「我思う、ゆえに我あり」という言葉と、
「人間は自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である」という言葉・・・

多くの人がどこかで聞いたことのある言葉ではないでしょうか。
前者はデカルト、後者はパスカルの言葉です。
2人とも17世紀、フランスを代表する偉大な哲学者です。
哲学といっても、この頃の哲学とは、人間探求と自然科学が同等に扱われる領域の学問でしたから、2人とも偉大な自然科学者でもあります。
デカルトは数学の分野では座標幾何学の基礎を築き、力学の分野でも多大の業績を上げました。
パスカルはデカルト以上の天才振りを発揮しています。
真空の実験、大気の圧力の実証(「ヘクトパスカル」は彼の名からとったものです)、水圧の原理の発見(パスカルの原理)、確率論の創始などさまざまな業績を上げました。
パスカルがもし、一生を科学に捧げたならば、考えられぬような偉業を達成したであろうとも言われています。
2人は同時代を生きて互いにライバルでしたが、その考え方は全く正反対で、2人の対立は現代人の世界観や人間観にも通じるものがあるように思えます。