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【SS】果南 「恋にオちる」 千歌 「それは“悪夢”だよ」
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0001名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/06(水) 23:02:48.78ID:TZ6m4sDQ
花丸 「夜空が満点の輝きに満ちるころ、素敵な物語をあなたと」

花丸 「みなさんこんばんはっ、国木田花丸です」


花丸 「さて…みんなはこんな“怖い噂”を聞いたことがあるずらか?」

花丸 「夜、“落ちる夢”を見た時、すぐに眠りから目覚めなければ…」

花丸 「そのまま実際に死んでしまう…」


花丸 「聞いたことない…? 記憶の片隅に残しておくくらいでいいずら」

花丸 「さて、どうしてこんな話をしたかというと。今日はみんなに紹介したいお話があるずら」
0377名無しで叶える物語(浮動国境)
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2017/12/15(金) 12:12:59.36ID:9/+BfiPQ
支援
0378名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:03:45.27ID:5AIgmbNJ
第1問:【結婚は人生の始まりだ】+

第2問:【明るく賑やかな部屋】+

第3問:【愛はお金で買えない】+

第4問:【人はケモノとは違う】+

第5問:【嘘をつく事】+


最終問題:【堅実な生き方】


【エンディング-A に分岐します】
0379名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:04:13.48ID:5AIgmbNJ
【エンディング-A】

9TH-DAY 都内のバー 12:31


千歌 「……ねぇ、これってどういうこと?」

果南 「…元気そうでよかった、千歌」

千歌 「そういうことじゃなくて」


千歌 「ここのマスターから連絡があったんだよ? “曜ちゃんが大変だから今すぐ来て”って」

果南 「ごめん、嘘なんだそれ」

千歌 「まぁ見ればわかるよ。…よくマスター、浮気者の手伝いなんてしたね」

果南 「うぐっ…」
0380名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:04:47.65ID:5AIgmbNJ
千歌 「…で? 曜ちゃんもいないし、私は帰るけど」

果南 「待って! …話があるんだ」

千歌 「私にはないよ」

果南 「お願い。……これだけは、聞いてほしい」

千歌 「……はぁ。その真剣な顔、あの時に見せて欲しかったよ」


千歌 「……で、何?」
0381名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:05:20.81ID:5AIgmbNJ
果南 「全部、幻だったんだ」
千歌 「へ?」

果南 「浮気相手なんて、いなかったんだよ! 浮気そのものが、幻だったんだ」

千歌 「な、何言い出したのいきなり!?」

果南 「信じられなくて当然だと思う。…だけど本当なんだ。混乱してて、浮気したと思い込んでたっていうか」

千歌 「今更そんな言い訳…」

果南 「本当のことなんだよ! …全部私の幻覚だって、マスターとかダイヤ達が教えてくれたんだ」
0382名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:05:42.40ID:5AIgmbNJ
千歌 「し、信じられるわけないじゃん…」

果南 「分かってる。でも誤解されたまま終わらせたくなかったんだ」

千歌 「……絶対嘘だよ、そんな…」


曜 「嘘じゃないよ、千歌ちゃん」


千歌 「…! 曜ちゃん。それに、ダイヤさんに鞠莉ちゃんも…どうして」
0383名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:06:43.75ID:5AIgmbNJ
果南 「曜…ダイヤ、鞠莉。ごめん」

鞠莉 「ノンノン、今更水臭いよ果南」

ダイヤ 「本当に世話が焼けますわ」

曜 「まぁ、誰だってこんな話、最初は信じられないよね。まして、語り部が果南ちゃんだもん」

千歌 「ちょっと、どういうこと…!?」

ダイヤ 「果南さんの夢物語の裏付け役…といったところでしょうか」
0384名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:07:11.00ID:5AIgmbNJ
千歌 「まさか、果南ちゃんの言ってることは本当だって言いたいの?」

曜 「そうだよ」

千歌 「…幾ら積まれたの?」
果南 「賄賂とかしてないって!」

鞠莉 「いくら幼馴染だからって、浮気の手伝いなんてしません」

曜 「そうそう。私たちが協力するってことは、果南ちゃんが潔白ってことだよ」


マスター 「あのー…」
0385名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:07:41.78ID:5AIgmbNJ
千歌 「マスター!? どうしたんですか、その顔の傷…」

マスター 「い、いやぁ…昨晩ちょいとね。それより、“幻”の話ですが、私からも説明しなくてはいけないことがいくつかありまして…」

千歌 「ど、どういうこと?」

ダイヤ 「実はですね…」

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0386名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:08:09.46ID:5AIgmbNJ
果南 「……全部事実なんだ。信じてくれる?」

千歌 「…………うぅ……ひぐっ……」


曜 「千歌ちゃん…だいじょ…」
ダイヤ 「曜さん、行きましょう」

曜 「で、でも…!」

鞠莉 「私たちの役目はここまで、でしょ?」

曜 「……うん」
0387名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:08:35.57ID:5AIgmbNJ
果南 「でも妄想とはいえ、気持ちは浮気してたのは事実。本当にごめん」

果南 「千歌を不安にさせて、本当にごめん」

千歌 「…本当だよ。本当に怖かったんだよ…」


果南 「もう、千歌は私のことを信用してないって思った。もう二度と、私を信じてもらうことは出来ないって思ってた」

果南 「……でも、“コレ”を見て、それは違うって気付いたんだ」


鞄から、小さな箱を取り出す。
千歌から渡された、婚約指輪だ。
0388名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:09:10.32ID:5AIgmbNJ
千歌 「これ、私が要らないって言った指輪…」

果南 「…偽物でしょ、これ」

千歌 「……。」

果南 「取り出した時、やけに軽いなって思った。これ、よくリサイクルショップとかにある安物だよね」

千歌 「……気付いたんだ」

果南 「箱は紛れもなく本物だけど、中身は偽物。これを私に渡したってことはつまり…」


果南 「まだ私を、信じてくれてるってこと」
0389名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:09:39.03ID:5AIgmbNJ
果南 「…まだ持ってるんでしょ? 本物の指輪」


千歌は何も言わなかった。
何も答えず、鞄から別の箱に入った指輪を取り出した。

その指輪は、プロポーズの際に見た時より、いっそう輝いて見えた。

そして指輪には、しっかりと、私と千歌の名前が刻印されてあった。


果南 「…やっぱり。千歌は思い出を大切にする人だもん。せっかくの指輪に、刻印をしないなんて考えられなかったんだ」
0390名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:10:10.38ID:5AIgmbNJ
千歌 「……何さ。一度私を裏切ったくせに、分かったようなこと言わないでよ…」

果南 「ごめん。…本当にごめん」

千歌 「…そうだよ。私はずっと待ってた。おかしいよね、振ったのはこっちだっていうのに」

果南 「ううん。…千歌らしいよ」

千歌 「何それ…」
0391名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:10:36.62ID:5AIgmbNJ
果南 「……千歌。その指輪、私に預けてくれない?」

千歌 「へ…?」

果南 「私、ずっと悩んでた。敷かれたレールの上を走るだけの生き方は嫌だって思ってた」

果南 「でも違ったんだ。敷かれたレールの上だとしても、“どうやって進むか”は私の自由なんだって」

果南 「それを気付かせてくれたのは千歌なんだ。…私は、千歌から色々なものをもらった」


果南 「……だから、指輪は私が渡したい」
0392名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:11:17.26ID:5AIgmbNJ
千歌 「何…言ってるの。果南ちゃん、やっぱりバカだよ」

果南 「勝手なこと言ってるって分かってる。…でも、お願い」


千歌 「………………嫌だ」

果南 「千歌…」

千歌 「だって、指輪は私がはめたいんだもんっ!!」

果南 「……!」
0393名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:11:52.69ID:5AIgmbNJ
千歌はいつも通りの無邪気な笑顔を見せ、べーっと舌を出した。

思わず涙が溢れ出る。だが私も負けじと笑顔に戻し、指輪を奪い合う。


果南 「何をー! 年下のくせにっ!」

千歌 「嫌だ嫌だ! いっつも果南ちゃんばっかりカッコつけて! 私もたまにはそういうことやりたいんだもーんっ!!」
0394名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:12:20.48ID:5AIgmbNJ
曜 「……はぁ、心配して損した」

ダイヤ 「すっかり元通りですわね」

鞠莉 「ううん。…元より、ずっと輝いてる」

曜 「本当…相変わらずのバカップルだよね」


ダイヤ 「……お幸せに。果南さん、千歌さん」

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0395名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:14:18.83ID:5AIgmbNJ
花丸 「…如何でしたか? また会えたずらね」

花丸 「恐ろしい悪夢からの完全脱出! みなさんの力で、果南ちゃんを導くことが出来たずら」

花丸 「ところでこのお話…みなさんは読むだけではなく、途中でとある価値観を問われ続けていたことに気付きましたか?」

花丸 「秩序に従って、堅実な生き方を望むのか。逆に、刺激に満ちた奔放な生き方を望むのか」

花丸 「果南ちゃんを毎晩苦しませたあの悪夢はもしかすると…」

花丸 「果南ちゃんを本心に向き合わせるための、“大人への階段”だったのかも知れませんね」
0396名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:14:48.48ID:5AIgmbNJ
花丸 「そしてラスト! 意を決して千歌ちゃんに復縁を迫る果南ちゃん」

花丸 「こんな夢物語を、千歌ちゃんは信じるのか…。ドキドキしながら見たけど…」

花丸 「どうやら、心配はなさそうずら。いつも通りの千歌ちゃんと果南ちゃんの姿が、そこにはありました」

花丸 「こんなお話を信じるなんて、千歌ちゃん、ちょっと優しすぎるような気もするずら」


花丸 「でも果南ちゃんが言ってた、“敷かれたレールの上だとしても、どう進むかは自由”って言葉」

花丸 「あれは紛れもなく果南ちゃんが自分で見つけ出した答えで、それが千歌ちゃんに伝わったのかも」
0397名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:15:18.34ID:5AIgmbNJ
花丸 「さぁ、みなさんはこの結末、どう感じたずら?」

花丸 「2人とも、このままうまくいくといいんだけど…多分大丈夫だよね」

花丸 「きっとみなさんも気になる…よね? じゃあ、もう少しだけ、お話の続きを見てみることにするずら!」

花丸 「…ふふっ、お話の世界って、本当にいいものずら。それじゃあ、また会いに来てくれる日まで、待ってるずら〜」

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0398名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:15:53.45ID:5AIgmbNJ
〜数ヶ月後〜


曜 「えー…それでは、新郎新婦のご入場です。みなさま、拍手でお出迎えください」


溢れんばかりの拍手と歓声に包まれ、式場に千歌と共に足を踏み入れる。

入場曲のピアノを弾いてくれているのは、梨子ではなく鞠莉。…一瞬、ピアノを弾く梨子の姿が鞠莉に重なる。

…もう二度と会えないその人物に、私はなにかつっかかるものを感じていた。


千歌 「……果南ちゃん」
0399名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:16:29.01ID:5AIgmbNJ
果南 「…? どうしたの、千歌」

千歌 「私今、すっごい幸せ。Aqoursのみんなも来てくれて、私、最高に幸せなんだ」

果南 「Aqoursのみんな……か」

千歌 「……? どうしたの?」

果南 「ううん、なんでもない。私も幸せだよ、千歌」

千歌 「…………うん」

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0400名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:17:04.51ID:5AIgmbNJ
お色直しのため、一度みんなの元を離れる。

スタイリストの方々は、手馴れた手つきでメイクを施す。私は目を閉じて、完成を待ちわびるだけだ。


梨子 『……果南さん、おめでとうございます』


果南 「…っ!? 梨子…!?」

スタイリスト 「すいません、今振り返らないでいただけますか?」

果南 「あっ……すいません」


梨子 『いいんですよ。…今の私に、果南さんと目を合わせて会話をする資格はありません』
0401名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:17:57.80ID:5AIgmbNJ
果南 「…なんでわざわざ来たの?」

梨子 『お祝い、どうしてもしたくて。…あーあ、果南さんの結婚式でピアノ弾きたかったな』

果南 「…ありがとう。今こうして千歌と結婚式を挙げられてるのも、梨子のおかげだと思う」

梨子 『…私は邪魔をしたんですよ?』

果南 「梨子がいなくても、結婚はしただろうけど…。こんなスッキリした気持ちで式は挙げられなかった」

梨子 『果南さん……』
0402名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:18:24.54ID:5AIgmbNJ
果南 「…そうだ、梨子」

梨子 『なんですか?』

果南 「出来るかどうかは分からないけど、やってみて欲しいことがあるんだ」

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0403名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:18:54.88ID:5AIgmbNJ
曜 「続きまして、新郎新婦の思い出を、スライドショーで振り返っていきたいと思います」


曜の合図で、鞠莉がプロジェクターを動かす。


ルビィ 「うわぁ、懐かしい! Aqoursだ!」

花丸 「青春ずら…もう戻らない日々ずら…」

善子 「そういうこと言うのやめなさいよ!」
0404名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:19:38.86ID:5AIgmbNJ
ダイヤ 「…やはりAqoursの“8人”で活動していたあの頃の日々は、忘れられませんわね」

ルビィ 「うん…。……あれ?」

善子 「どうしたのよ、ルビィ」

ルビィ 「いや、スライドショーの音楽、私が用意したものと違うような…」

花丸 「そういえば、ルビィちゃんの用意した音楽はオルゴールだったずら」

善子 「…………? どう考えてもピアノの音色じゃない、これ」

ダイヤ 「それにこれ、録音ではありませんね。生音のような気がするのですが…」
0405名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:20:20.30ID:5AIgmbNJ
果南 「……梨子、できたんだね」

千歌 「…なんだか、懐かしい曲だね」

果南 「千歌…この曲覚えてるの?」


『想いよひとつになれ』

…梨子が作曲した曲だ。だが私以外の誰も、この曲を覚えていない。梨子が存在しないこの世界では、この曲すらも存在していないことになっている。


千歌 「ううん。初めて聴くはずなんだけど…。なんだか、暖かい」
0406名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:20:55.66ID:5AIgmbNJ
果南 「…ある人が、私たちをお祝いするために作った曲なんだって」

千歌 「ある人…? 鞠莉ちゃんとか?」

果南 「ううん。…きっと、千歌は覚えてない人」

千歌 「……どういうこと?」

果南 「今はわからなくてもいい。…いつか思い出したら、私に教えてね」

千歌 「…分かった。覚えとく」
0407名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:21:30.12ID:5AIgmbNJ
曲が終わる頃は、スライドショーもちょうど最後の写真を表示し終えたところだった。

式場にある、ピアノの方に目をやる。

梨子は静かに立ち上がり、式場にいるみんな…そして私と千歌に向けて礼をする。


拍手は鳴り止まないが、おそらくその拍手はスライドショーに向けられたもので、梨子に向けられたものではない。

……梨子が見えているのは、私だけだから。
0408名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:22:02.10ID:5AIgmbNJ
私はただ一人、梨子に向けて拍手をする。

梨子はにっこりと笑い、徐々にその姿を薄くしていき、最後には完全に消えてしまった。


千歌 「……果南ちゃん?」

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0409名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:22:36.89ID:5AIgmbNJ
式が終わり、私と千歌は二次会に向かうためそれぞれ着替えをしていた。

華やかな衣装を脱いでも、自分が夢の中にいるような感覚は消えなかった。
この幸せな感覚は、いつまで残るのだろう。


「あの…少しいいですか?」

果南 「はいはい、どうしたんですか?」

「いえ、先ほど式場の片付けをしていたところ、ピアノの上に手紙が…」

千歌 「手紙?」
0410名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:23:09.66ID:5AIgmbNJ
千歌が手紙を受け取る。

名前が書いていなかったので差出人は不明だが、私にはそれが誰からのものか察しがついた。


果南 「……読みなよ、千歌」

千歌 「えっ、うん…」


手紙を広げ、千歌はじっくりと手紙を読み進める。…次第に千歌の瞳に涙が浮かび始め、ついに零れた。
0411名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:23:57.10ID:5AIgmbNJ
果南 「……千歌、誰から?」

千歌 「……分からない。分からないけど、なんだろう、この気持ち。すっごく嬉しいんだ」

果南 「……何が書いてあったの?」

千歌 「結婚、おめでとうって。この人が誰かっていうヒントは書かれてなかったけど、最初から最後まで、全部私たちを祝福する言葉だった」

果南 「……そっか」


突然、千歌が手紙を持ったまま抱きついてきた。微かに震える手を撫で、優しく抱きしめた。
0412名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:24:26.81ID:5AIgmbNJ
千歌 「私……凄く嬉しい。こんなにたくさんの人に祝福されて、すごく幸せ」

果南 「…それは私も同じ。千歌、私と結婚してくれて、ありがとう」

千歌 「私も、ありがとう。夢みたいな時間だった。…今もだけど」


顔をあげ、千歌は私の目を見つめる。
…何も言わず、瞳を閉じてキスをした。


千歌 「…………愛してるよ、果南ちゃん」
0413名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:25:32.02ID:5AIgmbNJ



果南 「私も愛してる…千歌」


0414名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
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2017/12/15(金) 19:26:03.63ID:5AIgmbNJ
【エンディング-A】『祝福の音色』

Fin.
0415名無しで叶える物語(ささかまぼこ)
垢版 |
2017/12/15(金) 19:29:10.24ID:5AIgmbNJ
これにて完結となります
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます

みなさんのレス、大変励みになりました。感想などもしございましたら、是非よろしくお願いします
0418名無しで叶える物語(庭)
垢版 |
2017/12/15(金) 22:05:37.14ID:WFwoXjs6
乙!毎日更新してくれてありがとう

思い出せないけど暖かいってところ、神無月の巫女のラストを思い出したわ
0421名無しで叶える物語(舞妓 どすえ)
垢版 |
2017/12/16(土) 00:32:19.34ID:O6gICEv/
乙!
とても楽しく読ませてもらいました。
梨子ENDが素敵すぎる。
0423名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)
垢版 |
2017/12/16(土) 04:16:40.45ID:J4qezmJu
乙でした。毎日楽しみに読んでました!
梨子味があっていいな〜
0424名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)
垢版 |
2017/12/16(土) 04:17:19.05ID:J4qezmJu
>>423
誤字、梨子エンド
0425名無しで叶える物語(庭)
垢版 |
2017/12/16(土) 06:32:34.98ID:DacP8dMF
>>423
こいつBエンドの果南ちゃんやな?

なにはともあれ
完走おつ!
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