穂乃果「羅舞雷武!!」

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0001名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/28(土) 19:20:51.56ID:pYTkwfb7
『私たちの為に苦しむことはないよ…!!』

『うん…でも決めたんよ。穂乃果ちゃんの目も廃校も何とかしてみせるから』

『…ごめんね。でも一回だけだよ。何度もすることはないから…』

『約束するよ…!』

『『翻れ 吊し人』…またね』

0087名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 20:29:20.97ID:SkbXDFwl
希「ぐ…!」

ことり「凛ちゃん!―――よくも!」

仲間がやられて黙ってはいられない!穏やかなことりには似つかわしくない荒々しい魔力が沸き上がる!

ことりは英玲奈を囲むように魔力を放射、雲まで届くような巨大な竜巻を作り上げる!

離れている真姫たちですら身を持っていかれそうな暴風。その中では四方八方から風の刃が英玲奈に襲いかかっていた!

ことり「『嵐刃』!」

ことりの生み出した竜巻の中で無数の刃が飛び交う!
竜巻の中に安全な場所は爪の先程もなく、その中は文字通り刃で埋め尽くされている!

竜巻が消えるまでに放たれた刃は千は下らない。だが、そこから姿を現した英玲奈は傷1つ負ってはいなかった。

そればかりか足元の土もふかふかのまま。何ら嵐の影響を受けていないようだった

ことり「嘘…!?」

英玲奈「次はお前だ」

英玲奈が目にも止まらぬ速さでことりの後ろに移動する。移動した勢いを活かし、流れるような動作で回し蹴りをこめかみに打ち付けた!

『南選手、気絶のためリタイアです』

希「…これはヤバいね」

0088名無しで叶える物語(SB-iPhone)2020/03/29(日) 20:30:21.37ID:nxZnH7lP
   _人人人人人人人人人人人人人人人人人_
   > バーリバーリバリィ〜〜〜〜〜!!   <
    ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

       /⌒\__,、. -――- 、,、___/⌒\
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        人   l\_       _/  (  \
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       ̄了イ !   {     }   { rく⌒ヽ
       〈ニノ_,∧   \_/   ∧ `┐l ノ
         ̄人 \         / `广¨´

0089名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 20:36:55.28ID:SkbXDFwl
仲間が一撃でやられていく。治療を施す暇もない。その中で真姫に出来ることは考えること

聡明な頭脳を働かせ英玲奈の能力を考察する

真姫(相手の能力だけでも暴かなきゃ…考えろ…考えろ…)

真姫(凛の拳、希の馬車、ことりの竜巻、全て英玲奈には通用しなかった。馬車に至っては触れた瞬間に消滅した…消滅!?)

真姫(魔力を消滅させる能力ってこと…!?それなら呆気なく魔力を纏っている凛の拳を砕いたこともことりの攻撃が通じなかったのも説明がつく…それに英玲奈の足元が綺麗なままなのも頷ける…!)

真姫は今までの出来事全てを素早く分析し、1つの仮説を作り上げる。しかしただ一点解決のできないこともあった

真姫(それならことりの裏に回り込んだあの動きが説明できない!魔力を打ち消すなら自分の魔力も消えるはず…でもこれ以外に思い付かない…まずは伝えなきゃ!)

真姫「希!相手の能力は魔力を打ち消す能力かもしれない!」

希「魔力を!?」

英玲奈「…」

希「いやでも、さっきの動きは魔力がないと出来ない動きだったんじゃ…」

真姫「そこはまだわからない…でも確かに打ち消す力は持っているわ!」

希「…真姫ちゃん、この情報は皆に共有するべきやよ。初見殺しが過ぎるから…行けるね?」

真姫「それじゃ…希が1人に…!」

希「心配しないで。ウチも時間を稼いだら逃げるから」

希「任せたよ!」

真姫「…ごめん!」ダッ

任せた。それは信頼の言葉。それを無下にするなど死んでも出来ない!真姫は即座に駆け出した!

英玲奈「あれが西木野だったな!行かせるわけには…」

希「させるわけないやん?『煌めけ 星』!」

英玲奈の追撃を防がねばならない!希が『星』のカードをポーチから取り出し発動する。効果は異空間への移動!

英玲奈の能力に打ち消され効果は現れない筈。だが、希は英玲奈を閉じ込めることに成功していた!

希「…やっぱりね!後は…『潜め 隠者』」

真姫(…!ありがとう、希!)

0090名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 20:39:11.54ID:SkbXDFwl
『隠者』ステージ3

合言葉は『潜め 隠者』

姿を隠す効果を持つ。発動の瞬間を見ていた者には効果を表さないため結構不便

0091名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 20:40:23.44ID:SkbXDFwl
英玲奈が足止めを受けている内に希は真姫に姿隠しの加護を付与する

その直後英玲奈が異世界の牢獄を消失させ外へ飛び出してきた

英玲奈「いない?そこまで足は速くなかった…一体どうやったんだ?」

希「ふふ、スピリチュアルやろ?」

暖簾に手押し。英玲奈の問いかけを希はのらりくらりとかわし反撃の準備を進める

希(英玲奈さんは『星』のカードをすぐに無効化することが出来なかった。『星』は小さいながらも1つの世界を構成するほどの密度を持つ…)

希(つまり一度に打ち消せる魔力量に限界があるということ。ならウチの最高火力を当てればあるいは…!)

希「よし、ウチの初見殺しコンボ見せたるよ!『燃えよ 太陽』!」

英玲奈「チッ。時間もないというのにな…」

希が取り出したのは『太陽』のカード。希がカードを天にかざすとそこへ地球儀大の光球が現れる。大きさに反比例してそこに込められている魔力は絶大なものがあった

続けて次のカードを希が取り出す

希「『跪け 女帝』」

『女帝』のカードは現象に干渉するカード。攻撃範囲を拡大し回避を困難とする

希「撃て!」

希の指令と共に光球から太い熱線が発射される。更に『女帝』の力が加わり最早壁と形容するしかないほどに熱線が拡大した!

英玲奈は半身の状態から右手を突き出し受け止めるも…

英玲奈「ぐ…」

今までとは様子が異なり、一度に打ち消すことが出来ていない。明らかに熱戦と拮抗している!

0092名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 20:43:58.11ID:SkbXDFwl
希「完全に予想通り!打ち消せる魔力量には限りがあるね!最後の詰めや!『祝詞を上げろ 魔術師』!」

希は『魔術師』の効果を発揮させブーストをかける!

その熱線は波濤の如し!いよいよ英玲奈の手が熱線に呑み込まれていく!!

希「(もらった…!)」

英玲奈「ははは、校長も手厳しいな…中々に手強い相手もいるじゃないか…」

希(何で笑えるの…?状況は詰みのはず…)

熱線に押し込まれ、徐々に英玲奈の姿勢は崩れ始めている。にもかかわらず英玲奈は笑う

英玲奈「私の能力は影響が強すぎてな。普段は制限しているがここまでされたら仕方ない。頑張った褒美に見ていくといい」

希「え?」

突如、熱線が、そして光球が消滅する。肌を焦がすような熱も、目を眩ますような光も、全てが消えていた…

希「…反則やん。それ」

英玲奈「まあこうなるか…時間もない。しまいにするぞ!」

言うや否や、英玲奈の姿が消える。いや、希の目の前に移動したのだ。速さを全て活かした音速拳が鋭く希を貫く

希(真姫ちゃん、後は頼んだよ…)

『東條選手 気絶のためリタイアです』

英玲奈「足跡が残っているな。あの逃げた子がツバサと出会う前に見つけないと…」

0093名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 20:45:34.71ID:SkbXDFwl
ツバサ「ほら、技を見て上げるから撃ってきなさいよ」

海未「…行きますよ、花陽、穂乃果!
『水弓』…!?」

海未はすっかり得意技となった『水弓』で戦いの火蓋を切る

コンクリート程度なら容易く貫くその弓はしかしツバサに届かない。ツバサに当たった瞬間弓は蒸発した

ツバサ「やっぱり水属性はカモね」

海未「小技では届かない…なら!『大瀑布』!!」

海未は右の掌に蒼い玉を創造する。それを天へと打ち上げ腕を振り下ろす!

途端、天から滝を彷彿とさせる量の水が塊となって降り注いできた!

圧倒的な質量の暴力!直撃すればビルすら崩壊するだろう。だがツバサはまったく気にしていない

ツバサ「無駄よ。『火球』」

ツバサは両手からいくつかの『火球』を繰り出す。それは全ての水を蒸発させ、蒼い核を打ち砕いた。火力は穂乃果のそれと比べて百倍と言ってもなお足りない

火は水で消える。その常識を嘲笑うかのような光景に海未の思考は停止する

海未「な…」

ツバサ「終わり?なら…『大火球』」

ツバサの手に巨大な炎の球が浮かび上がる。それは魔力の保護がなければ直視した瞬間目が蒸発するほどに熱い!避ける以外穂乃果たちに手はなかった

花陽「壁よ!2人とも!散ってください!」

10枚もの分厚い土の壁がそびえ立つ。それは稼いだ時間は僅かながら、全員の退避の時間を作り出した

壁を貫き遠くへ飛んでいった『大火球』は突如爆発!空まで届くきのこ雲が立ち込め爆風が穂乃果たちを煽る

海未「あれが当たったら…!!」

穂乃果「考えない!…今度はこっちから攻めるよ!『大火球』!」

花陽「合わせます!『捕縛草』!」

0094名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 20:49:22.22ID:SkbXDFwl
花陽が働きかけ、ツバサを捕らえようと草を伸ばす。草は素早くツバサの体を縛りつけようとするも、ツバサに触れた瞬間草が燃えつき灰に変わる

ツバサ「『火球』」

間髪いれず穂乃果の攻撃も相殺され、またも攻撃は失敗に終わる

海未(物理攻撃では分が悪い…であれば!)

海未「穂乃果!花陽!合体技です!」

穂乃果「…あれだね!」

花陽「うん!」

海未は素早くツバサの回りに巨大な水柱を幾つも生やす。それに阿吽の呼吸で穂乃果が『火球』を合わせ、超高温の水蒸気を発生させる

ツバサ「ん!?」

その温度は気管支に火傷を負わせるほどだ。咄嗟にツバサは息を止め水蒸気から脱出を図る

だがそれは穂乃果たちの思う壺。花陽はそれを許さず土のドームを形成。水蒸気ごとツバサを包み込み蒸し焼きにする!

花陽「上手くいったね!『地獄釜』!」

海未「えぇ!大金星です!これでまずは1人…ぇ…」

一閃。土の壁を破り炎線が海未の腹を貫く。その熱量に海未の肉は溶け、腸は炭と化す

あまりの熱に血は出ない。むしろ一瞬で傷口は焼き塞がる。一拍遅れて現実を認識した海未はその激痛に失神する

『園田選手 重傷のため緊急リタイアです』

ツバサ「コホッ。割とエグい技ね…」

穂乃果「海未ちゃん!?」

花陽「そんな…」

ツバサ「わりと楽しめたかな。じゃあね。『炎雨』」

地面から火の粉のような魔力の粒がゆらゆらと浮かび上がる。次第に粒は増え、豪雪の如く火の粉が舞い、天へと集っていく…

火の嵐が止むと同時に穂乃果たちの頭上が紅に染まる。穂乃果たちが空を見上げると灼熱に燃え盛る炎の円盤が浮かんでいた

穂乃果「う、嘘…」

逃げ場など何処にもない。円盤から『火球』が降り注ぐ。技名通り雨のように…

ひとつひとつが穂乃果の全力を出してもなお届かない火力を持つそれはもはや本物の爆撃と変わらない
この世の終わりのような光景に穂乃果と花陽は必死に抗う

穂乃果「『大火球』!!」

花陽「間に合って!」

花陽は地面に穴を堀り即席のシェルターを造り、穂乃果は迎撃して時間稼ぎを試みる

しかし何百発、何千発と降り注ぐ『火球』を前に穂乃果の処理は追い付かず、数秒も持たないで爆撃が地面に飛来する!!

地表を抉りとり、それでもやむことのない爆発が辺り一体を埋め尽くした…

0095名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 20:50:45.61ID:SkbXDFwl
『地獄釜』合体技 ステージ3相当

にことの模擬戦で穂乃果たちが生み出した技。とにかく範囲を広げて時を停めても対処できないようにとのコンセプトの下生まれた

初回披露時はにこが真っ赤に茹で上がり今後の使用を禁止されるほどに危険な技

0096名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 20:52:08.39ID:SkbXDFwl
にこ「かふっ!」

停止した世界の中、あんじゅの執拗な殴打ににこは吹き飛び掠れた声をこぼす

離れれば絵里が狙われる。体格で勝る相手ににこはインファイトを強いられているのだ

体を青アザで染め上げ、口の中が切れているのか時折血を吐きながら吹き飛んでいく

あんじゅ「このまま降参しなさいよ。もう十分じゃない?」

にこ「そんなの出来るわけないでしょ…」

にこは肩で息をしながらあんじゅの軽口に答え、立ち上がる。だがもはやにこは体力的に限界を迎えていた

絵里「に、にこ!…氷の槍で!」

絵里も黙って見ているわけではない。鋭く研ぎ澄まされた槍を幾本も浮かべ斉射する。
だが、その度にあんじゅに封殺されていた

あんじゅ「『戻れ』」

〜〜〜〜

絵里「に、にこ!氷…」

あんじゅ「『止まれ』」

絵里の攻撃は決して届くことはない。時を戻され、止められる。気がついた時には訳もわからぬ痛みに苛まれ悶絶。既に幾度も繰り返された光景だった

絵里「あぐっ…!」

0097名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 20:53:44.92ID:SkbXDFwl
絵里も限界が近い。何をしてもあんじゅに通用せずダメージだけが蓄積されている。だが廃校が懸かったこの戦い、絵里が折れることはあり得ない!

絵里(希にあれだけ啖呵切ったもの…私がやるしかないのよ…!)

あんじゅ「元ステージ5がこのありさま…嘆かわしいわ」

にこ「うるさいわね!勝手に落ち込んでなさい!」

あんじゅ「まぁ、もう終わらせようかしら。飽きたわ」

あんじゅは今までとは比較にならない量の魔力を纏う。その圧は大気を震わせ地面に亀裂を走らせている…!

絵里「負けたく…ない…!終われない…!」

絵里は敗北を濃厚に感じとる。このまま負けては何も果たせずに終わる…それだけは許されない!一矢報いねば…!!

絵里(そんなに時間が大切ならその時間を凍らせてやる…凍てつけ、凍てつけ!)

その執念は普段の絵里ならば想像だにしない発想を与えた!物質ではなく概念の凍結。荒唐無稽なそれに絵里は全知全能を持って取り組んでいた

絵里(胸が…痛む…)

元々長くステージ3に留まっていただけあり、絵里の魔力量はステージ4へと昇華する基準をとっくに満たしていた

そして、この子どもめいた発想をきっかけに次の段階へと絵里は羽ばたく!

物理法則を超越する凍結を繰り出そうと魔力炉が蠢き進化を続ける。そして痛みが止んだ…

あんじゅ「さて。『止ま…』」

絵里「『凍てつけ!時よ!』」

あんじゅの言葉に先んじて絵里が咆哮する!世界から音や風を含む全てのものが凍てつき静まりかえる

あんじゅ「…これは」

絵里「これが停止した世界ね…」

0098名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 20:54:22.30ID:SkbXDFwl
『銀世界』 ステージ4

絵里が生み出した時間停止の亜種。自分以外の時を凍らせるが時間系能力者には通用しない。3回も使うと魔力が底を着くほどに燃費が悪い。停止時間は10秒

0099名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 20:56:23.10ID:SkbXDFwl
にこ「絵里…どうやって…!?」

絵里「私が時を止めたのよ、文字通りね。『絶対零度』!」

あんじゅ「!」

予期せぬ事態にあんじゅは硬直している。それを好機と絵里の手から万物を凍てつかせる白銀の風が放たれる!

直撃すればあんじゅといえどただではすまないはずだが…

あんじゅ「あ〜あ。使わされちゃった」

絵里「なんで…届いてないの…!?」

あんじゅに当たる、正にその寸前で銀の風は動きを止める。まるであんじゅを装飾するかのように…

にこ「これは…時間が遅延している…!空間を引き伸ばしたのね!」

あんじゅ「正解。言うなれば『時間の壁』ね。私の周りは時間が無限に遅れているのよ。これは届かないわね?」

絵里「ぐ…!」

『絶対零度』が封じられると同時に絵里の時間停止が終わり、再び世界が時を正しく刻み始めた

あんじゅ「そしてそれは人にも応用できる。こんな風に」

あんじゅがにこに肉薄する。その速さににこは反応できない。無防備なままの鳩尾にズドンと重い拳がめり込んだ!

にこ(ぐ…って痛くない?)

不思議なことに痛みはやってこなかった。これほどの打撃を食らえば息が止まり吐き気に苦しむ筈…だがにこはすぐにその原因に気がつく

にこ(私の時を遅延させた!…ならむしろ痛みはこれから…!)

あんじゅ「今頃地獄のような苦しみを噛み締めてるのでしょうね?」

あんじゅは現実世界の3秒をにこにとって5分に引き伸ばした。散々に苦痛を噛み締めたにこは吐き気を堪えきれずに嘔吐する

にこ「おぐっ…」

あんじゅ「汚いわね…」

あんじゅは吐瀉物に汚れた足をにこの顔に乗せ、ぐりぐりと押し込み、ボールのように蹴り飛ばす!

にこ「がぁ…!」

絵里「にこ!」

にこ「…大丈夫…!あなたもまだいけるでしょうね!」

絵里「…当然よ!!」

0100名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 21:00:47.82ID:SkbXDFwl
にこ(…このままじゃ攻撃は当たらない。…覚悟決めるわよ、矢沢にこ!)

にこ「…あの壁、私なら一瞬破れるわ。そこで決められる?」

絵里「決める!」

即答。にこに出来るかどうかなど問わない。悩む暇も惜しみ、絵里は魔力を練り始める!

にこはふらつく体を無理やり起こし、あんじゅへ向かって走り出す!その手は頭のリボンへ伸ばしながら…!

にこ(遅延させてるなら加速させればいい…だけど今の私は停止しか出来ない…なら!)

にこ(一瞬…リミッター外す!)

にこは器用にも片手でリボンを1つ緩める。その瞬間抑えられていた魔力が暴れ始める…が、それを根性で捩じ伏せる!

にこ「『速まれ』!」

遅延と正反対の力、加速とぶつかり合いあんじゅの守りが無効化される!

あんじゅ「…!?」

にこ「届く…!」

『時間の壁』への絶対的信頼。それがあんじゅの判断を遅らせた!届かない筈のにこの飛びかかりは届き、あんじゅは一瞬拘束される!

にこ「やりなさい!絵里!!」

絵里「『絶対零度』!!」

ステージ4へ上がった絵里が全力で放つそれは最早-273度に留まってはいない!強引に計測すれば-500度は出ているだろう!

冷気が通りすぎた空間は時間ごと凍りつき、風に巻き上げられた土煙をそのままに静止している!

あんじゅ「ぐ!?」

にこ「あぅ!?」

『矢沢選手 魔力切れのためリタイアです』

0101名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 21:02:09.74ID:SkbXDFwl
『リミッター解放』

にこのツインテールを支えるリボン。実は大事な役目を果たしていた。

1つ外せばステージ4相当、2つ外せばステージ5の力を取り戻す。だが今のにこは過去の暴走に無意識下で怯え魔力の制御は出来ない

0102名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 21:03:43.95ID:SkbXDFwl
絵里「…ごめんねにこ」

あんじゅ「やって…くれたわね…」

にこが撃破された直後、『時間の壁』は復活した。あんじゅに技が届いたのは1秒にも満たない

だがそれだけの時間ですらあんじゅの左腕が凍りついている!絵里とにこ、捨て身の作戦がもたらした戦果だった

絵里(もう、魔力が…)

だが絵里に魔力はもうない。涼やかな風1つ出すだけで魔力は尽きる。ろくに追撃すら行えない

あんじゅ「『止まりなさい』」

そこへ時が停まる。完全な詰みであった…

あんじゅ「…ふっ!」

絵里の前への高速移動。間違いなく音速だ。あんじゅは足を踏みしめ、腰を入れ、体すべてを連動させた正拳を突く

ホ゛コ゛ン゛

言葉にすれば殴るだけ。ただそれだけなのに爆発音のようにも聞こえる音が轟く!

時が動きだすと同時にアナウンスが入る。満身創痍の絵里にその拳は重すぎた…

『綾瀬選手 気絶のためリタイアです』

0103名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 21:05:01.23ID:SkbXDFwl
〜〜〜〜

花陽「ゲホッゲホッ…穂乃果ちゃんはどこに…」

爆撃の際、咄嗟に花陽が穴を掘り即席のシェルターを作ったが無事とは行かず、2人は爆風に吹き飛ばされた

日を遮るほどに高く土煙が漂う中、互いを見つけるのは困難であった

だが煙の向こうに動く人影が1つ。花陽は思わず駆け寄る。いや駆け寄ってしまった

花陽「ほの…」

ツバサ「お、探す手間が省けたわね」

絶望と言う他ない。天災に匹敵する技を片手間に実現する相手に単独で対峙してしまったのだから…

花陽「くっ…!」

花陽の選択肢は撤退。本能だろうか。判断は素早く実行される。だが…

ツバサ「逃げないでよ。『火球』」

煙を切り裂いてごうごうと燃える火が花陽の足を打つ。足は焼け爛れ花陽は地面に顔から滑り込む

花陽「あぐ…」

ツバサ「さぁ、終わりにしましょうか」

ツバサが花陽の横顔に足を乗せる。その足に魔力がゆっくり、ゆっくりと、充填されていく。それは恐怖を煽るため。ツバサの戯れだ

動くことの出来ない花陽はそれを甘んじて受けるしかなかった

花陽(だ、誰か…!)

穂乃果「花陽ちゃん!」

花陽「ぁ…」

そこに穂乃果が煙を切って現れた。花陽たちの声を聞きつけたのだろう。だが状況は最悪だ

ツバサ「あら良いタイミング」

穂乃果「…その足どけてよ!!」

0104名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 21:06:13.64ID:SkbXDFwl
花陽「ほ、穂乃果ちゃん。助け…」

助けを求めることは出来る。穂乃果は優しい。求められれば何がなんでも助けようとするだろう

しかしそれはツバサと1人で戦うということ。花陽は恐怖を押し殺し、穂乃果に警告する!

花陽「穂乃果ちゃん!1人じゃ無理だよ!逃げ…」

ツバサ「さっきまで怯えてた癖に。強がらなくていいのよ?ひよっこさん」

ツバサは足の裏に小さな爆発を起こし花陽の意識を無理やり奪いとる

『小泉選手 気絶のためリタイアです』

穂乃果「!!」

ツバサ「怒っても仕方ないわよ。ほら冷静に冷静に」

どこまでも穂乃果を見下し、嘲ることをやめないツバサ。だが穂乃果の耳には届いていない。穂乃果の心はただ一点にのみ、ツバサを倒すことに傾いている!

穂乃果(希ちゃん…ごめん!一回だけ使わせて!)

穂乃果は唐突に目を閉じた。その奇行にツバサは呆気にとられる。しかし、その裏で、穂乃果の瞼の下に恐ろしいまでの魔力が集っている!

穂乃果「『炎眼』!!」

穂乃果が目を開くと同時に炎が空間に爆ぜる!爆風が、そして吹き出た炎がツバサを襲う!!

ツバサ「っ!?」

この技に予備動作はない。ツバサですら反応できずに直撃を受ける!だが魔力量が違いすぎる。傷は与えるまでには至らなかった

穂乃果「ぐぅぅ!」

ツバサ「とっておきがあるじゃない!これならもう少し…あら?」

容易く自分に直撃を当てた技。傷こそ負ってはいないが期待が高まる
まだ他の技はあるの?それとも今のは火力を抑えた牽制…?

だがすぐにその気は失せた。穂乃果が目を押さえ膝をついているからだ。それに加えて軽くだが穂乃果の足元が赤く染まっている

これは未完成のままに技を発動した代償。目に負担がかかりすぎた故の血涙だ

0105名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 21:08:03.03ID:SkbXDFwl
ツバサ「…なんだ、つまらないわね。ならここでとどめを…」

ツバサは右手を上げて炎を沿わせる。金剛石でもバターの様に切り裂くであろう超高熱の手刀

いくら魔力の補助があろうと重傷は免れないであろうそれをツバサは何の戸惑いも見せずに振り下ろす!

「穂乃果!」

ツバサ「あら?」

だがそれは当たらない。髪を掠めるようにしてかわされた。というより独りでに穂乃果の体が吹っ飛んだのだ。煙の中へ姿を消した穂乃果をツバサは見失う

実際は『隠者』の加護を受けた真姫の仕業なのだが。ツバサを撒いた真姫は体勢を立て直す
〜〜〜〜

真姫「穂乃果!よかった。やっと合流できたわ…」

穂乃果「真姫ちゃんなの…?」

真姫「今治すからね!『快癒』!」

真姫から白色の魔力が放たれ優しく穂乃果を包み込む。ビデオテープを巻き戻すかのように傷が塞がり、血が止まり、穂乃果は目を開く

穂乃果(ぼやけてる…確かにこれは失明するね…)

前より視界がぼやけていた。だがそれよりおかしいことが1つ。真姫の姿が見当たらない

穂乃果「あれ、真姫ちゃん…どこ?」

真姫「希の能力で姿が見えないのよ。そんなことより伝えることがあるわ!」

穂乃果「伝えること?」

真姫「英玲奈の能力!魔力を打ち消す能力かもしれないのよ!」

穂乃果「魔力を!?…じゃあ私たちの攻撃は…」

真姫「正面から攻略するのは不可能かもしれないわ…ツバサの追撃も怖い。一旦離れ…!?」

英玲奈「見つけたぞ」

突如真姫の透明化が解除された。英玲奈の能力によって効果が打ち消されたのだ

ツバサ「いた…って1人増えてるし。それに英玲奈じゃない」

あんじゅ「派手にやったわね。すぐに場所がわかったわよ」

そこへツバサが追いつき、一拍遅れてあんじゅが姿を見せる

治療を終えた穂乃果たちの前にUTX高校の3人が並び立つ。その威圧感は何物にも例えがたいものがある

0106名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 21:10:40.04ID:SkbXDFwl
穂乃果「…あんじゅさんがいるってことはにこちゃんたち…」

あんじゅ「えぇ。倒したわ」

真姫「くっ…英玲奈がいるってことは希もね…」

ツバサ「『火球』」

真姫(あ、やば…)

あんじゅと英玲奈に気を取られ真姫に意識の空白が生まれる。目敏くそれを見逃さなかったツバサはすかさず攻撃。真姫に回避する暇はなかった。だが…

真姫「な、何で…?」

ツバサ「…どういうつもり?英玲奈」

英玲奈「…赤髪は私の獲物だ。お前にとられる義理はない」

言葉こそ刺があるが端から見れば真姫を守るかのような動きだ。絶好の好機を奪われたツバサの機嫌は急速に悪化し、一触即発の雰囲気に陥る

ツバサ「…つまらないことするわね。ここは見逃してあげるから引きなさいよ。学校の犬」

英玲奈「…役目は果たしたか…すまないな、2人とも」ボソッ

真姫(謝罪…?)

穂乃果「…真姫ちゃん、痛みを止める技ってない?」

真姫「え?あるけど…」

穂乃果「急いで私にかけて!」

真姫「…わかったわ!『鎮痛』!」

先程とは異なる緑色の魔力。体に染み渡ると同時に、目の奥に疼いていた痛みや至るところに残る擦過傷の痛み、その全てが引いていく…

ツバサ「いらない邪魔が入ったけど今度こそ終わらせようかしらね」

真姫「っ!来るわよ!」

穂乃果「…勝つ!」

ツバサ「『大火球』!」

現代兵器にも比肩するツバサの『大火球』。受ける選択肢だけはとってはならない。ここは回避が定石だ

穂乃果「…『炎眼』」

だが穂乃果は迎撃を選んだ!まともに打ち合えば敗北は必至。ならば炎を中から散らせばいい!

死中に活を求め、穂乃果はツバサに致命的な隙を作り出す!!

視界は血で塞がる。だがそれがどうした!背中に頼れる仲間がいる!!

穂乃果「真姫ちゃん!ツバサさんはどこ!?」

真姫「真っ直ぐ!そのまま行きなさい!」

目の役目は真姫が果たす!穂乃果が出来ることは仲間を信じて駆けるのみ!爆風を突っ切りツバサの前へ躍り出た!

0107名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 21:11:55.94ID:SkbXDFwl
穂乃果は手のひらに炎球を浮かべ直接ツバサに叩きつけた!炎華が爆ぜ、2人の姿を覆い隠すほどの爆炎が吹き荒ぶ!!!

真姫「なんて無茶な…!!」

爆風に煽られ、全身を火傷に犯されながら穂乃果が真姫の方へと吹き飛んでくる

ろくに受け身もとれてはいないが真姫が受け止め事なきを得る

穂乃果「あ…あぐ…」

真姫(これ…失明する寸前じゃない!!)

真姫「『快癒』!!」

傷痕1つ残さぬ真姫の治療技。本来は魔力が体全体を包むものだが今回は目に集中している

激しく舞った煙が風にのって晴れて行く。真姫は確かに直撃した瞬間を観測していた。ツバサが倒れている姿はありありと想像出来る

ツバサ「私の服に焦げ目をつけるとはね…油断しすぎたかな」

真姫「…何でよ…あれでも駄目なの…?」

だが煙が晴れ、姿を見せたツバサは無傷だった。持ちうる手札が全て通用しないことに真姫は膝をつく

穂乃果も回復は半ばで立つことすら不可能な状態だ。目も回復したとはいえ失明に近い…身動ぎ1つとることができない…

ツバサ「…よく私に一撃与えた。その手向けにこれを放つわ。『炎龍波』」

ツバサの背後に龍を象った炎が顕現する。今でこそ滅多に使わないがかつての十八番技。龍炎の熱量は先程の『大火球』の幾倍か…

龍は穂乃果と真姫を巻き込み、突き進む。2人は身体中に火傷を負いながらも更に引きずり回され、緊急リタイアの処置が下された

『高坂選手、西木野選手 重傷により緊急リタイアです。音乃木坂高校の選手が全滅のためUTX高校の勝利です』

0108名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/29(日) 21:12:09.15ID:SkbXDFwl
今日はここまで
明日エピローグです

0109名無しで叶える物語(茸)2020/03/29(日) 21:14:54.50ID:q3ttiSMt
おつおつ
A‐RISEが最強のままなSSって珍しいよね

0110名無しで叶える物語(しまむら)2020/03/29(日) 22:53:11.25ID:oe4aza4b
闘気滅鬼 女護或みたいやな

0111名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 02:43:13.92ID:gKXMWDiw
え、もうおわっちゃうのかい

0112名無しで叶える物語(庭)2020/03/30(月) 09:37:10.35ID:87S3oNN+
第一部のエピローグですよね?ね?

0113名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:20:46.32ID:3UrO0dhO
数時間後 選手治療室

穂乃果「…はっ!ここは!?」

にこ「治療室よ。敗退した選手が転移させられる部屋」

穂乃果「あ…そっか…敗けちゃったんだ…」

希「あほーーー!」パシーン

穂乃果「うわぁぁぁ!!」

希「『炎眼』を使ったと聞いたときはヒヤリとしたんよ?無事だったからよかったけど勘弁して欲しいよ…」

穂乃果「ご、ごめんね…一回だけのつもりだったんだけどムキになって二回も…」

にこ「真姫ちゃんにも感謝しときなさいよね。治療スタッフが処置してくれてたけど真姫ちゃんの応急手当がなかったらかなりマズかったって」

真姫「私がいなかったら失明してたかもしれなかったのよ?英玲奈のでしゃばりが無ければ今頃…」

穂乃果「はい…反省してます…」

ことり「無事に目を覚ましてくれて本当によかったよ…」グスッ

0114名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:23:14.02ID:3UrO0dhO
穂乃果「…勝てなくてごめんね」

希「気にしなくていいんよ。皆が十分やったから…それに悔しい気持ちは同じでしょ?」

真姫「ところで絵里たちは?」

にこ「別室だって。もう治療も終わってるだろうしそろそろ…」

ガチャ

凛「ごめん…希ちゃん…!」ポロポロ

花陽「私なんて最後は怯えて…」ポロポロ

絵里「ごめんね希…勝てなかったわ…大見得切ったのに…」ポロポロ

海未「…申し訳ありません…」グスッ

希(4人に抱きつかれると流石に重いね…)

希「謝らなくていいよ…全部を出し尽くしたと思うから」ワシワシ

希「にこっちから聞いたよ。何でもあんじゅさんの時間停止を自分の時間停止で封じたとか。凄いやん?」

絵里「でも結果は…あと揉まないで…」

凛「それに廃校になるかもしれないし…また希ちゃんはループしちゃうんじゃ…」

0115名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:23:47.50ID:3UrO0dhO
―――
『希ちゃんが苦しむ必要なんてないよ…!』

『うん…でも決めたんだ。穂乃果ちゃんの目も廃校も何とかしてみせるから』

『約束してね、一回だけだよ…』

『うん、わかった。約束する…!』

『『翻れ 吊し人』…またね』

―――

希「…ループは元々一回しかしないつもりだから。それにこれでダメなら廃校を無くすのはもともと無理だったと思う。胸を張ろう。ウチたちはやりきったよ」

穂乃果「…そうだね。それに学校の為に希ちゃんが苦しむ必要なんてないよ…」

希(その台詞…!)



絵里「…今日と明日は休みにするわ。3日後、部室に集まって今後の話をしましょう…」

海未「…わかりました。今日は帰りましょうか…」ガチャ

真姫「穂乃果は待ちなさい。ちょっと病院まで来てもらうわ。パパに見てもらいなさい」

穂乃果「今から?」

真姫「今から!」グイ

穂乃果「わ!」

0116名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:26:46.44ID:3UrO0dhO
〜西木野病院〜

西木野父「診察はこれで終わりだが…」

穂乃果「な、何でしょうか…?」

真姫父「『炎眼』を使うのはやめなさい」

穂乃果「ぅ…そうですよね…」シュン

真姫父「何とか視力は回復できた。だがそれも元通りとはいかなかったし何よりも…」

真姫父「もしまた使えば今度こそ治せる範囲を超える。失明することになるだろう…」

穂乃果「…」

真姫父「我々は1まで減れば10まで治す。だが0は1には増やせない。いいね」

穂乃果「はい…」

西木野父「…目に魔力で圧を掛けすぎているね。もし改良するならそこだろう」

穂乃果「…!!」

真姫父「これで話は終わりだよ。帰ってもらって構わない」

穂乃果「し、失礼します…」ガチャ

真姫「どう?何か言ってもらえた?」

穂乃果「うん…来てよかった。ありがとね」
〜〜〜〜
穂乃果家

雪穂「お、おかえり…その、負けちゃったね…」

穂乃果「…気にしなくていいんだよ雪穂は!きっとここまでの結果で人も集まってくれるからさ!」

雪穂「す、凄いポジティブ…」

穂乃果ママ「穂乃果…」

穂乃果の部屋

穂乃果「負けたんだよね……静かになると余計に感じるなぁ…」

穂乃果「ぐすっ…ひっぐ…廃校…希ちゃんとの約束だって…」ポロポロ

穂乃果「…あんなに頑張ってきたのに…!!」ポロポロ

穂乃果ママ「…やっぱり無理してる…」チラッ

穂乃果ママ「どうせなら最初から教えてあげるべきだったかな…今更だけど聞いてみるかしらね…」

穂乃果ママ「あ、もしもし?…で、もしよければ…」

0117名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:28:39.28ID:3UrO0dhO
3日後 部室

絵里「今後の愛沸部がどう活動していくか決めるつもりだけど…一応聞くわ。辞めるつもりはないわよね」

にこ「皆の顔を見れば聞かなくてもわかるでしょ?全員が続けるつもりよ」

絵里「ふふ、そうね。それで提案なんだけど冬の羅舞雷武に出ない?」

花陽「ふ、冬の!?」

凛「毎年凄い盛り上がるやつだ!」

真姫「私もテレビで見たことあるけど…夏と何か違うの?」

花陽「ピャア!知らないの!?冬の羅舞雷武は夏よりもレベルが高い超神聖な大会なんだよ!」

花陽「その年に卒業する生徒の参加が許されているから夏よりもスケールアップした選手が多いの!」

花陽「人気も凄くて夏の王者と冬の勝者での優勝決定戦は視聴率が30%を越える年すらあるほど!」

花陽「国内でも指折りの祭典です!」

0118名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:29:38.03ID:3UrO0dhO
【羅舞雷武 冬】

高校生愛沸最大の祭典

夏の王者を抜きに予選と本選のトーナメント戦を行い冬の勝者を決める

その後夏の王者vs冬の勝者で優勝決定戦をして真の覇者を決める

その年に卒業する生徒の参加も許されている為レベルが高く、夏より格が高い大会

0119名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:30:47.61ID:3UrO0dhO
絵里「UTXは確実に夏の大会を優勝するわ。だから冬を勝ち抜けば必ず優勝決定戦でリベンジ出来る…!」

絵里「私は悔しかった。昨日も、一昨日も泣いたわ…!負けてここまで悔しいのは初めてだった!」

絵里「冬の大会は時期が遅いから廃校の解決にはならない…だからこれは自分のためにやることになる」

絵里「やる気のある人だけで構わない。手を重ねて…!」

絵里は手を前に出す。その上に8つの手が重なるまで1秒だってかからなかった

絵里「…ありがとう!」

海未「そうと決まればメニューを見直さないといけませんね…今のままの密度ではどうしても…」

絵里「そこが問題なのよね…何かアイデアがあればいいんだけど…」

『愛沸部員にお知らせします。至急理事長室に来てください。愛沸部員に…』

真姫「何?まさか赤点…」

にこ「テストなんて夏休みにあるわけないでしょ…速くいくわよ」

0120名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:32:39.96ID:3UrO0dhO
〜理事長室〜

絵里「部員全員への連絡とは何でしょうか?」

理事長「皆さんに報告することが1つ。それと聞きたいことが1つあります」

理事長「まず報告したいことは廃校についてです」

穂乃果「!」

理事長「皆さんの努力の結果、現時点での入学希望者が来年度も学校がやっていけるほどになりました」

ことり「そ、それってつまり!」

理事長「廃校はひとまず免れる予定です。あなたたちのお陰ね。本当にお疲れ様」

凛「やったね!かよちん!真姫ちゃん!」ガバッ

花陽「うん!」

真姫「えぇ…!」

希「…!」グッ

にこ「…よかったわね、希」

穂乃果「海未ちゃん!ことりちゃん!」ギュ

海未「やりましたね!」

ことり「よかったぁ…!」

絵里「…それでは聞きたいこととは何でしょうか?」

理事長「あなたたちに冬の羅舞雷武に参加する気持ちがあるかどうかです」

全員「!!」

絵里「え?何故理事長がその確認を…?」

理事長「冬の大会に出るなら是非指導を、という人がいるの」

ことり「えぇ!?」

絵里「私たちにですか…どのような方なのでしょうか?」

理事長「ふふ、私の口から言ってもいいのですが…どうせなら自分の目で見た方が信じられるでしょうね。昔の羅舞雷武を調べてみなさい。それでわかりますから」

絵里「はい…わかりました。失礼します」ガチャ

0121名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:37:57.90ID:3UrO0dhO
図書室

凛「凛も!希隊長!どこから探しましょうか!」ビシッ

希「うむ、カードによると右の棚が怪しいようだよ」ビシッ

凛「了解です!おまじないコーナーですね!」

にこ「あんたの趣味でしょそれ!はぁ…」

穂乃果「私が言うのもあれだけどこのメンバーって失敗なんじゃ…」

にこ「否定は出来ないわね…それに昔のって言われても範囲が広すぎてやる気が出ないわ…」

凛「凛、どうせならPCチームがよかったにゃ…」

希「3バカwithNはこっちに監禁ってことやね…」

穂乃果「うぅ…」

0122名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:43:48.17ID:3UrO0dhO
穂乃果「…愛沸のススメ…愛沸列伝…」ゴソゴソ

穂乃果「ん?『魔力のアーカーシャ』?」ゴソゴソ

穂乃果「なんか格好いい名前!おーい希ちゃーん!この本見てよ」

希「何々?アーカーシャ…?」

穂乃果「どういう意味なの?」

希「宇宙中の情報が記録されたたものって言われてるけど…魔力のって何か変やね…読んでみよっか」

穂乃果「うん!」

【魔力のアーカーシャ】

『かつて世界は大気に魔力が溢れていた。人間は自分の使った魔力を再利用できたのだ

魔力炉は魔力を貯めるものであり、今のように生み出す器官としては見られていなかった』

希「夏前の絵里ちの話と違うね。魔力は制御から外れると消えるとかなんとか…」

穂乃果「目が痛いよ…字が小さいよ…」

希「あはは、休んでてもいいよ?ウチはもう少し読むけど」

穂乃果「頑張る!何か気になるし!」

『しかし人が魔力を使う度に大気の魔力は濃くなっていく。ある日突然体が弱いものが濃度に耐えきれず死んだ。魔力炉が破裂していたそうだ

その数は日増ししてゆき、遂に当時の教皇が対応をとることとなった』

希「な、なんかエグい話に…」ペラッ

穂乃果「絶対痛いよ…」

『魔力を回収する機構を作ったのだ。その機能はタロットカードに籠められており今も何処かに眠っているという』

穂乃果「ねぇ、タロットカードだって!」

希「いやいやまさか。夢のある話やとは思うけどね?」

『それは世界中の魔力を回収する。つまり過去に使われた魔力全てを蓄えているということだ。人類の魔力の歴史その物とさえ言える。神殿に以下のような図が描かれていた


我々はそれを魔力のアーカーシャと呼称し調査を続けている。最近、極東の一族に伝わっているとの情報が…』

希「これウチのカードや!!」

穂乃果「やっぱり!!!」

希「あかん…どないしよ…とんでもないカード持ってまったわ」

穂乃果「関西弁濃くなりすぎてるよ!落ち着いて!」

希「せ、せやね!えっと…図と同じなのは…『世界』かな」スッ

穂乃果「ホントだ。本に書いてあるのとまったく同じ見た目だね…」

0123名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:45:35.71ID:3UrO0dhO
希「何でこの学校にこんな本があるんや…」

穂乃果「さぁ…?」

希「…もう少し読もっか」

『このカードは魔力を溜め込んだ世界と接続している。それならば過去に使用された全ての技を使用できるのではないかという仮説が…』

凛「ん?音乃木坂が羅舞雷武で準優勝!?」ピラッ

穂乃果「えぇ!?」

希「…また後で読も!行くよ穂乃果ちゃん!」

〜〜〜〜

希「これは…学校が出してた新聞やね」

にこ「ダークホース音乃木坂高校、冬の羅舞雷武準優勝。その秘密に迫る、ね」

穂乃果「冬の大会で準優勝!?この学校で!?」

にこ「私が部を作る前にもあったなんて…」

希「部員の人の名前はなんなん?」

凛「えぇと…高坂選手、園田選手、南選手って嘘!?」

穂乃果「これ私たちのお母さんたちだ!」

凛「理事長の顔変わってないにゃ…イミワカンナイ…」

にこ「あははっ!上手いわね!」

希「これを見てこいってことだったのかな…じゃあ指導役の人って穂乃果ちゃんたちのお母さんたち…?」

穂乃果「PC組に伝えに行く?」

希「せやね。戻ろっか、行くよ2人とも」

凛「ミトメラレナイワァ」

にこ「うははっ!」

希「…」イラッ

希「ていっ!戻るよ!」ペチッ

凛「ふぁい…」ヒリヒリ

にこ「何で私も…」ヒリヒリ

0124名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:47:06.24ID:3UrO0dhO
理事長室

理事長「無事見つけられたようですね」

絵里「まさか理事長も元愛沸だったとは…」

海未「もっと早く教えてくれてもよかったのでは…?」

理事長「だいぶ前に引退してたもの。今さらかと思ったら気が引けてね」

理事長「だけど教師として、そして親として泣いている子を見過ごすことは出来ないのよ」

ことり「お母さん…!」

理事長「…ただ残念ながら教えるに当たって問題点が2つ。それをよく吟味してから決めてください」

絵里「問題…?」

理事長「1つ目は固有属性の皆さんです。どうしても基本属性の皆さんと比べて教える内容が薄くなります」

凛「あ…」

真姫「…」

希「…」

にこ「…」

理事長「2つ目は全員集まっての修行がほぼ出来なくなるということ。連携の確認をするとしても2月頭までは出来ないでしょう…」

穂乃果「え!?」

理事長「UTXに勝ちたいなら最大限に効率化した修行をしなくては間に合いません。心苦しいですが勝つためにはそれしかない」

全員「…」

理事長「これは私たちの力不足…ごめんなさい…」

理事長「仲間との時間をとるか勝利を求めるか、そういう選択になるでしょう…希望する人だけで構いません。ここまでを踏まえて一度部室でよく話し合ってください」

0125名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:48:22.16ID:3UrO0dhO
〜部室〜

真姫「迷うことないわ。やりなさいよ」

花陽「でも真姫ちゃんたちが…」

真姫「気にしないで。教えてもらう人にアテもあるわ」

希「ウチの場合はそもそもアドバイス出来る人なんていないだろうし。1人で大丈夫やね」

希(気になることも見つけたし)

にこ「私も課題は見つけてるわ。心配する必要はないわよ」

穂乃果「3人とも…」

絵里「…後は修行の期間の話だけど」

海未「何も学校で会えなくなるわけでもありません。問題はないです」

花陽「ちょっと寂しいけどね…」

凛「その分お昼とかは集まればいいにゃ!」

絵里「…決まりね。8月から2月まで事実上愛沸部は解散となるわ」

全員「…」

絵里「でもまたここに集まりましょう!強くなって!!」

全員「おぉ!!」

〜理事長室〜

理事長「…よく決心しました。早速班分けを伝えましょう」

理事長「海未さん、絵里さんは園田さんに、穂乃果さんとことりはそれぞれの親の下についてください」

花陽「…え?あの、私たちは…?」

理事長「花陽さんと凛さんは小泉さんの所です。プロ選手だった人ですから。教えてもらわない手はないでしょう?」

花陽「お母さんが!?」

絵里「もしやにこの憧れの人って花陽のお母さん…!?」

海未「固有属性の3人は先に帰ってしまいましたが…本人が聞いたら悔しがるでしょうね…」

理事長「無駄話は後に!今日から始めますよ!」

全員「はい!」

0126名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:49:00.14ID:3UrO0dhO
8月から2月まで、3月に開催される冬の羅舞雷武に向けて猛特訓が始まった

親の技を受け継ぐもの、別方向への進化を遂げたもの、新技の開発に勤しんだもの…

過去の経験のフィードバックも修行をブーストする形となり全員が異次元の速度で成長を重ねていく!

そして2月!

〜部室〜

穂乃果「久しぶりだね、みんな!」


第二部 覇者決定戦編に続く

0127名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:50:10.99ID:3UrO0dhO
最後に予告編的なの投下して終わりです
2部は4月中のいつかにひっそりとやります

0128名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/30(月) 21:52:12.88ID:3UrO0dhO
『冬 予告編』

穂乃果「行くよ皆!最終決戦!!」

全員「絶対勝つ!!」


『羅舞雷武覇者決定戦―――始めッッ!』


英玲奈「やろうかツバサ。タイマンだ」


絵里「この雪一つ一つがあなたを殺す!」


ツバサ「あはははは!!」


凛「もう走れなくなってもいい…戦えなくなってもいい…真姫ちゃん!凛に雷速を下さい!!」


花陽「土は地球、地球は星、なら土属性は星属性になりませんか?」


希「バイバイ皆…『開け 世界(アーカーシャ)』」

絵里「希ィィィィ!」


にこ「リミッターはもういらない。決別よ、今までの私…」

あんじゅ「これが時間系のステージ5…!!」

真姫「私に策があるわ。皆の命運、私に託して…!」


ことり「ここから地平線まで!あなたごと消滅させます!!」


穂乃果「皆…!この一年間、楽しかった!!!」

0129名無しで叶える物語(たこやき)2020/03/30(月) 22:13:02.52ID:oaXAdd8I
俺はめちゃくちゃ楽しんでるし期待してるんだよ!楽しみにしてるな!

0130名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/31(火) 03:44:01.82ID:L89tx3la
予告が激アツ展開すぎてワロタ
楽しみにしてるぞ

0131名無しで叶える物語(茸)2020/03/31(火) 07:30:38.79ID:YAaMwn6E
ここは保守せずに落とした方がいいのか?

0132名無しで叶える物語(しうまい)2020/03/31(火) 08:11:34.10ID:TJ+Kdb8G
落として大丈夫です

0133名無しで叶える物語(SB-Android)2020/03/31(火) 11:59:47.19ID:2IeWcEWC
乙です!最終決戦、楽しみに待っております!

0134名無しで叶える物語(庭)2020/03/31(火) 13:05:30.30ID:f1GCmGBN
面白いし読みやすさもある
次スレはもっと評価されるべき

0135名無しで叶える物語(ぎょうざ)2020/04/01(水) 12:55:58.70ID:AVSta2Rv
おつ
面白かった

0136名無しで叶える物語(そのまんま)2020/04/02(木) 03:49:17.29ID:uyjJeVlA

0137名無しで叶える物語(関西地方)2020/04/03(金) 02:54:01.50ID:6gbekfdj
バトルSSだけど内面の描写多めだからか読みやすい
面白かった!

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