0001名無しで叶える物語(SIM)2021/10/19(火) 21:09:20.18ID:J+BvSCBm
代行
可可 「大丈夫デスカ……? グソクムシ……?」
すみれ 「……」
すみれ 「あんたは心配してるのか、喧嘩を売ってるのかはっきりしなさいよ」
可可 「なっ!? 可可はあなたのことを心配してあげて……!」
理事長 「どう? 引き受けてくれるかしら」
すみれ 「……ちょっと考えさせてもらっても大丈夫ですか」
理事長 「もちろん大丈夫ですよ」
かのん 「すみれちゃん……」
…
…
…
特化型じゃないだけで地味にラブライブ屈指の能力持ちだからな
すみれ (グソクムシは、私にとって主役になれなかった証……)
すみれ (でも、唯一ショービジネスの世界で私が残せた証でもある……)
すみれ 「まさに傷みたいなものね」
千砂都 『テレビでアピールできたら、きっとLiella!の知名度もぐんと上がるよね……?』
恋 『普通でしたら是非オファーを受けるべきなんでしょうが……』
すみれ 「でも今の私は、Liella!の私だから……引き受けた方がいいったらいいのよね」
すみれ 「どうすればいいんだろう」 ハァ
ガチャ
かのん 「大丈夫? すみれちゃん?」
すみれ 「かのん? どうしたのよ?」
かのん 「少し風に当たってくるって言ってから結構経ってるから心配しちゃって……」
すみれ 「えっ……本当だわ、ぼっーとし過ぎちゃったわね。悪いわね、かのん。すぐ練習に戻るから」
かのん 「うん、分かった」
すみれ 「……」
かのん 「……」
すみれ 「……かのん?」
かのん 「もし嫌なら、断ってもいいんだよ、すみれちゃん」
すみれ 「!」
かのん 「私もそうだったから分かるんだ。過去の自分が、嫌でも、今にまとわりついてくる。もちろん、あの頃の私があったから今の私がいるわけなんだけど……それでも、向き合うってつらいよね」
すみれ 「……」
かのん 「でもすみれちゃんは、配信でもグソクムシの帽子を被って開き直ってたくらいだし、きっと、もうグソクムシとは十分向き合ってるんだよ。だから無理して舞台に出る必要はないんじゃないかな?」
すみれ 「……グソクムシ言い過ぎ。あんたも励ましてるんだか、バカにしてるんだか分かんないわよ」
かのん 「ふふ、バカにはしてないよ。でも私、すみれちゃんのグソクムシ好きなんだよね〜」
すみれ 「なっ! やっぱりバカにしてるわよね!?」
かのん 「もぅ、してないってば。だからね、すみれちゃん」
すみれ 「なによ」
かのん 「悩んでるなら、私たちに頼ってね。今はもう、私たちがいるよ」
すみれ 「……ふん。ショービジネスの世界じゃそんな甘っちょろい気持ち通じないわよ」
かのん 「すみれちゃんは素直じゃないなぁ」
すみれ 「うるさい!」
恋 「……」 ジッー
千砂都 「……」 ジッー
可可 「……」 ジッー
恋 「かのんさんに任せて正解だったみたいですね」
千砂都 「ふふ、だね。すみれちゃんもいつも通りの元気を取り戻してるよ」
可可 「グソクムシはやっぱり騒がしいくらいがちょうどいいデスネ……」
すみれ 「あんたたち……」
三人 「「!?」」
すみれ 「こっそり見てるのバレてるからね」
かのん 「あはは……」
すみれ 「やれやれね」
すみれ (でもありがとう、みんな)
…
…
…
可可 「グソクムシ〜♪ グソクムシ〜♪」 ウキウキ
可可 「ハッ!? グソクムシの歌は恐ろしいデスゥ……気が付けばいつの間にか歌ってシマウ」
プルプル
可可 「かのんから電話?」
かのん 『可可ちゃん、いま大丈夫?』
可可 「かのんのためなら全然大丈夫デスヨー!」
かのん 『あのさ。あの後、夜九時くらいかな、すみれちゃんからメールが来て、行くことに決めたって』
可可 「……! グソクムシが再びグソクムシになるのデスネ……! ふふ、話のネタが増えマシタ。だから良かったデス」
かのん 『なんというか、すみれちゃんとそっくりだよね。素直じゃないところ』
可可 「なっ!? すみれと一緒にしないでクダサイ!」
かのん 『……それでね、すみれちゃんもやっぱりちょっとリハーサルやってすぐ本番っていうのは不安だから、じっくり下見をしたいらしくて。今週の日曜日に会場に、グソクムシの衣装も含め見に行きたいらしいんだけど』
可可 「まあ、下見は大事デスネ」
かのん 『その日、ちいちゃんも恋ちゃんも私も用事があって一緒に行けなくて……だけど一人で行くのは流石に心配だから』
可可 「可可がついていくってことデスカ……?」
かのん 『うん。すみれちゃんが緊張してても、可可ちゃんが少しちょっかいをかけてあげるだけで治るし』
可可 「それにしても皆さん用事があるッテ……騙してませんヨネ?」
かのん 『もう! 本当だよ! 本当にたまたまみんな用事があったの!』
可可 「なら仕方ありマセン。可可がグソクムシについていってあげまショウ!!」
かのん 『良かったぁー、じゃあ切るね! また明日! バイバイ!』 ピッ
可可 「それにしてもグソクムシと二人旅デスカ……」
可可 「ふふ、悪くないデスネ」
…
…
…
すみれ 「はぁ、この局に来るのも久しぶりね」
可可 「そもそもテレビ自体久しぶりじゃないデスカ」
すみれ 「うるさいっ!」
スタッフ 「あっ、平安名すみれさんですよね? そこにいるのは唐可可さんですか?」
すみれ 「呼ばれた私はともかく、可可まで知られてるとは……やっぱりLiella!は人気ってことね」
スタッフ 「ではご案内させていただきます。どうぞ」
可可 「それにしてもテレビ局広いデス〜!」 キラキラ
すみれ 「そりゃあまあ、テレビ局だし」
すみれ (そっか……最近はすっかり忘れてたけど)
すみれ (このテレビ局の中とかも、一部の人しか詳しくないのよね。自分ではなかなか有名人の意識はなかったけど、一応私もかつてはテレビの人間だった……)
すみれ (それは少し嬉しいかもね)
ガチャ
スタッフ 「こちらになります」
すみれ 「うわっ」
可可 「うわって、テレビの皆さまに失礼デスヨ、すみれ!」
すみれ 「あっ、ごめん……」
すみれ (子供の頃だったから、スタジオの大きさとかは変わったように感じるけど、装飾とかは全然変わってない。なんか、当たり前だけどあの頃のこと、嫌でも思い出すわね)
すみれ (ここでスターになれてたら、何か変わったのかしら……)
可可 「広いデス〜〜!! 綺麗デス〜〜!!」 タタタ
すみれ 「ちょ、可可! 叫ぶな! 走り回るな!」
可可 「ふむふむ。この飾りは勉強にナリマス!」
すみれ (あっ、あいつ飾り付けとか好きだもんね……そういう勉強にもなるのか)
可可 「裏方も行ってみるに越したことナシ!」 タタタ
すみれ 「だから走り回るなって!」
可可 「ふむふむ。色んな服が置いてアリマス」 チラッ チラッ
可可 「ってこれは? 一回り小さいグソクムシ……? もしかして!」
可可 (あの小さい頃のすみれが着ていたグソクムシですか!?)
可可 「……」 ドキドキ
可可 「グソクムシ、可可も被ってみたいデス!」 スッ
可可 「って小さくて着れないデスゥ〜〜!!」 ドタバタ
ピカッ
可可 「へっ? 何の音? もしかして破れちゃったデスカ!?」
ピカーーーーーーーーンッ
…
…
…
可可 「ハッ!?」
かのん 「どうしたの? 可可ちゃん?」
可可 「へっ!? かのん!? どうしてここにいるのデス!?」
かのん 「そりゃあ可可ちゃんと一緒に帰ってるからだけど……」
可可 「? 夢ってコト?」
可可 (それはそうデスヨネ……グソクムシがまた評価されるなんてソンナコト、あり得るわけないデスヨ〜フフ)
可可 (でも少しそれはそれで寂しいかもデスガ……)
グソクムシ〜♪ グソクムシ〜♪
可可 「!? 大音量のグソクムシ!?」
かのん 「どうしたの可可ちゃん? よくあの交差点で流れてるじゃん」
可可 「ぐ、グソクムシがデスカ……?」
かのん 「うん。だってあの大人気な平安名すみれさんなんだよ? 屋外でも画面に常に映ってるよ」
可可 「あの大人気な平安名すみれさん!?」
かのん 「えっ、知らないの? いや知ってたよね、外国でも人気なんだし、前なんて嬉しそうにグソクムシグッズを私に自慢してたし」
可可 「グソクムシグッズ!?」
かのん 「うん。かつてとある番組でグソクムシ役を披露したすみれさんだけど、主役じゃないのにオーラもあってすごくネットで評価されて、一気に人気になったんだ。そこからは女優も音楽活動も……とにかくなんでもできる大スターだよ。そんなすみれさんにとって、きっかけとなったグソクムシには深い愛があるんだよね〜」
可可 「かのんは詳しいのデスネ……?」
かのん 「そんなことないよ〜。それこそ可可ちゃんの方が詳しいし、私はありあが大ファンだから詳しくなったようなものだから」
可可 「……」
かのん 「ん? どうしたの? 可可ちゃん?」
可可 (すみれが、グソクムシで大成功して、何でも叶えてる大スターになってるナンテ……じゃあスクールアイドルは? Liella!はどうなったんですか?)
可可 「えっと、スクールアイドルのことなんデスガ……」
かのん 「スクールアイドル? あぁ、そういえばまだ解決してなかったよね。どうしよう、葉月さんに認められないと私たち活動もできないし……」
可可 「葉月さん?」
可可 (ソウデシタ……すみれがいてくれないと選挙もレンレンだけが立候補をして、話す機会も大して得れないまま……)
キャァ! スミレサンヨッ!
ザワザワ
ザワザワ
可可 「ってナンデスカ? このひとごみ?」
かのん 「さっきすみれさんって聞こえたけど、いやまさかね……。有名人がそんな簡単に見つかるわけ」
可可 「……アレハ?」
可可 (普通にすみれが街を歩いてますね。変装もなしで……まるでスカウトが来るまで歩き回ってた可可たちの世界のすみれみたいに)
可可 「やっぱり〜〜! 安心シマシタッーーー! だってグソクムシが大スターなんてそんな……」 ホッ
かのん 「ってあれって本物の平安名すみれさんだよ!?」
ホンモノダーーーー!
サインクダサイーーーー!
可可 「ひ、人がいっぱいデスゥ〜〜!!」 ヒィィィ
かのん 「私もサイン貰いに行かなくちゃ!」
可可 「えっ!? グソクムシにデスカ!?」
かのん 「ありあが喜ぶからさ!」 タタタ
可可 「かのん!」
すみれ 「サインね、やるったらやるわ。列に並んでちょうだい」
すみれ 「お母さんにもあげたい? 良い子ね。もちろん書いてあげるわ」 カキカキ
すみれ 「ってグソクムシをやってほしい? うぅ、それは少し恥ずかしいわね。悪いけどオンエアで見てちょうだい」
かのん 「すいませーーーん! サインくださいーー!」
可可 「……」
可可 「これは悪夢デス……きっと悪夢デス……!」
可可 (すみれはあんなに遠い存在になって……きっと可可たちなんて一般人の一人にしか思ってなくて……ずっとあんなに喋ってたのに、今じゃこんなにも遠い……!)
可可 (Liella!も……可可が大好きなあのみんなも、可可が大好きなあのグソクムシも……もうどこにもイナイ)
可可 「そんなの……そんなのつらすぎデスゥ……!」 ポロポロ
かのん 「可可ちゃん!」 ギュッ
可可 「へ? かのん?」
かのん 「こんな人気じゃサイン貰えないかもしれないから、お願い! 可可ちゃんも手伝って!」
可可 「えっ……」
かのん 「この紙とペンを持っていって、すみれさん、サインお願いしますって! お願い!」
可可 「分かりマシタ…… かのんのためなら全然大丈夫デス……」
すみれ 「えっと次の人どうぞ?」
かのん 「今だ! 可可ちゃん! そこから進んでいって!」
可可 「スイマセン!」
すみれ 「!」
可可 「可可、グ……すみれさんの大ファンデス!! サインください!」 ペコッ
すみれ 「……」
可可 「……」
すみれ 「……っ。そこのあなた、サインしてあげるわ」
かのん 「ええっ!? 本当ですか!? やったぁぁぁーーーー!!」
可可 「……?」
可可 (もしかして可可、無視されたデスカ……? あのすみれに? あの嫌なくらい優しいすみれに?)
可可 「あれ……な、涙が……止まらないデスゥ……」 ポロポロ
かのん 「じゃあ可可ちゃん、帰ろっか。って可可ちゃん泣いてる!? 大丈夫!?」
可可 「だ、大丈夫……大丈夫デスカラ……」 ポロポロ
可可 (そうデスヨネ、この世界では、すみれは大スター、可可はまだスクールアイドルの卵……。構ってもらえるナンテ、そんなこと)
可可 「あるわけないデス……」 ポロポロ
可可 (だけど可可っ……! やっぱりすみれと一緒にいたい! Liella!のみんなでまたステージに立ちたい……!)
可可 (こんなの、こんなこと、嫌デスっ、嫌デスっ……)
可可 (だからっ)
可可 「すみれっ!! ごめんなさい、可可はあなたに帰ってきて欲しいデスっ!!」
可可 「Liella!はすみれがいないと、可可はすみれがいないと、すごく嫌ナンデスゥーーーー!!」
…
…
…
可可 「……ーーーーっ!!」
すみれ 「……流石に恥ずかしいったら恥ずかしいわね///」
可可 「へっ!?」
すみれ 「あんた寝てたから、起こしたら大声で私の名前呼んであんなこと言うんだもん」
可可 「なっ……なっ!///」 カァァ
すみれ 「まぁ、嫌じゃなかったけどね。恥ずかしかったけど」
可可 「う、うるさいデスっ! このコンチキショーグソクムシ!!」
すみれ 「コンチキショーグソクムシ!?」
可可 「このバカっーーーーー!」 タタタ
すみれ 「ちょ、可可! だから叫ぶな! 走り回るな!」
すみれ 「……行っちゃったわ」
すみれ (それにしても)
すみれ 「可可が倒れてるから心配してきたら……まさか私まであんな世界を体験するなんて。しかもどうやら時系列は私の方がずっと前だったらしいし」
すみれ 「子供の頃に戻ったかと思えば、なんて素晴らしい成功人生……! 夢だし、飛ばし飛ばしとはいえ、良い思いをさせてもらったわ。だけど」
すみれ 「そんな興も、かのんと可可がサインを求めてきたあたりで一気に冷めたわね……。可可なんて、特にさん付けが耐えられなくて、スルーしちゃったもの」
すみれ (やっぱり私は……)
すみれ 「このLiella!で活躍するに限るわ。それに、どんなに素晴らしい人生にスカウトされたとしても……私には先約がいるからね」
…
…
…
かのん 「すみれちゃん、過去と向き合うんだね……!」
すみれ 「ええ。せっかくだから楽しんでくるわ」
恋 「頑張ってきてください! すみれさん!」
千砂都 「そういえば可可ちゃんはどこに?」
かのん 「可可ちゃんは少し体調が悪いみたい。楽屋にいるよ」
すみれ 「……ちょっと私、見に行ってくるわね」
千砂都 「えっ!? そろそろ始まっちゃうよ!?」
すみれ 「大丈夫。すぐ戻ってくるから」
…
…
…
トントン
すみれ 「入るわよ?」
可可 「……イマセン」
すみれ 「いるじゃない。入るわよ」
ガチャ
すみれ 「そんな部屋の隅っこで大人しくしてるなんて、あんたらしくないんじゃない?」
可可 「……うるさいです、グソクムシ」
すみれ 「……やれやれね。あんた、もしかして私がこのことをきっかけに、大スターになってLiella!の活動から離れていく、なんて思ってるんじゃないわよね?」
可可 「! すみれ、もしかして」
すみれ 「大丈夫。私は離れないったら離れないから」
可可 「デスガ……」
すみれ 「えっとね、自分で言うのもなんだけど、正直この世界の私じゃ、あそこまでのスターにはなれないと思うし……それに、もし、スターになれたって、この世界の私は一人じゃないから」
可可 「!」
すみれ 「大スターになるなら、みんなを引き連れて、四人をスカウトして、五人で活動しないとね」
可可 「すみれ……」
すみれ 「だから安心して私の活躍を見てなさい。私の才能を見出したのは、Liella!なんだから!」
タタタ
タタタ
タッ!
すみれ 「ギャラクシーーーーーー!」
すみれ (グソクムシっ! あんたは私の傷で、私の最高の戦友よ!!)
すみれ 「グソクムシ〜♪ グソクムシ〜♪」
ワァァァァァァァーーーーー!
可可 「……」
可可 「やっぱりグソクムシには、可可たちがいなくちゃダメデスネ!」 フンッ
可可 (これからも、みんなで輝けたら……)
可可 「謝謝……すみれ」
おわり
0051名無しで叶える物語(やわらか銀行)2021/10/19(火) 23:58:32.65ID:sEDMNNaK
ありがとうございました。
スーパースターだと四作目のssです。
くぅすみです。
前作
千砂都 「マンマルは今日も可愛いねぇ〜」マンマル 「……」
前々作
希 「真剣な相談なんだけども」 真姫 「どうしたの?」
0053名無しで叶える物語(もんじゃ)2021/10/20(水) 00:27:16.70ID:xZz04Fsc
凄く良かった
すみれまで別の世界に引き込まれてたとは思わなかった。
面白かったです!
スパスタ本編でもすみれが本当に芸能界にスカウトされる話きてくれー
0058名無しで叶える物語(光)2021/10/20(水) 17:04:12.75ID:jJ1wdRpe