パスカルは次のように語っています。

「我々は、考えられる限りの空間の彼方に想像を巡らしてみても無駄である。我々の生み出しえるものは、事物の実在に比べれば、原子でしかない。実在とは,至るところに中心があり、どこにも周縁がないような、無限の球体なのだ。」


要するに、神の存在(あるいは自然)の前では、人間は理性をもって傲慢になるべきではないとするのがパスカルだったのです。

彼は、『パンセ』の中で、こんな言葉も残しています。


「この無限の空間の永遠の沈黙が、私を恐れさせる。」


パスカルがここで言っていることは、宇宙という全体と私という人間との間に横たわる深淵についてです。

「人間はこの深淵を容易には飛び越えることができない、深淵の先に何があるか、人間の理性には、想像するだにできないのだ」ということを言いたいのでしょう。

「無限の空間」というのは、物理的な宇宙空間だけを言っているのではないと思います。

そこには、「人間の心の世界」や「人類の未来」といった意味合いも含まれているでしょう。