さらに、ロワ側も新設計としてダブルジョイントの取り付け部に上下の段差を設けることで、ふたつのボールジョイントの間隔を狭くしている。
こうすることで、舵を切ったときのキングピン軸の角度変化が少なくなり、自然なステアフィールを得ることができるようになる。
キングピン軸位置が変わると直進位置からステアリングを切ったときに、初めはタイヤの切れ角に対して操舵力が重くなっていくが、
あるところから操舵力が一定になって切り足しても手応えに変化がなくなるなど、フィーリング的にはよくない。
LCでは、ロワ側ボールジョイントの段差構造でボールジョイントの間隔が小さく、リニアなステアフィールを得ることに成功している。
この理想的なジオメトリーが実現できたのは、ナックル部の段差加工という特殊な切削が可能となったから。
開発の担当者によると、LCのフロントサスペンション開発当初より生産技術のブレークスルーに取り組んだため、量産化に成功できたのだそうだ。
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乗り心地面では、フロント、リヤともに、ストローク量だけでなく、フリクション(摩擦抵抗)低減も実施されている。
ボールジョイントは関節部の動き出しにある程度の力が必要だが、ダブルジョイント式マルチリンクとなると、
ナックル側で5つのボールジョイントがあるため、動きの渋さが出てしまい、乗り心地が悪化しやすくなる。
これを解決するためボールジョイント内部のグリースの改良やブッシュ化などで低フリクション化を実施。
現在主流のサイドウォール強化型のランフラットタイヤは縦バネが固く、乗り心地が悪化する懸念があるが、
最新のランフラットタイヤ技術により、欧州の競車と比べても優れた乗り心地とハンドリング性能の高さを得ている。