デカルトはこれを出発点にして、「人間が理性で合理的に考えることに間違いはない」といった考えを持つようになり、近代合理主義の扉を開けたのでした。
デカルトの死後、彼の残した実証科学の進歩は、数学・天文学・物理学などの発達に影響を及ぼし、19世紀の生物学、更に社会学・心理学などへと領域を広げて行きました。

一方、パスカルの様に、複雑なものによって下位のものを調和させると言う方法(帰納的方法)は、進歩の流れに逆行するものとして、その後は無視されてような面がありました。
パスカルがデカルトに反発したのは、まずは理性に対する考え方です。
パスカルはデカルト同様、自然の偉大な観察者であり、科学の力に信頼を抱いていた時期もありました。
しかし、パスカルはいつまでも、合理主義者でいることに満足できなかったのです。
パスカルにとっては、自然の法則より、人間の救いのほうが切実な問題となっていました。

この点で、パスカルはデカルトと袂を別つことになります。