貴女は間違いなく変わる、そしてその時がまたうちと客人の再会のとき…ではまたなお客人?よい眠りを」
夢の世界が崩れはじめる
白いもやのようなものが今まで見えていた世界を包んだ
視界は真っ白になりそして真っ暗になった 「……」
寝不足だ
あんな起きてたのか寝ていたのかわけわからない状況に陥ってて快適な睡眠などできるわけがない
いやというよりも私の運命がどうのとか言われては気になってしまう
3日後か…
とりあえず今日は新しい学校への初登校の日
たしか浦ノ星女学院だっけ
うん…!制服は中々可愛い
まだどんな学校かは分からないけど
昨日の感じでは色々ぶっ飛んでいてもおかしくはない
気を強く持っていこう 消えている?
私は登校するために家の玄関を開けた
目の前にはあのケルベロスと思っていたが
消えている
あの子と散歩?とも思ったが違う
確信はないが昨日たしかに存在していたはずのおぞましいオーラのようなものがなかった
「あれはやっぱり…夢…?」
もはやどこまで夢を見ていたのか分からなくなってきた
頭が痛い…!
寝不足からかこの奇妙オカルト染みた現象によるストレスからかはたまた
まだ悪夢の中にいるからなのか
しかし昨日と深夜の出来事、あれが丸々寝ていたときに見た夢なら私はいつここへ辿り着いたのだろう
余計に分からなくなってきた
では昨日いたあの子も…?夢の住人…?
ササッ
「…!」
人…影…! それに視線を感じる
たしかに私の背後から誰かが私を見ている
私についてきている
「…誰!」
思わず振り向いて叫んだ
「!!?」
慌てた人影が見えた
そのあとに気配も視線も消えた
目もあった気もする
さっきのが人であれが目だと言うなら
昨日のあの子と同じ赤い目だった
もしやあの子なんだろうか…?
だったら隠れているのは何故… それからもこちらを見る視線は再びとして
現れることはなかった
私も校門を抜けるとようやく今日から通う学校の全容を知ることになる
ここが浦ノ星女学院…
とても一年後に統廃合になるようには見えない立派な場所だ
あの子の髪のように壁が少しオレンジがかっているのもお洒落だ
あの子…そう言えば昨日のあの子(高海千歌)もこの制服を来ていたような…歳も同じくらいに見えた
まだ昨日のことが夢か真か定かではない
いや夢にしては鮮明すぎるけど現実にしてはぼやけてもいた
でもあの子との丸々の会話は全て覚えている
でもでも夢でも会話内容くらい強い印象があれば覚えているものだし…
と何を言っているんだろう私は
分からないことをだらだらと一人で考えても意味はないか
まずは私は理事長への挨拶と言われている
そのこともついでに理事長に聞けばいい
何か分かるかも知れない
えーとしかし理事長室はどこなんだろう? 周りの誰かに聞いてみようかな
私はあまり知らない人に話しかけるのは気が引けるのだけど…
「……」
コツコツとローファーが廊下を叩く音が目の前を通り過ぎる
長い黒髪を靡かせた後ろ姿
その黒セーラーとよく似合いとても絵になる
…とそんなことを言っている場合じゃない
「あ、あのすみません」
「…!…何か?」
「…え、あの…」
振り向いたその顔があまりにも綺麗であまりにも冷徹だったため少したじろいた
その切り揃えた前髪の下にある鋭い目が睨み付けるように私を見つめる
「用がないのならこれで…」
「あ、待って…!ください…あ、あの理事長室はどこですか?」
「理事長室?あーあなた…例の転校生?たしか桜内梨子さん?」
少し彼女のつり目が下がった気がした
しかし依然として凛とした佇まいは保たせたままだ
「はい、今日2年のクラスに編入してきました桜内梨子です」 「…話は聞いてるわ、たしか理事長室よね?こっちよ」
黒髪美人は眉一つも動かさずにだけど
私を理事長室まで案内はしてくれた
とても冷たい印象は受けるけど意外と親切な人のようだ
「ここが理事長室、ではわたくしはこれで」
「あ、あの…!」
「?」
理事長室になるべく近寄りたくないのかと思うほど案内したあと即座に立ち去ろうとしていたので
思わず声をかけてしまった
何も用事はないのに…
そのあと何を言おうかも当然考えていなかった
「えーと…まだ何か?」
黒髪さんは相変わらず眉一つも動かないけど少し困り気味なのは見て取れた
「あー…すみません…えーと、貴女のお名前は?」
「……」
呼び止めたのに何でもないなんてのは言えなかった
とりあえず名前を聞いておこうと思う
「…黒澤ダイヤ」
「黒澤ダイヤさんですか…案内ありがとうございます」
「…ふ、別に生徒会長だからよ…いくら問題のある落ちこぼれ相手でも困っている生徒を無下にすることはできないのよ、わたくしの沽券に関わる」
「え、えーと」
前言撤回この人、大分冷たい…というか生徒会長だったんだ… 「貴女が過去に何をやらかそうが知ったことではないけどね?ここではあまり目障りな真似はしないで頂戴?」
ぐさりと釘を刺されたような気がした
いやなにもする気はないけど
この冷たい目には迫力があって体か痺れる感覚だ
「わたくしの仕事を増やすような真似をしたら許さないから…!」
「もう〜ダイヤちゃん?またそんなお堅いこといって〜無駄に敵を作る癖、相変わらずのようデスね」
「ちっ…鬱陶しいのがきたわね」
理事長室からの声
と思ったら扉が開いた
理事長という割りには声が若いなと思った
というか理事長も女の人なんだ…
「きたわねってここ理事長室の前よ…貴女のその転校初日の幼気な少女をいびる声が聞こえたらそりゃ開けるわよ」
「幼気なら、暴力沙汰なんて起こさないでしょう?…ったく…ではわたくしは失礼しますね理事長」
「うわ…幼馴染に何あのかたっくるしさ、ムズムズし過ぎでアレルギーになりそう」
幼馴染…? 「あ、チャオ?貴女が桜内梨子ちゃんね?よろしく私は理事長の小原鞠莉デース!気軽にマリーって呼んでね?」
これまた先ほどの生徒会長さんとはうって変わった容姿とキャラの人だ
金髪美女、顔は少し日本人離れした肌とパーツを持ち合わせており、
スタイルもボンキュッボンで素晴らしい
あの夢の住人さんに引けを取らない巨乳
しかし理事長にしては…
「ま、マリーさん?えーと理事長なのにお若いですね」
「そりゃ貴女と一つ違いですし」
ああなるほど…私と一つしか…って
「ええええ!?」
「そ、ここの生徒兼理事長、私も理事長である前に歴とした浦女の華のJKよJK」
これは驚いた
旅館にケルベロスの次点に食い込む出来事だ
高校三年生が理事長
しかしそんなこと有り得るのだろうか
また私の得意な夢オチなのかな…? 「まあ驚くのも無理はないわね〜でも世の中はね不思議なことだらけよ?これからの人生も〜っと不思議なことに貴女に降りかかるわ…だから過去の事件は一旦忘れて」
「……」
過去の事件か…
「この浦女の生徒として精一杯青春を満喫しなさい」
ニコッと笑いかけた彼女は眩しいくらい
どこか掴めないキャラはしているけど
同じ女子高生兼任ということでこれほど同じ目線に立てる学校の理事長は他に存在しないだろうなぁ
するとマリーさんは私の掌に何かをチョンと置いた
「はいこれ校章バッジ、改めて浦ノ星にようこそ梨子」
「はい、よろしくお願いします!マリーさん!」
なにはともあれ
私の第二の高校生活がスタートした あ、そうだ
「マリーさん?あの…黒澤先輩と幼馴染?なんですか?」
「!?」
飄々した顔で別の意味で黒澤先輩と同じ、顔を崩さないタイプの彼女が
少し顔がひきつった
やはり先ほどの呟きで聞き取った幼馴染という言葉
聞き間違いではなかったみたい
「そうね、幼馴染よ…ただもうあまり仲良くはないけどね」
「そう…なんですか、なんかすみません」
「いやいや、意外と梨子はぼーっとしているようで鋭いなぁあはは…」
から笑い、それも見てとれて分かるような
さっきの会話を見るにそれほど仲が悪いようには見えなかった
けどたしかに黒澤先輩はマリーさんを避けていた
過去に何かあったのは間違いなさそうだけど
転校したての部外者の私が突っ込むべき問題ではなかったかな
それではもう1つ… 「あの…じゃあもう1つ…」
質問がある
「?」
「この学校に高海千歌さんっていますか?」
「!!?」
先ほどの比ではないくらいにマリーさんの顔が崩れた
それもすぐに形相変え
さっきまでの穏やかなマリーさんが少し私に睨み付けてるような目になった
そしてこう口を開く
「その子は一年前に行方不明になったきりよ…?なんで貴女がそれを…?」
!!!???
どうも私は悪い勘を当てる良さだけはいいらしい
その事実を聞いて
今までの不思議な現象が夢か現かで収まるようなそんな次元の話ではないことにすぐに気づいた おう無事完結かおつかれ
どうせ続きはよとかのレスウッキウキで待ってるんやろ パソコンかスマホあれば沼津だろうが沖縄だろうが本は買えるだろ P4とP5の要素あるな
そしてノゾールから漂うラスボス感 面白そうなのに叩かれまくりでワラタ
続き待っとるよ >>43 全く同じこと思った
ベルベットルームらしきとこもでてくるしw 「行方不明…!?」
「そうよ…なんの事件性もなく下校中に突如として彼女は消えた」
「そんな…!」
「いや事件性がないってのは結果ね、勿論最初は事件だと警察も捜索に乗り出したわ…けれど一切見つからなかった」
そんなことって…!じゃあ昨日見た
彼女は一体…!
「こちらからも聞かせて」
その顔持ちは重く、適当に答えることは免れない眼差しだった
「そんな一年前に行方不明になった彼女の名前をなんで貴女が知っているの?」
「そ、それは…」
言うべきだろうか…!
いや聞いたからには言うべきなのだけれど
事実を聞いてから私自身も軽々しく口にしていいものではないと気づいた
「?」
しかし彼女の目の前で言い淀めばそれはそれで問題
「昨日見たんです…高海千歌と自ら名乗る女の子に」
「!?」
正直に答えた
当然、彼女は驚愕する
しかし、そのあと頭を抱え始めた 「くっ…まさか…いやでもあれは…」
正直ここまで来ると私の幻想だのと問い詰められることを覚悟していた
しかし、彼女の反応は予想外のもので頭を抱え理事長室の窓にもたれかかると
ぶつぶつと独り言を言い始めた
「曜の言うとおりだった?…私の早合点だった?…まさか私が彼女を…ぐっ…」
その独り言は徐々に大きくなりなんだかただならぬ震えた声に変わる
「…マリーさん?」
「!?」
その姿はまともではなく私の声ではっとした、ということは私の存在を忘れるほど正気を失っていたということ
それほど何かを考え込んでいたということ
彼女にとってもそこまでの驚愕だったのだろうか…
いや、私には彼女が何かを隠しその隠し事に対し懺悔しているように見えた 「え…えーと分かったわ、その件については調べておく」
調べる?何を?警察ですら捜索出来なかったことを…?
昨日越してきたばかりの私がこの学校の行方不明者見たといったその一言だけで、
今の今まで諦めていた一年前の事件を再び調べ始めるとでも言うの?
「いい?貴女が今言ったことは私以外には絶対言わないで」
これまでにない強い語気が込められていた
形相も先ほどのにこやかな顔とはうって変わっている、おかしいと感じせざるを負えない
マリーさん…あなた何を隠して
「分かりました…」
「…あと、まだあなたには色々と聞きたいこともあるわ、放課後またここに来て頂戴」
「分かりました」
おかしいとは思いつつそれしか言えなかった…
怪しいけど私も何も知らないし
今はこの理事長に拾われた立場でもある
目立つ行動は控え今は素直に従おう
私は一礼し理事長室を後にする
バァン!
!…机を強く叩く音の気がした、勿論理事長室からだ
どうやら本当に只事ではないらしい 朝礼の時間
「は〜い今日は転校生の紹介です」
ざわざわとしたのが聞こえた
ただ転校してきたってだけなのにこう注目されるのはやはり恥ずかしい…
「桜内梨子です、音ノ木坂学園からやってきました…宜しくお願いします」
「皆さん仲良くしてあげてくださいね」
「えーとじゃあ席は…」
担任の先生が私の座る席を探していた
後ろの席に一つポツンと開いている席が見える…あれはもしや…
「えーとりあえずそこでいいかな?渡辺さんの隣になるけど?…気に入らないならまた新しい席作るから」
「…いいですよ別に」
空席の隣の席にいるグレー髪の生徒が頬杖をつきながら呟いた
顔立ちはとても綺麗だ
でもまるで全てがつまらないといったような顔をしている 「じゃあ桜内さんそこね!隣は渡辺さんよ彼女は…まあ後から詳しくはお互いで自己紹介してね」
「はい」
私はそのままその席に向かう
バックを机の横にあるフックにかけた
椅子を引き、座る
その私の一連の動作を頬杖をついたまま横目で追っていたのは
隣の渡辺さん
私と目が合うと慌てて目線を逸らした
「よろしくね渡辺さん?」
「…よろしく」
やはり彼女はとてもつまらなさそうで無愛想だ
しかし無愛想ではあるけどしっかり挨拶は返してくれた
「はいじゃあ!新しい仲間と共に今日も元気に過ごしましょう!」
そして朝礼が終わった 質問攻め
東京からきたということ、音楽に伝統のある音ノ木坂からきたということ、どうして転校してきたのかということ
転校生にありがちな初日にある質問攻め
それを私は受けていた
なんかもうめんどくさいので
軽く親の仕事の都合ってことと、ピアノをしていたということ、漫画が好きなこと、東京JKもあんまり変わらないよってことのような
他愛ないことを適当に伝えておいた
一日経って分かったけど、昨日のあの子以外特質としてこの町の人に変わってる部分はたしかにない
その昨日の現象が突き抜けてはいるがまあそれはまた別問題だ
それより隣の渡辺さんは
「……」
やはり私には興味はないようだ
隣がてんこ盛りなっているのに輪に入ってこようとしない
相変わらず机に頬杖をつきながら今度は窓から空を見ていた
彼女は全てに対し興味を失っているように感じる 質問攻めが終わった
適当に答えただけだけど
LINEも交換してくれたりクラスメートにはそれなりに好印象にはとってくれたようだ
「……」
それ故に気になるのはやはり渡辺さん
どうやら今まで私がクラスメートを惹き付けていたからというわけではなかったらしい
彼女は完全にクラスから孤立していた
誰も彼女に話かけないし彼女も誰にも話かけない
たしかに彼女は無愛想だが一人くらい仲の良い人はいないのだろうか
とそれは大きなお世話か…
人には事情が色々ある、別に友達を作らなくても一人でいる方が楽だから敢えて遠ざけているそういう人も沢山ね
私も大体そんな人間
だけどだからこそ分かることもある
彼女は…
「……はぁ…」
そんな類いの人間を装ってるだけのように見えた 元がどんな人間像だったかどうかはさておき
明らかに全てを諦めたようにしているだけ
で諦めきれてないように見える
本当に諦めていたらあんな溜め息すら吐かない
「あの渡辺さん?よろしくね!」
「…よろしく、というかさっきも言ったけど?」
「あらためてだよ、あの渡辺さんは普段なにしてるのかなって」
「水泳」
「水泳かぁ!すごいね?何泳ぎが得意なの」
「…ごめんそっちの水泳じゃない、飛びこみの方」
「と、飛びこみ!?…へ、へー!珍しいね!飛びこみってあの高いとこから飛ぶやつだよね!はーすっごいなぁ」
「お世辞どうも、でも見え見えで無理ありすぎそんな誉めなくていいよどうせマイナースポーツの自覚はあるしさ、あと人気者は私なんか相手しないでみんな相手してあげなよ私つまんない女でしょ?」
そう皮肉りながらも渡辺さんはふっと軽く笑った
たしかに素っ気ない返事ばかりするけど確信した
この子良い子だ
ますますほっておけないそんな気にさせる 「どうして?私は渡辺さんとお話したいな」
「ふ、飛んだ変わりものだ、似てるね貴女」
「似てる?」
「私の親友だった子に似てる」
親友だった子…それは…もしや…
「ちょうど一年前までそこに座ってた子だよ」
やっぱり…!
やっぱりここは元が高海千歌さんの席で
渡辺さんはその千歌さんと親友
え、じゃあ渡辺さんは親友を行方不明でずっと亡くしたまま一年間ずっと…!
「っ!?…」
「?…どうしたの?顔色悪いけど?」
貴女が今言ったことは私以外には絶対言わないで
そうだったマリーさんに釘を刺されていた
「大丈夫?」
「だ、大丈夫よ、でその親友の子は一体どうしたの?」 「…いなくなったよ、突然ね」
「いなくなった?」
当然知っている、だけど当事者からも聞いてはおきたい
「私とその親友、千歌ちゃんはさ、幼馴染なんだ…だから小さい頃からずっと一緒でずっと仲良くて」
「うん…」
「でもよく喧嘩もした…どうせすぐ仲直りするって言われてしまうような些細な喧嘩をよくね」
そう染々と語る渡辺さんの目がさっきより活き活きしてるように感じる
きっと渡辺さんがこうなってしまったのはあの子がいなくなってしまったからなのかな
「あの日もただの他愛のない喧嘩のはずだったんだ…!…でもでも…千歌ちゃんは!…千歌ちゃんは…!帰ってこなかった…!」
無愛想でクールだと思っていた彼女、しかし過去の辛い出来事を思い出して感情を吐露する
「渡辺さん…」
「きっと私のせいなんだ!私が千歌ちゃんにあんなことさえ言わなければ…!」
あんなこと?
一体なんなんだろう、いや…それよりも
「渡辺さん…!何があったかは分からないけど自分を責めるのはやめよ?それに…ほら」
普段静かな渡辺さんが叫んだからだろうクラスがざわついていた
「!?…///」
渡辺さんもそれに気づいて赤面して机に突っ伏して誤魔化した しかし、一体何があったのだろう
たかだか喧嘩のときの言葉くらいですぐ居なくなったりはしないだろう
それにあの子は…
分からないのは昨日見たあの子は本当に高海千歌なのだろうか
私はそもそも生前?いや行方不明前の高海千歌さんを知らない
あれがもし赤の他人の成り済ましだとしても私の場合、あの状況だと高海千歌と言われれば高海千歌なのだから…
「さっきはごめん…取り乱して」
と時間はもう昼休み
渡辺さんから初めて声をかけられたと思ったら先ほどのことの謝罪だった
「ううん…いいよ、それより大丈夫?」
「うん…私本当にいつまでも女々しいよね…もう終わったことなのにさ」
「全然女々しくなんかないよ!それは辛いと思う、いや私なんかが分かる辛さじゃないけどでも私…!あーとえーとその力になれることがあるなら協力するから」
全然言葉出てこなかった…人を励ますだなんて私には難易度が高過ぎたよ
「うん…ふふ」
あれ笑った?
今渡辺さん笑った?
「ああごめんごめん桜内さん」 「あまりにも千歌ちゃんにそっくりなこと言うから笑っちゃったよ」
眩しいくらい素敵な笑顔だった
きっと渡辺さんはこう明るく笑っていた方が似合う子なんだなと思う
しかしそんなに私とあの子が似ているのだろうか
「ふふ、そんなに似てる?」
「うん、精神が本当にそっくりさん」
精神がそっくりさん?そうなんだ…
自分には分からない
あの子も私にはないひたむきな明るさを持っていたような気がしたけど
あ、そうだ
「渡辺さん?その千歌ちゃんの写真ある?」
もし、昨日見た千歌ちゃんが渡辺さんの言う千歌ちゃんなら…
「ん?」
「そんなにそっくりっていうから気になっちゃって…!」
「ああ…そうだね、あるよいつも持ち歩いてる私と千歌ちゃんが小さいときの写真だけどこれ」
どれどれ? やっぱり…たしかに小さいが見た瞬間に分かった
あのオレンジ髪と顔の面影
昨日のあの子=高海千歌さんで間違いない
だとしたらあれは一体何だ!?
ただの偶然?いやそれにしても
ん?この写真の端…鎖…!?
それに今よく考えればあの千歌ちゃん…
「…渡辺さんこの千歌ちゃんってさ、犬とか飼ってた?」
「え!?なんで?良く分かったね?飼ってたよ」
「…名前は?」
「…しいたけって名前だけど?」
「!!??」
あ!しいたけ!もうだめだよー通りかかった人に寄っていったらー
あのケルベロスの名前はしいたけ…
これは本当に偶然か…?
「桜内さん…?」 「もう一つ聞いていいかな?…その犬種は?あとどんな犬だった?」
「んん?やけに千歌ちゃんの犬のとこ食いつくね」
「ごめん私犬マニアなんだ…」
勿論ウソ
犬はどちらかというと苦手だ
特にあんなものを見た後にはね…
「ふーん、えーとたしかね…犬種はベアデッドコリー、性格はその犬種通りらしいけど」
当然、ケルベロスではない当たり前だけど
「明るく陽気で人にも良くなつくって性格、あとしいたけは特に本当に高海家のみんなが大好きで家族を守ろうとする意志が強いんだ
しょっちゅう千歌ちゃん家に遊びに行っていた私でも慣れるのに数年かかった…それまではずっと唸って飛びかかってきて、これもこの犬種の特徴らしいけどね、
でもしいたけもちょうど千歌ちゃんが居なくなったときにかなぁ…まるで後を追うように居なくなったんだ」
!?
やはりか、やはりだ
あのケルベロスはこの世ならざるもの
だけど確実に、そう確実に
あれは千歌ちゃんの飼っていたしいたけなんだ
だとするとあの千歌ちゃんとしいたけは…
…いやまだそう結論づけるのは早い
「ありがとう渡辺さん、ごめんね変なこと聞いて」 「ううん…でもどうしたの?そんな血相を変えて」
「いや、なんでもないよ…そう言えば渡辺さん?」
「うん?」
「下の名前は何て言うの?」
今はまだ感づかれる訳にはいかない
もうすぐ午後の授業だ
それが終われば理事長室
マリーさんに強引にでも言わないといけないことが増えた
今はそう、渡辺さんに怪しまれないように名前でも聞いておこう
それにすでに千歌ちゃんなんて高海さんを下の名前で呼んでしまってるし
名字で呼ぶよりも距離も縮まる
「私?私は曜だよ渡辺曜」
「曜…曜ちゃんか…うんよろしく曜ちゃん!」
「はぁ…?もうそれ三回目だよ?ま、いっか一応よろしくね…り///梨子ちゃん」
曜ちゃんは照れくさそうにニッと笑う
名前に似合っていい曜き笑顔
キーンコーンカーンコーン
予鈴のチャイムがなる
午後の授業の支度をしなければ… 放課後
特に変哲もない授業だった
曜ちゃんともあれきりは話していない
さて、理事長室か
マリーさんからの呼び出しだけど
ちょうどいい私もお願いしたいことができた
では理事長室に向かおうか
ん?
階段を上がって3年の教室廊下に見えたのは黒髪
あれは黒澤生徒会長か
「ちっ…」
学年掲示板を見て舌打ちをしていた
「!?…何?まじまじ見ないで欲しいのだけれど?」
「い、いえすみません…でも何かありました?」
「…別に、落ちこぼれには関係ないことよ」
やはりこの人冷たい… でもなんでかな…
少し悲しそうに見える
「ふん…」
あ、私を睨み付けてそそくさと行ってしまった
…そう言えば何を見てそんなにイラついていたんだろう
掲示板には色々なコンテストや大会の結果が載っているようね
えーと何々?書道コンテスト、日舞コンテスト、琴演奏会、その他薙刀、剣道、華道、茶道、短歌…
色んなジャンルの最優秀賞に彼女の名前があった
すごい…きっと才女というのは彼女のような人のことを言うのだろう
しかし、先ほどこれの何に苛ついていたのだろうか、最優秀賞ばかりで苛つく要素なんて…
と良く見てみたら服飾デザイン、作文コンテスト、絵画等では佳作や優秀賞にはいるものの最優秀賞ではなかった
いやいや十分な健闘だとは思うんだけど
彼女は相当な完璧主義なところがあるようだ、全部一番じゃないと気に入らないらしい
大した意識の高さ、私も少しは見習わないと…
ん?服飾デザインコンテスト最優秀賞者の名前…
黒澤ルビィ
黒澤…偶然だろうか生徒会長と同じ姓だ
学年は1年私よりも後輩だがもしかして妹か…? もしそうなら妹も才能のある娘の様子
まったく羨ましい限りだ
あの冷たい性格さえなければ人生イージーモードだろうに
と、まあ生徒会長とこの妹らしき人物のことは一先ずいいかな
それよりもマリーさんと話だ コンコン
ドアを叩く
「いいわよ〜」
明るい声が聞こえてきた
どうやらあの朝の様子から立ち直ったらしい
ガチャ
「失礼します」
「…来たわね、あーえーとちょっと長くなるかもだから座って?」
「はい」
長くなる?…それほど込み入った話になるんだろうか
朝の様子だと何かを誤魔化していて私には話す気はないように見えたけど
「単刀直入に言うけど、昨日貴女が見たのは高海千歌さんで間違いないのね?」
マリーさんが朝のトーンに戻った
「間違いないです…さっき勝手ながら高海千歌さんの友達に写真を見せて貰って確認しました」
「……」
「安心してください、勘づかれてはいません」
一瞬、表情が固まったように見えたので補足を入れておいた
「千歌の友達、曜ね…そうあの子がね」 ?
千歌ちゃんの友達って言うだけで何故曜ちゃんだと気づいたのだろう
「ああ、千歌はそんなに友人の多い方じゃないし、常に千歌の写真を持ち歩いてるなんて曜くらいしかいないから」
成る程、千歌ちゃんと曜ちゃんが親友同士というのはかなりこの学校では周知の事実だったのか
「渡辺さんについて一理事長にしては詳しいですね」
「まあ、曜は特に飛びこみのオリンピック強化指定選手だからね、この学校で知らない人はいない子よ」
お、オリンピック!?
なんてことだ飛びこみをしているとは聞いたけどそこまでとは
さっきの黒澤さんといい、目の前のマリーさんといい曜ちゃんといい
この学校は天才だらけ過ぎではないかな
「まぁ、曜は誰に対しても人当たりがよくてね、私個人もある程度は交流はあるのよ」
人当たりがいい…?
「ああ…そうね今の曜はちょっとキャラが違うから貴女は違和感を感じるかも知れないけどね」
違和感はあるが何か不思議と想像はついた
「ああなってしまったのはやっぱり親友の千歌が巻き込まれた一年前のあの事件のせいね、今じゃ何も手につかず、飛びこみも代表落ちよ」
「……」 大切な人が急にいなくなるというのはそれほどの悲しみを負うものなのか
そういえば最後に喧嘩別れだったと聞いた
だったら尚更尾を引くよね
「それで梨子?話を戻すけど…その千歌を見たのは昨日の何時?」
何時?
そういえば…あれは何時…
何時だっけ?
なんでだろうよくよく考えてみればあれは何時だったのかすら定かではない
あれおかしいな
たしか駅を降り立ったのが…
「やっぱり、覚えていないのね…あーもうじゃあもうビンゴじゃない…!」
「え?」
マリーさんは頭を抱えかきむしった
「貴女のそれは白昼夢よ」
白昼夢?たしか目覚めている状態でみる夢
たしかにそう言われると今までの現象全ての合点がいくけど
しかし解せないところもある 「白昼夢だとしてもそれは私の夢、何故高海千歌さんが私の夢に…」
「分からないのはそこよ、でもたしかにこの町は昔から白昼夢現象を起こす人が頻繁に現れる町なのよ」
「!?」
「信じられない?でも本当よ?現に貴女ここに来るまでそんな体質でもなかったでしょう?」
にわかには信じがたい、けれどたしかにそうだ
白昼夢はたしか精神疾患が関係してるとも言われている
だけどそんな症状今までに私もかかったことがない
あったのは昨日のそのケルベロスの件と…あのスピリチュアルルームの
いや、あれは寝ている間の夢か
いやもう訳がわからなくなってきた
昼でも夜でも変な夢を見るようになってはたまらない
あれかな?夜更しのせいかな?
オタク特有の夜更しをやめようかな?
いや待て…にしてもよ
ここまであのケルベロスの件だろうがなんだろうがもしかしたら夢?であることは想定済み
やはり問題はなんであんな夢を私が見たのかということ 「考え込んでいるわね…大体分かるわよ、貴女の白昼夢の内容が現実にリンクし過ぎている点よね?」
その通りだ
流石聡明なマリーさんけれど
「ですがマリーさんも先ほどの口ぶりだと原因は分からないんですよね」
「いや、現実にリンクするっていうなら正夢ってことも有り得るしこの先起きる出来事を夢に見るというなら予知夢というのがある…けれど貴女の見た夢はそのどれとも違う」
正夢にしたって何を明らかにしているのか、予知夢したって何を予知しているのか
それでは何故私の脳内でまだ会ってもない、想像も付かない現実の人物を夢として見たのか全く説明がつかない
人間の夢なんて実は自分が見て記憶し想像ついたものがランダムに配置されていくもの
白昼夢なんてオカルトにこんな理屈は通らないかもしれないけど
ただ合点がいくのはあれは私と千歌ちゃんの
「出会い夢」
「…出会い夢?夢に出会うってこと?」
「ううんマリーさん多分、夢が出会って来てるんですよ私たちに」
「夢が出会う?…ごめん意味が分からない」
私もどや顔でいってみたけど自分でも何言ってるか分からない 「まだ確証はありませんが、きっと私は私であの場所で誰かの夢にぶつかりその中に入った…それが出会い夢と考えてます」
「!?…待って!?じゃあ貴女が言いたいのはつまり…」
「そう、昨日のは私が見た夢ではなく…誰かが見た夢に私が偶然入ったということ」
「その誰かって…まさかあなた…!?」
「そのまさかですよ…」
そう、あれは高海千歌の夢
彼女はケルベロスと戯れていた
あれを愛犬しいたけと呼んで
それは彼女が夢の住人だからぶっ飛んでたわけじゃない
彼女は夢に囚われてあの世界を現実と勘違いしている
夢の住人を無意識にやらされている
だから彼女は一年前、なんらかが原因で現実世界から行方を眩ませた
それについていったしいたけと一緒に…
そう、だからマリーさんに無理にでも聞きたかったことがある、お願いしたかったことがある
「マリーさん高海千歌さんの捜索を再開は可能ですか?そしてそれを私に任せては貰えませんか?」
「!?」
千歌ちゃんを救わなければならない!なんとしても!! 1レス目地震なしで代行乙とかないし、普段から荒らし回ってるクズなの? >>77
元々茸で厨二表示がこれだけど建てれなかった
で飛行機飛ばしたり地域変えたりしたりしたら同じ地域でも建てれる場合があるからと試したら地震なしで建てれちゃっただけ でも地震なしだとそっ閉じ多いと思う
俺も最初そっ閉じだった
内容は渋でやれって感じだけど俺は好き でも梨子の口調が安定してないのが気になる
地の文の梨子の一人称地の文部分は
話口調でいくのか文調でいくのかはっきりした方がいい ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています